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6月のライツオークションに試作機「ライカ0型」のうち1台が出品。3億円〜20億円での落札実績

第46回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」が6月27日(金)に開催される。会場はライカカメラ本社のあるドイツ・ウェッツラーのライツ・パークで、ライカ100周年記念イベントの一環となる。

注目のカメラは「Leica 0-Series No. 112」。Leica 0-Series(ライカ0型)は1925年に誕生した「ライカI」の2年前に製造されたというプロトタイプで、日本では“ヌル・ライカ”、“0型ライカ”という呼び名も有名。割り当てられたシリアルナンバー101〜125のうち、現存が確認されているのはその半数ほどだとしている。オークションの告知文では“写真史上最も希少価値が高いアイテムのひとつ”とされている。

なお、このNo.112は6月のオークションに先駆け、「ミラノデザインウィーク2025」の開催にあわせて4月4日(金)からミラノのライカストアで一般公開するという。

直近の同オークションにおけるライカ0型の落札実績は、2018年に出品されたNo.122が240万ユーロ、2022年に出品されたNo.105が1,440万ユーロ(いずれも落札手数料を含む)。どちらもその時点におけるカメラの落札価格の世界記録を更新しており、No.105は現在でもレコードホルダーとなっている。

なおNo.105には、ライカを考案したオスカー・バルナック(当時はエルンスト・ライツの試験部長)が使用していた個体という特筆点もあった。今回出品されるNo.112も、完成後にオスカー・バルナックが所有することになったという個体。本オークションの告知文に付属していた写真データには、ライカ0型の管理台帳と思しきページも添えられていた。No.112の使用者欄には“Barnack”とみられる文字がある。

ライカ0型は個体によりファインダー形式にバリエーションがあることが知られており、No.112は折りたたみ式のファインダーを搭載。レンズの銘板部分にもブラックのペイントが施され、レンズ名や絞り値の文字に象眼が施されているのは、製品版のライカIには見られないディテールだ。細かく見ると、アクセサリーシューの前後を逆に取り付けている部分と、ファインダーの照準が中央に直立しないのが気になるところ。幸運な落札者による真相解明を待ちたい。

同オークションでは、その他の注目アイテムについても順次発表し、5月にカタログを出版予定としている。

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究