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「α9 III」の体験イベントが開催…“連写速度ブースト”や歪みのない静止画・動画撮影など

ソニーは、ミラーレスカメラ「α9 III」とEマウントレンズ「FE 300mm F2.8 GM OSS」を11月7日に発表した。それに伴い、横浜みなとみらいで新製品の体験イベント「α SPECIAL EVENT 2023」(会場:ぴあアリーナMM)を11月8日・9日に開催。このページではその初日の様子と、製品の外観写真を中心にお届けする。

「α9 III」は、フルサイズミラーレスカメラとして初めてグローバルシャッター方式を採用した、有効約2,460万画素の積層型CMOSセンサー「Exmor RS」を搭載している点が最大の特徴。11月7日にニューヨークで行われた発表イベントでは、それが告げられた瞬間のオーディエンスのわき立った反応が印象的で、どれだけ待ち望まれていたかが伝わってくるようだった。

グローバルシャッター方式の採用により、歪みのないブラックアウトフリー撮影や、最高約120コマ/秒のAF・AE追従連写が可能になった点が本機のトピック。そのほか、最高1/80,000秒のシャッター速度(動画撮影時、高分解シャッター使用時、レンズ未装着時、連写かつF1.8より明るい設定では最高1/16,000秒)、対応ストロボでの全速同調が可能になった点も注目を集めている。

「α SPECIAL EVENT 2023」会場の様子

エルゴノミクスデザインの追求

外形寸法・重量は約136.1×96.9×82.9mm・約703g(バッテリー/カード込み)。従来モデルのα9 IIは同約128.9×96.4×77.5mm・678gとなっており、若干のサイズアップとなっている。

グリップは形状を変更しており、握りやすさを向上した。グリップの内側をすっきりとさせたことで、ホールド時の指とレンズの距離を確保。それによりマウント脇のC5ボタン搭載が実現した。これが操作性にもたらすメリットはとても大きいものと思われる。

シャッターボタンの角度にも変更が加えられた。従来機よりも“斜め”に設置されたことで、握った際により自然に人差し指を押下できるようになっている。

左が「α9 III」、右が「α9 II」。グリップ形状とシャッターボタンに違いが見られる

ドライブモードダイヤルにも工夫が見られる。新たに追加された“アスタリスク”マークに合わせると、ドライブモードがメニュー操作からの切り替えに優先される。右手のみで操作を完結したい、という要望に応えるものという。

本体素材は剛性に優れたマグネシウム合金を採用。防塵・防滴に配慮した設計としている。グリップ部のシボパターンは、αらしい手馴染みの良さが好印象だった。

4軸マルチアングル液晶モニターを採用
α9 III用の縦位置グリップ「VG-C5」。横位置撮影時と変わらぬ操作が可能としている

最高120コマ/秒の高速連写…歪みのない静止画・動画撮影

前述したように、最高約120コマ/秒の高速連写を可能とする点は本機の大きな特徴のひとつだ。

画像処理エンジンには最新の「BIONZ XR」を搭載し、AIプロセッシングユニットも備えた。それにより、約120コマ/秒の連写においても、動きの速い被写体をリアルタイム認識AFにより正確に追随できるとしている。

画像処理エンジンは「BIONZ XR」

連写速度ブーストも興味深い機能だった。連続撮影速度をワンボタンで切り替えられるというもので、例えば約60コマ/秒で撮影している(シャッターボタンを押し込んでいる)ときに、C5ボタンを同時に押すと約120コマ/秒に瞬時に変わる。スポーツ撮影シーンにおいて、決定的瞬間になりそうな場面(サッカーのゴール前の場面とか)において有効な機能となる。

ドライブモードから連続撮影の速度を設定できる
連写速度は「Hi+」「Hi」「Mid」「Lo」を備える
連写速度ブーストの速度もメニューから設定可能

シャッターを切る直前から撮影できるプリ撮影機能も搭載。これらの機能により、どんなシーンも撮り逃さない、という本機に込めた想いが伝わってくるように思う。

グローバルシャッター方式では、すべてのピクセルを同時に露光・読出しすることで歪みのない撮影が可能としている。イベント会場では、野球のバッティングシーンの撮影体験スペースを用意していた。素早く振り出されるバットを、全コマ歪みなく写し取ることができるという。

バッティングシーンの撮影体験
すべてのコマで歪みのない撮影が可能としている

同社製対応フラッシュを使用した場合、全シャッタースピードで同調が可能となる。屋外など被写体音背景の明るさが大きく異なるシーンでも、被写体を明るくしながらも背景をしっかりと捉えることができるようになるという。イベント会場では、体験スペースとして大掛かりなセットが組まれていた。

モデル撮影コーナー

とにかく軽い大口径単焦点

Eマウントレンズ「FE 300mm F2.8 GM OSS」も展示されていた。鏡筒前方の光学エレメントを極力少なくすることで、最適な重心バランスと、約1,470gという軽さを実現しているという。

実際に手にしてみると、覚悟していた重量感は全く感じられず、「300mm F2.8」とは到底思えないような不思議な感覚を抱いた。

鏡筒のスイッチ類や操作リングなど、同じくF2.8のG Master「FE 400mm F2.8 GM OSS」や「FE 600mm F4 GM OSS」と同様となっており、一貫した操作性にも期待できる。

三脚座は着脱式で、フードもワンタッチでも着脱を可能としている。

会場内には望遠撮影の体験コーナーも

デジカメ Watch Channelのレポート動画も

デジカメ Watch Channelでは、本イベントのレポート動画を公開している。各種体験コーナーの様子も紹介しているので、ぜひご覧いただきたい。

本誌:宮本義朗