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フルサイズセンサー搭載8K対応のプロ向けカメラドローン「DJI Inspire 3」

DJIは4月12日、フルサイズセンサー搭載の8K対応ドローン「DJI Inspire 3」を6月末までに発売すると発表した。価格は176万9,900円。

映像制作の現場での使用を想定したオールインワン型のカメラドローン。レンズ交換型の「Zenmuse X9-8K Air ジンバルカメラ」(以下X9-8K)を採用し、フルサイズセンサーによる8K映像を記録できる。映像関連以外にも最新の機能が盛り込まれた。

機体フレーム

FPVカメラ、ビジョンセンサー、データ格納ストレージスロットなどを機体フレームに融合したデザインを採用。航空力学に沿った機体設計とすることで、「Inspire 2」から最大下降速度が9m/秒から10m/秒に、垂直上昇速度が6m/秒から8m/秒へと強化された。

ランディングギア(脚部)が上下に昇降する機構を実現しており、ランディングギアが下がっている状態なら、ジンバルを上80°にまで傾けて撮影できる。これにより、上方向に被写体を追いかけるなどの撮影が可能。

ランディングギア下降時

ランディングギアを上に上げれば、360°のパンニングが容易になる。

ランディングギア上昇時

映像記録

映像記録を行うには、同梱の「X9-8K」を組み合わせて使用する。最大8K/75fps、ProRes RAW内部収録に対応。ダイナミックレンジは14+ストップ。

Zenmuse X9-8K Air ジンバルカメラ(レンズ装着時)

デュアルネイティブISOにも対応。30fps以下のフルサイズ撮影の場合、EI 800/4000で24fpsや25fpsを利用できる。30fps以上の場合はEI 320/1600。薄暗い場所でも地上ベースのプロ用シネマカメラに匹敵するという。

DJI独自のDLマウントを採用し、交換レンズも用意されている。新たに超広角の「DL 18mm F2.8 ASPH」が利用可能なる。

FPVカメラ

機体前面に搭載されたFPVカメラには1/1.8型センサーを採用。「Inspire 2」の1/7.5型からサイズアップした。暗所に強いとのことで、夜間でも周辺環境を視認しやすいとしている。

対角視野は「Inspire 2」の約2倍。161°、1080p/60fpsでのライブ映像伝送が行える。

ビジョンセンサー

DJI初の試みとして、4本のランディングギアそれぞれに魚眼レンズセンサーを搭載。ランディングギアを上げると魚眼レンズセンサーを機体フレームが遮らないことから、全水平方向の障害物を検知できるという。

さらに機体フレーム上部に上方ビジョンセンサーを、下部に下方ToFセンサーと下方ビジョンセンサーを備える。

測位・認識技術

建築や測量で使用されるRTK(リアルタイム・キネマティック)測位技術を搭載。GNSS(全地球測位衛星システム)を使用した従来のメートルレベルの測位と異なり、センチメートルレベルでの精度が得られるという。従来のGNSS信号にも対応する。

RTKは飛行ルートを設定するWaypoint Pro機能にも作用し、より複雑なルートや撮影の可能性が高まるとする。Waypoint Proには、同じルートを自動飛行する「リピータブル ルート」や、クレーンやドリーのような動きを再現する「3Dドリー」が追加された。被写体にフォーカスを合わせ続ける「Spotlight Pro」では、本機から人・車・ボートの認識が可能になった。

送信機・映像伝送

送信機として「DJI RC Plus」を同梱。7インチ1,200ニトの高輝度モニターやHDMI出力ポートなどを備えている。Wi-FiプロトコルにはWi-Fi 6を採用。

DJI RC Plus

映像伝送システムには、シネマグレード映像伝送システムの「O3 Pro」を採用。1080p/60fpsでのライブ映像の伝送が可能で、最大映像伝送距離は、シングル制御で15km。デュアル制御(送信機2機での通信)で12km。「Inspire 2」ではそれぞれ7kmだった。

また、4K/30fpsでの伝送距離が最大5kmに達した。DJIで初という。

その他

バッテリーには「TB51インテリジェントバッテリー」を採用。「TB50」より小型・軽量化され、「Inspire 3」ではこれをデュアルで搭載する。ホットスワップにも対応する。

バッテリー充電ハブは折りたたみ式になった。計8個のバッテリーを充電でき、急速充電モードで2つのバッテリーを0%から90%まで充電できる。

機体スロットに装着する「DJI PRO SSD 1TB」を同梱。最大読込速度900MBpsに対応する。USBケーブルでPCとの接続が可能。

対角寸法は695mm(ランディングギアが上がった状態)、685mm(ランディングギアが下がった状態)。機体重量は約3,995g(ジンバルカメラ、バッテリー×2、レンズ、PROSSD、プロペラを含む)。

専用トロリーケースも新デザインに一新された。機体フレーム×1、X9-8K×1、送信機×2、レンズ×4、バッテリー×12、バッテリー充電ハブ×2、プロペラ×3組などを収納できる。

本誌:折本幸治