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ニコン、1.4倍テレコン内蔵の「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」。201万円

“ナノクリを凌駕する”「メソアモルファスコート」新採用

ニコン Z 9への装着イメージ

ニコンは「NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S」を2月18日に発売する。希望小売価格は税込201万3,000円。

ニコン Z用のNIKKOR Zレンズで初となる超望遠単焦点レンズ。内蔵のテレコンバーター使用時は560mm F4となる。高解像と美しいボケ味による臨場感溢れる描写力と、新採用の「シルキースウィフトVCM」による高速・高精度AFを特徴に、動きの速い被写体の決定的瞬間を狙うプロ〜ハイアマ向きとしている。

内蔵テレコンバーターのスイッチ

新搭載の「シルキースウィフトVCM」(SSVCM)は、VCM(ボイスコイルモーター)とガイド機構を組み合わせたニコン独自開発というAF駆動システム。VCMは強力な磁石による磁界の中をコイルが往復運動するモーター。ガイド機構は接触部の隙間を限りなく抑えてフォーカスレンズの傾きによる収差発生を抑制しながら、スムーズに移動可能な機構を開発したという。これにより現行のステッピングモーターや超音波モーターでは実現できなかった「高速」「高精度」「静音」が可能になるとしている。

なお同社では、内蔵された磁石が医療機器の故障の原因になる可能性があるとして、心臓ペースメーカーなどの医療機器を使用する人に対し、本製品を使用しないよう案内している。

また、Fマウントの「AF-S NIKKOR 400mm f/2.8E FL ED VR」(3,800g)に比べ、2,950gに軽量化した点もポイント。光学系配置と光学レンズ材料の最適化、加工技術の向上によるレンズの薄型化、主要メカ部品へのマグネシウム合金とプラスチックモールドの採用、構造強度シミュレーションの活用による部品の厚さや形状の最適化で実現したという。

鏡筒側面には複数の操作部を配置。マウント側から、内蔵テレコンバーター切り替えスイッチ、メモリーセットボタン、フォーカスリング、コントロールリング、Fnリング(左右バネ式復帰機構)、L-Fn2ボタン(×4)と並ぶ。

レンズ単体での手ブレ補正効果は、CIPA規格準拠で5.5段分。NORMAL/SPORTの2モードがあり、三脚使用時のブレ補正にも対応する。

Fnリングは、事前に登録したピント位置に瞬時にセットできる「メモリーリコール」機能を使える
L-Fn1ボタンとフォーカス関連スイッチは反対側に備わる

鏡筒は、各部のシーリングやレンズマウント部のゴムリングにより高い防塵防滴性能を確保。セキュリティースロット(ケンジントンロック)も備え、市販の盗難防止用セキュリティーワイヤーを装着可能とした。

レンズ構成は、スーパーEDレンズ1枚、蛍石レンズ2枚、SR(Short-wavelength Refractive)レンズ1枚を含む19群25枚(うち内蔵テレコン4群7枚)。反射防止としてメソアモルファスコートとアルネオコート、最前面レンズには防汚効果のあるフッ素コートを施している。

内蔵テレコンバーター非使用時
内蔵テレコンバーター使用時

メソアモルファスコートは、直入射光・斜入射光のいずれに対してもナノクリスタルコートを凌駕する反射防止効果を持つという新コーティング。ナノクリスタルコートの粒子よりも小さなアモルファス粒子が連結して不規則に連なることで多数のメソ孔(メソポア。空気隙間)を形成。高精度な下地コートの効果とともに、更なる低反射を実現するという。垂直方向の入射光に強いアルネオコートとの相乗効果で、逆光時にもヌケの良いクリアな画像が得られるとしている。

最短撮影距離は2.5m。フォーカス制限は「FULL」(∞〜2.5m)と「∞〜6m」の2段切り替え。絞り羽根は9枚。最小絞りはF22(内蔵テレコン使用時はF32)。フィルター径は46mm(組み込み式)。

最大径×全長は約156×380mm。重量は約2,950g。

本誌:鈴木誠