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キヤノン、4K 120P記録に対応した「EOS C300 Mark III」

8K対応10倍ズームのシネマレンズも EFマウントとPLマウントで

EOS C300 Mark III(CN-E85mm T1.3 L Fを装着した状態)

キヤノンは4月21日、CINEMA EOS SYSTEMの新製品「EOS C300 Mark III」を発表した。6月下旬の発売予定で、価格はオープン。

2015年9月に発売された「EOS C300 Mark II」の後継に位置づけられる機種。新開発となるスーパー35mm相当CMOSセンサー「DGO(Dual Gain Output)センサー」(有効画素数は約885万画素)を採用したことにより、広いダイナミックレンジの実現と、4K 120Pのハイフレームレート記録に対応した。

キヤノンUSAが4月20日(現地時間)、映像分野の新製品として発表していた製品。国内でも正式に発表された。

レンズマウントは引き続きEFマウントを採用。別売りのマウントキットを利用することで、PLまたはEF(シネマロック)に変更することもできる。

新たに採用されたセンサーは、ひとつの画素出力に対して異なるゲインで出力することにより、低ノイズのHDR動画の生成が可能だとしており、「明るい部分は飽和優先アンプの画像を使い、暗い部分はノイズの少ないノイズ優先アンプの画像で撮影した画像を合成し高ダイナミックレンジを実現」できると説明している。また、デュアルピクセル CMOS AFとの両立にも対応しているという。Super 35mmとSuper 16mm(Crop)のセンサーモードで使用できる。

4K記録時に120Pのハイフレームレート記録が可能となっているほか、2K記録で、かつセンサーモードをSuper16mmにした場合、180Pでの記録も可能となるという。

記録フォーマットは、Cinema RAW Light(Cinema RAWに比べ、ファイル容量が約1/3~1/5になる保存形式)とXF-AVCをサポートしている。Cinema RAW Light記録時の最大ピクセル数は4,096×2,160で、同ピクセル記録時のビットレートは1Gbps。

バッテリー使用時の連続撮影時間の目安は、Cinema RAW Light記録(Super35mm・4,096×2,160、1Gbps:59.94P/50.00P)で約55分(BP-A30)、または約2時間10分(BP-A60)。

記録メディアは、CFexpressカードを採用している。スロット数は2つでリレー記録と同時記録に対応している。このほか、UHS-IIに対応したSDカードスロットも1スロット搭載。SDカードにProxyデータを同時記録することが可能となっているため、編集作業を効率化できるとしている。

ISO感度は、ISO 160-25600(拡張時ISO 100-102400)で設定できる。調整幅は1段または1/3段。

カラースペースはCinema Gamut、またはBT.2020 Gamut、BT.709 Gamutに対応している。

5つの段階濃度で使用できるNDフィルターも内蔵している。2、4、6stopsで選択が可能で、拡張で8、10stopsが利用できる。

このほか、アナモフィックレンズにも対応。EVFと外部モニター出力時(HDMI出力)は、デスクイーズ後の2.39:1の画角で切り出して表示される。

ファインダーは搭載しておらず、4.3型約276万ドットのタッチ操作対応モニター「LM-V2」が付属する。ファインダーは、別途有機ELタイプのEVF「EVF-V50」または「EVF-V70」が使用できる。

HDMIの出力端子はType Aを採用。このほか、マイク端子(3.5mmステレオミニジャック)やヘッドホン端子(3.5mmステレオミニジャック)、リモート端子(2.5mmステレオミニミニジャック)を備える。USB端子は、mini-B。このほか、12VのDC IN端子も備える。

本体インターフェイスは、別売りの拡張ユニット(EU-V1、EU-V2)により、撮影内容にあわせたカスタマイズも可能となっている。

外形寸法は、約153×148×168mm(本体のみ)。EFマウント版の質量は、約1,750g(カメラグリップGR-V1、サムレストともになし)。

EFシネマレンズも拡充

EOS C300 Mark IIIの発表にあわせて、EFシネマレンズの新製品「CN10×25 IAS S」も発表された。マウントはEFマウントとPLマウントの2種類(E1:EFマウント、P1:PLマウント)。7月上旬の発売予定で、価格はオープン。

製品は、CINE-SERVOレンズシリーズに属する1本で、焦点距離25-250mmをカバーする、10倍ズーム。高いズーム比ながら、8Kカメラにも対応する光学性能を実現した、としている。レンズ本体内に1.5倍のエクステンダーを内蔵しており、焦点距離を37.5-375mmに切り替えて使用することも可能。35mm判フルサイズセンサー搭載機での使用にも対応するという。

このほか、着脱可能なドライブユニットを標準で装備。ユニットを取り外すことでマニュアル操作にも対応する。

T値はT2.95(25-187mm)、T3.95(250mm)。11枚の絞り羽根を採用する。

外形寸法はEFマウント版が約186.7×131.7×282.1mm、PLマウント版は約186.7×131.7×274.1mm。質量はどちらも約3.06kg。

本誌:宮澤孝周