山本まりこさん著『エアリーフォトの撮り方レシピ』
ハワイロケに同行してきました!

11月11日、玄光社より『エアリーフォトの撮り方レシピ』が発売されます。本書は、“広くて風通しのよい” “軽やかな”という意味を持つ「エアリー」をテーマに写真を撮り続けている、写真家 山本まりこさんの撮影技法を1冊にまとめたものです。

掲載されている写真の撮影現場に同行させてもらうことができたので、撮影の裏側や本書ができるまでをレポートしたいと思います♪

『エアリーフォトの撮り方レシピ』のためにハワイ オアフ島へ5泊7日間の撮影旅行に出かけてきました。

心地よい風を求めてハワイへ

『エアリーフォトの撮り方レシピ』は、全編ハワイの写真で構成されています。「写真家 山本まりこのエアリー写真の撮影のノウハウをまとめたい」という企画の話を聞いたとき、山本さんはさわやかで心地よい風が吹く大好きな大好きなハワイの写真で本を作りたいと思ったそうです。

その山本さんから私、加藤は「本の中で撮影風景を紹介したいので、だれかに撮ってもらいたいんだけど、一緒にハワイに来られる?」と、うれしいお話をいただきました。そして、ふたつ返事で同行させていただくことになったのです。

出国前、ハワイに行くのがウキウキでしかたがない山本まりこさん。今回の旅で使用したカメラは、SONY NEX-6とFUJIFUILM X-E1。
ハワイ到着直後の空港で1枚♪ 山本さんの撮影スタイルは、日焼け対策用の帽子と歩きやすいスニーカーは必需品。服は撮影場所に合って自分のテンションも上がるものをチョイスするそうです。ハワイでは、涼しげでカラフルな南国風のワンピースで撮影していました。

今回の撮影旅行は5泊7日。

オアフ島のホノルル空港に着いてホテルに向かおうとしたとき、激しいスコールになりました。せっかくのハワイなのに……と落ち込む私と反対に、山本さんは自らを“雨グラファー”と呼ぶくらい雨を撮ることが大好き。うれしそうにホテルに向かうバスの中から、雨に濡れるハワイの街を撮り続けていました。

空港を出た途端、激しいスコールが。バスの中から雨で霞むハワイの町並みを山本さんの色で撮影していました。

スコールは一時的なもので、ワイキキに着くころにはカラッとしたハワイの青空に。荷物をホテルに預け、初日はワイキキ・ダウンタウンの街を散策しました。

まずはお腹が空いたのでお昼ごはん♪ ハワイ最初の食事は、ダウンタウンにあるカフェジュリア。写真映えする料理を注文するため、周りのお客さんの食べている料理を見て、ウエイターさんに「あのお客さんが食べているものを♪」と注文。お腹が空いていても、写真を撮ることは忘れられないみたいです。
最初に訪れた場所は、1882年にハワイ王朝7代目カラカウア大王により建てられたイオラニ宮殿。イオラニ宮殿の休館日は日曜・祝日。火曜日に行ったのですが臨時休館で、中に入ることはできませんでした。残念! 建築の外観だけを撮影しました。
イオラニ宮殿近くのハワイ旧裁判所前にあるカメハメハ大王像に、どすこいポーズで対峙する山本さん(笑) 黄色いコスチュームなのでとても目立っていました。
ハワイ州議会議事堂に行き、周囲を撮影しました。山本さんは撮りたいと思ったものを見つけると、立ったり座ったり。自分のイメージにピッタリの1枚を撮るために、アングルやカメラの設定にこだわって何枚も撮り続けていました。
ダウンタウンからチャイナタウン地区を歩きました。治安があまりよろしくないと聞く場所なので、メインストリートのお店を中心に回りました。危険な場所には近づかない。当たり前のことだけど、海外旅行で楽しむ最大の秘訣だそうです。

2日目は、アラモアナショッピングセンターからバスに乗り、トコトコ揺られながらカイルアへ。カイルアの目的は、キャメラびとのきょん♪さんがオススメのCrepes No Ka 'Oi(クレープ・ノカオイ)のシュガークレープと、むらいさちさんオススメの絶景ポイント カイヴァリッジ♪

Crepes No Ka 'Oi(クレープ・ノカオイ)。甘いスイーツ系クレープとしょっぱい食事系クレープを食べることができます。テラス席には生まれたての赤ちゃんがいる家族連れ。店内のガラス越しからお母さんのすてきな笑顔を撮影させてもらいました。
明るい窓際の席でお目当てのシュガークレープを撮影♪。料理の向きや背景に入る要素をこだわりながら撮影していました。2人で甘いシュガークレープとしょっぱいエッグクレープを1枚ずつチョイス。シェアしながら、甘い×しょっぱいの絶品の組み合わせを堪能しました!!
念願のシュガークレープを食べることができて幸せそうな山本さん。山本さんは美味しいものを食べると「美味しい〜〜〜!!!」と全身で表現するので、クレープを作った店員の方もうれしそうでした。
ラニカイの高級住宅街を抜けて、カラパワイマーケットへ。自転車で走る人が目の前を通り過ぎた瞬間をパチリ♪ 突然現れた一瞬のシャッターチャンス。撮影した写真を見せてもらうと、構図、色、露出などすべてがピッタリで、本当に写真家さんってすごいなぁと思いました。
足下の水たまりに落ちている花びらを長い時間、ずっ〜と撮っていたので撮影後に画像を見せてもらってビックリ!? そこには、普通の人なら見落としてしまいそうなものを独特の感性で切り取った、かわいい写真が写っていました。
カイヴァリッジのトレイル入口に到着! 足下は岩がゴロゴロしているので、スニーカーやトレッキングシューズがオススメです。ビーチから30分程度で行ける場所なのに、本格的なトレッキングコースがあることにビックリです。
カイヴァリッジの最初10分程度は登りますが、基本は視界が開けた尾根づたいを歩きます。カイルアの高級住宅街とビーチが見ながら、気持ちよいトレイルを楽しむことができました。
トレイル入口から約30分ほどで頂上に到着。ほどよい疲労感で、涼しい風がとても気持ちよかったです。時間を忘れ、頂上の小屋からカイルアとラニカイのビーチを眺めていました。

3日目はハワイの原生林を歩き、花や鳥たちを観察できるジャングルツアーを申し込みました。日本語が話せるガイドさんの、ハワイの歴史、地理、植生、文化、伝説などの解説はとてもおもしろかったです。

ジャングルツアーは、往復5.2キロ、標高差170mの初心者向けのトレイルコースを歩きます。
原生林から差し込む光はとても神秘的。ほかの参加者の方に合わせて歩かなくてはいけないので、山本さんは短い時間で素早く撮影していました。
ジャングルツアーの最終地点では、コオラウ山脈全景とホノルルの街並み、青い海を見ることができました。絶景を見ながらいただいたお茶とクッキーの味は絶品!!

4日目は、ワイキキから車で約1時間のノースショアへ。ノースショアの入口にあたるハレイワをゆっくり観光。ハレイワは、映画ホノカアボーイの舞台となった街で、のんびりとしたハワイ時間を満喫できる場所でした。

ノースショアに向かう途中、ドールのプランテーションに寄り、パイナップルソフトクリームを食べたり、記念撮影スポットで写真を撮ってもらったり。思う存分にハワイを満喫させていただきました!
ハレイワの入口。看板からもわかるようにハレイワは、サーフィンのメッカ。ツアー客がかわいい看板を撮るために、ドライバーさんがほんの少しだけクルマを停めてくれました。
ウミガメで有名なラニアケアビーチでは、残念ながらウミガメは見ることはできませんでした。となりのワイメアビーチパークに移動して、真っ白な砂浜と白波が立つ青い海を満喫しました。
ジョバンニというお店でガーリックシュリンプをいただきました。パンチのあるニンニク味は、本当に美味しかったです。がっつり系の料理も山本さんが撮ると、エアリーに写ってしまうのが不思議でした(笑)
ノースショア・マーケットプレイスをゆっくり散策。観光客相手の普通のショッピングモールですが、山本さんはステキな被写体をどんどん見つけ、エアリーな写真を撮っていきました。今回の本では、被写体を見つけてから撮影するまでがていねいに解説されています。
ハレイワといったら、やっぱりレインボーカラーのシェーブアイス♪ 私たちはアオキシェーブアイスでいただきました。量が多くても、かき氷なのでさっぱり食べられました。

山本さんは、世界各国を旅しているので英語がペラペラ。旅は人との交流が一番楽しいと言っていて、積極的に出会った人と会話を楽しむそうです。ハレイワからワイキキに戻り、夕日を撮るためビーチに行きました。ビーチで自転車で旅をする方と出会い、いろいろおしゃべり。山本さんが、「旅で見た中できれいだった場所は?」と聞くと、「オアフ島に来たらマカプウ岬へ行くべき」とめちゃくちゃオススメされたので、急きょ次の日に行くことが決定しました。

5日目は、バスを乗り継いでKCCファーマーズ・マーケットと旅人オススメのマカプウ岬へ。

ハワイのTheBusは、どこまで行っても大人は片道2ドル50セント。乗車する際に運転手に「トランスファー,プリーズ」と言って、乗り換え用のトランスファーチケットをもらうと、2時間以内に1回限り乗り換えが無料になります。
毎週土曜日に開催されるKCCファーマーズ・マーケット。新鮮な野菜や、パン、ピザ、パンケーキ、お花屋、フレッシュジュースなど、たくさんのお店がズラリと並んでいます。ここで買ったパンケーキは、今まで食べた中で一番美味しい! と山本さんは大絶賛!! 買ったパンケーキを芝生の上において、かわいらしく撮影していました。
KCCからバスに乗ってマカプウ岬へ。マカプウ岬までの道のりは、基本的に舗装された緩やかな上り坂。片道1.6kmで小さなお子さん連れの人たちもたくさん登っていました。黄色い花が咲いたサボテンや、赤と白の小さな灯台、360度を見渡すことができる展望台など、旅人が絶賛する景色が広がっていました。
今回の旅の間、何度も1日の最後に訪れたワイキキビーチ。夕日が沈む時間になると、多くの人が日没の瞬間を見ようと集まっていました。
山本さんいわく、日が沈んだあとの10分間の空のグラデーションが最高にきれいなんだそうです。日が沈むと集まっていた人たちは、散り散りにいなくなり、1人残った山本さんだけが暗くなるまでずっとシャッターを切り続けていました。
日が完全に沈んで、真っ暗になっても撮影を続けている山本さん。なにを撮っているのかと思ったら、長時間露光でカメラを動かし月でハートを描いていました!
山本さんが旅で愛用している三脚は、スリックのトラベリック255。私も教えてもらって買ってしまいました(笑)カメラ書籍にはよく三脚は重いものほどよいと書かれていますが、旅や山登りが好きな人は持ち運びやすさで選ぶのもよいでしょう。

ハワイから帰国後すると、編集を担当しているナイスクの岡田さんと一緒に写真を選んで、執筆作業を進めていったそうです。(今回、加藤は撮影に同行しただけで、詳しい本の構成や内容は最近になって知りました)

ナイスクで山本さんが写真選びをするということで、見学させてもらいました。ナイスクと山本さんの付き合いは長く、山本さんが過去に出版した『PENで撮るかんたんかわいい写真』『PENで撮るかんたんしっとり写真』『NEXで撮るかんたんかわいい写真』も一緒に制作されたそうです。

『エアリーフォトの撮り方レシピ』の編集担当の岡田宇史さんにお話を伺いました。

「普通のカメラ女子向けの技法書ではなく、カメラ女子に人気の山本まりこさんの撮り方を解説した本を作りたかったんです。山本さんの撮影テクニックを読み解く本であると同時に、山本さんの写真が一番きれいに見える本にしたい。ですから、山本さんの写真にあった紙、きれいに見えるデザインなどを、玄光社の担当の方、山本さんと一緒に細かく決めていきました。ようやく1冊にまとめることができて、本当にうれしいです」

『エアリーフォトの撮り方レシピ』の編集を担当されているナイスクの岡田宇史さん。
山本さんが撮影した莫大な量の全写真をサムネイル印刷。本の構成に合う写真を相談しながら選んでレイアウト用紙に貼り付け、ラフを作っていきます。
写真が決まったら、細かく書く内容の最終確認。ていねいな打ち合わせのおかげで、迷いなく書き進められるそうです。

最後に山本さんに、今回の本を作った感想や想いを伺ってみました。

この本では、普通のカメラ本のような絞りやシャッタースピードなどの基本的なことは解説していません。山本がどんなときに“写真を撮りたい”と思い、かわいく写すために構図を決め、思い描くイメージの写真にするための光の選び方やカメラの設定方法を細かく書かせていただきました。カメラを買って、ある程度撮っていくとボケや明るさのコントロールの仕方はわかるようになると思います。しかし、基本的なことは知っていても自分のイメージする写真が撮れない。撮っている写真に満足できない。と思っている方は多いのではないでしょうか。本書は、そのような方のヒントになったらとてもうれしいです。

今回、山本が好きなものを撮るために、大好きな場所に行かせてもらって、内容は山本の写真らしさを前面に出させていただきました。このようなお仕事をさせていただけたことは本当に幸せで、玄光社さん、ナイスクさんには感謝の気持ちでいっぱいです。写真に出会って私の人生は、本当に幸せになりました。愛情をいっぱい詰め込んで作った本なので、手に取っていただけるとうれしいです。

ハワイのやさしいい空気、キラキラ輝く光、かわいい色、幸せオーラの人たち。山本さんのフィルターを通した写真を見ていると、心の中をひゅるると風が吹いているように感じました。写真を見ていると、世界はこんなに輝いているの? きれいなの? と驚きや発見を感じます。山本さんの写真は、パワーがあり見ていると疲れた心がまっしろな心に浄化される気がします。

『エアリーフォトの撮り方レシピ』は、写真が好きな人だけでなく、ハワイが好きな人、心がちょっと疲れている人にもオススメしたい1冊です。

(2013/11/16)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!