写真家 山本まりこさんと行くカメラ女子旅!

カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」(後編)

5月3日〜4日に開催された旅フォトツアー、カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」(以下、カメラ女子 in 熊野)。

「名勝 瀞峡(どろきょう)」をウォータージェット船で観光しながら、みんなでハイ、チーズ♪

このツアーの魅力は、なんといってもカメラ女子に人気の山本まりこさんから丸二日間にわたって濃厚な写真のレッスンが受けられるということ。山本まりこさんと一緒に世界遺産の熊野を撮って感じて楽しんだカメラ女子旅のレポート後編をお届けします♪

(前編はこちら

「写真がうまくなった!」と実感できる写真レッスン

カメラ女子 in 熊野の二日目は朝早くから始まりました。というのも一日目のシャトルバスがゴールデンウィークの渋滞に巻き込まれ、名古屋駅集合の人たちは一日目に予定されていた七里御浜の「泳げ鯉のぼりくん」を回ることができなかったのです(熊野に時間通りに集合できた人は、シャトルバスの参加者を待っている間に撮影に出かけました)。

ところがスタッフとして参加していた地元のカメラ女子の方がご厚意で車を出してくれることに。そのおかげでシャトルバス組の人は、朝6時30分に「朝練」と名付けた七里御浜の撮影に行くことができました。

この朝練は希望者だけの撮影だったのですが、ほとんどの人が参加したことからも、カメラ女子たちの「写真が好き」「ステキな景色をたくさん撮りたい」という気持ちが感じられました。

そして講師の山本まりこさんも自主的な朝練にもかかわらず同行してくれ、参加したカメラ女子たちは大喜び。いろいろなアドバイスをもらいながら、朝の気持ち良い時間を撮影で満喫していました。

宿泊したホテルなみ。海側の部屋からは熊野灘が一望できます。「泳げ鯉のぼりくん」のいる七里御浜までは車で5分程度。
希望者だけの自主的な朝練に同行してくれた写真家の山本まりこさん。七里御浜へ向かう車を待つ間、花を前ボケに熊野灘を撮影していました。
七里御浜は、約20kmにも続く日本で一番長い砂礫海岸。4月28日〜5月6日までの間は、約1kmにわたって約200匹の鯉のぼりが風に揺られて翻りました。青空を背景に写す人、人物を入れて鯉のぼりの大きさを表現する人、モノクロでシュールに撮ってみる人など、思い思いの表現で撮影していました。講評会では同じ場所で同じ被写体を撮っても、一人ひとりの写真の表現方法が違うことに驚かされました。

七里御浜の朝練後の朝食を食べ終え、カメラ女子 in 熊野の二日目の本当のスケジュールが始まりました。

二日目のコースは、日本最古の神社と言われている「花の窟(いわや)神社」→そそり立つ絶壁の間をウォータージェット船で進む「瀞峡(どろきょう)」→斜面を利用して作られた棚田の「丸山千枚田」を回るコースです。

ホテルなみの朝食の和食(洋食も選べます)。女子に嬉しい野菜中心のヘルシーなご膳でお腹が満たされ、二日目も元気いっぱいに撮影に向かいます♪
花の窟神社は、日本書紀にも記されている日本最古の神社といわれています。社殿はなく、高さ約45mの窟がご神体です。熊野には巨岩信仰があり、岩を祭っている場所がいくつもあるとスタッフの方がおっしゃっていました。
花の窟神社は年2回、例大祭を行い、日本一長いといわれている約170mの大綱を御神体から境内の松の御神木にわたします。縦に長い大綱を、どうフレーミングしようかと試行錯誤するカメラ女子たち。パノラマ機能を使って撮影する人もいました。
撮影が一通りの終わったら山本まりこさんを囲んで、ハイ、チーズ♪ いろいろな場所でまりこさんと一緒に記念撮影をする参加者の姿を何度も見かけました。
熊野川支流の北山川にある「瀞峡(どろきょう)」は、国の特別名勝及び天然記念物。川面から奇石やそそり立つ断崖岸壁の間をウォータージェット船で遊覧します。ウォータージェット船の屋根は開閉式で、屋根が開いた瞬間にカメラ女子は「うわぁーっ」と大興奮。
動く乗り物に乗ったときの撮影方法として、山本まりこさんからシャッタースピードをコントロールすることを学びました。シャッター優先モードを使って、止めたり流したり。ツアー前はオートでしか撮影したことがなかった参加者も、ツアー後には絞りとシャッタースピードが使いこなせるようになっていました。
「躍動感がでてキレイに撮れた! 自分の写真じゃないみたい」と喜ぶカメラ女子。教わった方法でシャッタースピードを遅くして撮ったら、成功したようです♪
ウォータージェット船が途中の休憩場所は、左側が奈良県、正面が三重県、右手が和歌山県と、三県を一望できる場所。Googleマップで位置情報を確認すると、本当に県境にいることが確認できました。
丸山千枚田は、1601年(慶長6年)には2,240枚の田があったという記録も残されていますが、昭和50年以降の過疎・高齢化により530枚まで減少。地元住民の方が「後世に素晴らしい景観と農耕文化を残そう」と、平成5年に丸山千枚田保存会が結成され、結成後5年間で810枚の復元に成功し、田は1,430枚まで増えたそうです。
丸山千枚田の保全活動として、1996年からオーナー制度を導入。年会費3万円で田のオーナーになることができます。そんな美しい棚田に降りて、花を使って前ボケを作ってみたり、望遠レンズで一部分を切り取ってみたり、フィルター効果の「ジオラマ」を使っていたりと思い思いの方法で撮影していました。

予定されていた撮影コースを回り終わったら最後は講評会です。二日間で撮影した中のベストショットを1枚選び、タイトルをつけて発表します。二日間で何百枚も撮影した中から1枚を選ぶのは、なかなか大変そう。

 それでは参加者の作品をご紹介します♪

タイトル:エアリー in 瀞峡 撮影者:あやぞうさん カメラ歴:2年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL2
タイトル:ピース!! 撮影者:hoshikoさん カメラ歴:2年 使用カメラ:キヤノンEOS Kiss X4
タイトル:untitled 撮影者:堀内悠可さん カメラ歴:?年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL2
タイトル:空を行く人 撮影者:ひなさん カメラ歴:1年 使用カメラ:ソニーNEX-F3
タイトル:水しぶき 撮影者:みかんさん カメラ歴:1年 使用カメラ:キヤノンEOS Kiss Digital X
タイトル:ミニチュア…ではありません 撮影者:ききどんさん カメラ歴:2.5年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL1
タイトル:春 撮影者:k-koさん カメラ歴:2年 使用カメラ:PENTAX K-r
タイトル:まる岩。 撮影者:ゆみさん カメラ歴:3か月 使用カメラ:ソニーNEX-6
タイトル:さんぽ 撮影者:アキさん カメラ歴:1年 使用カメラ:OLYMPUS PEN mini E-PM1
タイトル:刻々と。。。 撮影者:makikuchiさん カメラ歴:15年 使用カメラ:FUJIFILM X-E1
タイトル:無風 撮影者:あやくりさん カメラ歴:2週間 使用カメラ:OLYMPUS PEN mini E-PM2
タイトル:届くかなっ?! 撮影者:Kaoさん カメラ歴:1年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL3
タイトル:ひかり、かげ 撮影者:くみこさん カメラ歴:5年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL3
タイトル:とろとろくまの 撮影者:hiroeさん カメラ歴:5年 使用カメラ:ニコンD60
タイトル:はやしのなかで 撮影者:ひとみんさん カメラ歴:2年 使用カメラ:キヤノンEOS 60D
タイトル:スピード 撮影者:るーchanさん カメラ歴:4か月 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL3
タイトル:海と風とこいのぼり 撮影者:ミユキさん カメラ歴:1年 使用カメラ:ソニーNEX-6
タイトル:初エアリー!! 撮影者:tamamiさん カメラ歴:5年 使用カメラ:キヤノンEOS Kiss X5
タイトル:untitled 撮影者:はるちゃんさん カメラ歴:1年 使用カメラ:キヤノンEOS Kiss X5
タイトル:熊野サイダー 撮影者:みんみんさん カメラ歴:2.5年 使用カメラ:OLYMPUS PEN E-PL1s
タイトル:上に向かって 撮影者:すみえさん カメラ歴:3年 使用カメラ:FUJI FILM X-E1
タイトル:古道の木 撮影者:さとさん カメラ歴:2年 使用カメラ:キヤノンPoweShot S95
タイトル:いそざき 撮影者:しまちゃんさん カメラ歴:年 使用カメラ:キヤノンEOS Kiss X3
タイトル:エアリーな風 撮影者:はるなさん カメラ歴:3年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL2
タイトル:みまもる 撮影者:*masayo*さん カメラ歴:3年 使用カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5
タイトル:光に輝らされて 撮影者:さなえちんさん カメラ歴:2.5年 使用カメラ:ソニーNEX-5N
タイトル:緑の共鳴 in 千枚田 撮影者:植村千里さん カメラ歴:2.5年 使用カメラ:ソニーNEX-3
タイトル:光の指す道 撮影者:ちよさん カメラ歴:2年 使用カメラ:OLYMPUS PEN Lite E-PL1
タイトル:守る人 撮影者:みさやんさん カメラ歴:5年 使用カメラ:ソニーNEX-5
タイトル:しっぽ 撮影者:ナベさん カメラ歴:3年 使用カメラ:OLYMPUS PEN E-P2

講評後に二日間にわたり講師をされた山本まりこさんに今回のカメラ女子 in 熊野についてお話を伺ってみました。

「最初は30人という大所帯がまとまるか不安だったのですが、“写真が好き”という気持ちでつながったみんなの団結力やスタッフの方の協力のおかげで、参加者とスタッフの全員が一丸となって楽しめたステキな女子旅になりました。参加してくださった方は、本当に勉強熱心で、“キレイにカワイク撮りたい”という欲求が一緒に撮っていて伝わってきました。同じ場所で撮影しても、一人ひとりの撮り方がぜんぜん違うので、講評する私も“こんな見え方があったんだ”と気づかせてくれる作品が多かったと思います。今後もカメラ女子たちと一緒に熊野を楽しみたいと思います。今回、募集が締め切られて来られなかった人や、気になっている人はぜひ来年に参加していただきたいですね」とのこと。

カメラ女子 in 熊野に参加した方たちの写真展が、5月28日(火)〜6月5日(水)まで、熊野市駅前にある熊野市文化交流センターにて開催されることが決定しました。

今回のレポートで紹介できなかった作品も展示してあるので、お近くの方や熊野へ出かけようと思っている方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。カメラ女子たちの「かわいい」「楽しい」がいっぱい詰まったキラキラした熊野の写真たちが出迎えてくれます。

最後に山本まりこさんが参加者の方に伝えた、エアリーな写真を撮るポイントをご紹介します。

エアリーな写真を撮るポイント10 in 熊野

・Point 1 キラキラの光をみつける♪
 →光の向きを意識して撮影してみよう。逆光はエアリーのお友達☆

・Point 2 明るくふんわり♪
 →露出補正をプラス側にして明るめにとると、ふんわり感がアップ。

・Point 3 かわいい色に突進♪ 風景をふわっとボカすとさらにカワイイ
 →背景をぼかすと主役が引き立ちます。レンズの望遠側で近づいて。

・Point 4 自分の色をみつけよう♪
 →ホワイトバランスを使って自分だけの色に。ホワイトバランスを電球にするとブルーの世界に。

・Point 5 ごはんはキラリ☆がポイント♪
 →ごはんにテカリができると美味しさアップ! 光の入る方向に注目してカメラを構える方向を決めてみよう。

・Point 6 真上からごはんはカワイイ♪
 →カワイイと思うアングルを探して撮ってみよう。お皿を少し切って撮影するとオシャレ度アップ!

・Point 7 主役の背景に注目♪
 →背景にくる色を木々のグリーンや空のブルーにすると、被写体がふわっと浮き上がります。

・Point 8 何気ない景色の中にも被写体はいっぱい♪
 →自分がいいなと思ったモノを主役にしてみよう。

・Point 9 みんなモデル♪
 →被写体は風景だけじゃない。写真に人物が入ると物語性が生まれやすくなります。

・Point 10 楽しい時間を記憶♪
 →みんなの笑顔は楽しい時間の宝物☆

(2013/5/17)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!