「おいしい写真の撮り方」をパンケーキでレッスン! FUJIFILM×レシピブログの写真教室レポート

料理ブロガーさんを対象とした、料理をおいしく撮るレッスンが、撮影と講評の全2回で行なわれました。講師は、料理ブログのポータルサイト「レシピログ」で、おいしい料理写真の撮り方の連載を担当している福岡拓先生と福原毅先生。撮影と講評のレッスンの様子をレポートします。

参加したレシピブロガーさん12名と福岡拓先生&福原毅先生で記念撮影♪
参加者に貸し出されたFUJIFILM X-M1と、撮影レッスンの被写体になったAPCOのパンケーキ。

おいしい料理を写真に残したい

今回のレッスンは、レシピブログで告知&募集があり、抽選で12名の料理ブロガーさんが選ばれました。

「料理ブログ」といっても、自身が考案したレシピを紹介するブログ、子どものために作ったキャラ弁を紹介するブログ、食べ歩きブログなど、細かいジャンルはみなさん様々。ただ、共通していえるのは、「料理のおいしさを写真に写したい」ということ。参加者の半分以上は、普段はスマートフォンやコンパクトデジタルカメラで撮影していて、レンズ交換式カメラを使う方は初めてだったようです。

1回目のレッスン会場は、料理研究家 大川雅子さんのパンケーキ専門店「APOC」。最初に、ピントの合わせ方や露出補正などのX-M1の基本的な使い方を福岡先生と福原先生から教わったあと、大川先生にパンケーキを焼いていただきます。

福原先生と福岡先生がその調理風景を撮影。プロカメラマンがどのように料理を撮るかを、見て学びました。調理中をプロカメラマンが撮影する様子は、なかなか見ることができないので、とても勉強になったようです。

おいしい写真の撮り方を教えていただいた福岡拓先生(左)と、福原毅先生(右)。レシピブログで、「すてきに残そう、いつものごはん 〜料理写真の撮り方〜」という人気連載を担当されています。
福原先生と福岡先生が関わった『おいしい写真のレシピ』が、テキストとして参加者に配られました。レッスンで教わったことだけでなく、レッスンでは伝えきれなかった内容も書いてあるので、家でしっかりと復習することができます。料理カメラマンだから知っているノウハウが詰まっているので、料理写真好きの人は必見です。
大川先生の調理風景を撮影する福岡先生と福原先生。調理をする人の邪魔にならない程度に声をかけてコミュニケーションをとり、パンケーキの流し込みやひっくり返すタイミングを撮影していました。

焼き上がったパンケーキをお皿に盛りつけ、福岡先生においしく撮るコツをレクチャーしてもらいました。コツは、逆光とプラス補正。また、料理は時間の経過とともにおいしさが失われてしまうので、素早く撮ることが大切だそうです。

「料理写真は、作る前にあらかじめテーブルコーディネートやカメラの設定を準備しておきましょう。料理ができたら、とにかくたくさん撮る。ピントは撮影中に確認しますが、写真を選ぶのはパソコンに取り込んでからにしましょう」と、福岡先生からのアドバイス。

できあがったパンケーキ。調理前にカトラリーやランチョンマットを用意して、できあがりをすぐに撮影しました。
福岡先生と福原先生の実演レクチャー。2人1組になって協力しながら撮影すると、シロップをかけるシーンなどライブ感のある写真も撮ることができます。

その後、参加者にひとり1皿パンケーキが配られ、各自で撮影しました。参加者同士が協力してシロップをかける写真を撮ったり、お互いの写真を見せ合ったり。撮影後は、パンケーキをおいしくいただき1回目のレッスンは修了しました。

参加者にパンケーキが配られ撮影タイム♪ 縦位置構図にしたり、真上から撮ってみたりと構図を意識する人が多く見られました。
撮影中は先生が参加者を周り、質問に対してていねいに答えていました。
ホイップと粉砂糖のかかった、おいしい部分をクローズアップして撮影(撮影:福岡拓先生)
X-M1のアドバンストフィルター「トイカメラ」を使って撮影(撮影:福原毅先生)

1回目のレッスン修了後、参加者にX-M1が3週間貸し出されました。

「今日のレッスンだけで写真がいっきに上手くなた気がします。3週間楽しみます!」

「習ったことを家で復習して、おいしい写真を撮ってきます!」

と、みなさん笑顔でX-M1を持ち帰りました。

講評会のあとはスタジオでレクチャーも

1回目のレッスンから3週間後、外苑前アイランドスタジオで講評会が行われました。

参加者は、APOCで撮影したベストショットと貸出期間中に撮影したベストショットを1枚ずつ事前に提出。講評当日、会場にいくと富士フイルムの銀塩プリントで出力された提出写真が並べられていました。

富士フイルムの銀塩プリントで、出力した提出作品たち。参加者からは、「写真を撮ることで、料理の盛り方や食材の色の組み合わせを意識するようになりました」という声も聞こえました。

講評で一番多く先生方から指摘されたことは、箸やナイフ・フォークなどのカトラリーの置き方と、お皿の切り方。

料理を食べるときは、カトラリーは必要ですが、写真の場合は中途半端に入れるくらいなら入れないほうが収まりがよいそうです。

お皿の入れ方は、片側を切ると画面に広がりが生まれ奥行き感も生まれます。お皿の両端を切ってしまうと、画面が分断された印象になり、奥行き感も薄れてしまうので注意が必要とのこと。

ほかにも参加者の写真を講評しながら、主役の料理と脇役になるものの組み合わせ方、料理映えする野菜の切り方と盛りつけ方。器の選び方など、被写体となる料理とスタイリングのポイントを教えていただきました。

参加者の方がX-M1を3週間使って楽しんだ様子は、各自のブログで紹介されています。参加者のブログは、レシピブログのFUJIFUILM X-M!で撮る おいしい♪写真教室から見ることができます。

講評後、参加者から質問が多かった自然光の撮影方法と夜に撮影したいときの対処法がレクチャーされました。

1回目のレッスンはお店だったので手持ち撮影でしたが、自宅で撮影する場合は三脚が必須とのこと。三脚を使えば料理のスタイリングがしやすく、暗い場所でも画質のよい低感度で撮影できます。

自宅で撮影する場合は三脚を使って撮影すると、画面で構図を決めながらスタイリングすることができます。シャッターボタンを押したときぶれないように、リモートケーブルを使うと便利だそうです。
質問で多かったのが「夜ごはんを撮影するときはどうすればいいですか?」というもの。蛍光灯や電球の光では色がかぶってしまうので室内の明かりをすべて消し、太陽光に近いブルーランプを使うのがオススメだそうです。ブルーランプとソケットは合わせて5,000円程度。光源を壁側に向けることで、人工的な逆光が作れ、光もやわらかくなります。

講師の福岡先生と福原先生にお話を聞いてみました。

「人はみんな、毎日食事をします。料理ブロガーさんの撮る料理は、特別なハレの料理ではなく、日常の料理です。おいしい記憶は、幸せな記憶だと思います。だから日常の料理のおいしさをきれいな写真に残したいという気持ちは当たりな前なのではないでしょうか。これからもおいしい料理写真のレッスンを続けていきたいですね」(福岡先生)

「何度か料理写真のセミナーをさせてもらっていますが、参加するみなさんは“料理をおいしそうに撮りたい”と、撮りたいイメージをはっきり持っています。撮影後のイメージがはっきりしているから、撮影技術を伝えるとどんどん上達していきますね。今回も、初めてミラーレスカメラを触った人でも、3週間ですごく上達したと思います。料理写真は料理とスタイリングで8割、撮影テクニックは2割です。今回のレッスンを思い出して、おいしい写真を撮り続けていって欲しいですね」(福原先生)

最後に、講評に提出された参加者の作品を紹介します。おいしい写真をお楽しみください♪

撮影:happyさん(Happy Life Style
撮影:Hitoさん(*Cafe Smile*
撮影:misaさん(おうち*Bakery
撮影:SAOさん(***SAO's SWEET LAB.***
撮影:wacameさん(ゆうげのしたく
撮影:ココキッチンさん(ココキッチンのレシピ
撮影:たんぽぽさん(たんぽぽブログ
撮影:もりもんさん(まいにち☆おいしい
撮影:ルーナピアットさん(Lunapiatto 料理と暮らしの写真日記
撮影:館長さん(館長の台所
撮影:福岡拓先生
撮影:福原毅先生
(2013/11/2)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!