編集後記

2022年6月24日

宮本義朗

富士フイルムフォトサロン東京(港区赤坂)で開催中の写真展「写真家・平間至の両A面」を取材してきました。アーティストを写した「アー写」と、営業写真館で一般の方を写した「エー写」を同じスペースに展示しており、平間さんが写し撮った様々な“人の姿”をご覧になれます。

私がとくに印象に残ったのは「エー写」の数々でしょうか。それらは、通常頭に思い浮かべる「写真館で撮った写真」のイメージとは異なり、そこに写る人たちの息遣いや感情までもがこちらに伝わってくるように感じられます。普段、家族の記録写真を撮ることが多い私は、それらの作品に深い感銘を受けました。6月30日まで開催中です。

コロナ禍ということもありしばしお休みしていた「写真展リアルタイムレポート」ですが、このたび新たに再始動することになりました。お届けするのはライターの市井康延さん。

写真展に興味はあるけれど、“作品を鑑賞する”となると何となくハードルが高く感じられる人も多いかと思います。市井さんは作家の人となりを見つめ、どうしてその作品が生み出されたのかなど、写真展を味わうヒントを教えてくれます。

作品を見て感じることは、本来は人それぞれにあっていいものなのだと思います。「何となく良いと感じるから、良い」と、それくらいの感覚でもいいのではないかと。論理的に、技術的に語れないとダメな気がして、それが作品鑑賞の敷居を高くしているようにも思います。

私たちが大好きなカメラ。それをどんな人がどんなふうに使って、どんな作品が生み出されたのか。この連載が写真展というものに触れるキッカケにもなればと思っています。