編集後記

2021年8月20日

宮本義朗

マイカーはMT車です。しかし、べつにスポーツカーに乗っているわけでも、旧車に乗っているわけでもありません。ごくごく普通の乗用車です。“MT車を運転する”ということが好きなだけですね。

MT車を好んで乗るようになってだいぶ経つので、運転を苦に感じることはありません。むしろ、「もう少しクラッチを早く繋いじゃってもいいな……」とか、「左肘の角度はこうしたほうがシフトレバーの操作が早くなるな……」とか、「アクセルはもっとゆっくり戻した方がいいな……」とか、いまだに運転をするたびに新しい気付きがあったりして、飽きないなーといったところです。向上心の塊です。

YouTubeにもMT車の運転術を指南するチャンネルが山ほどありますね。とあるチャンネルで、自動車メーカーで長年テストドライバーをつとめた男性が次のように話しました。「車の声を聞くことが大事」と。

なるほど、と思うわけです。運転時には車の声に耳を傾け(ただのエンジン音)、車の鼓動を感じ取ります(ただの振動)。それに対するレスポンスとして、シフトチェンジであったり、クラッチの操作で応えてあげる。これはまさに対話という行為だといえるでしょう。

意志持たぬモノの声を聞くって面白い考え方だなと思います。日々、いろんな道具を利用して生活をしていますが、「使う」ということと「使いこなす」ということには大きな違いがあります。なるべく「使いこなし」て行きたいと思うわけで、そのためには道具と向き合い、道具自体のことをよく理解する必要があるなと。使いこなしたいモノが沢山ありすぎて、時間が足りません。