山岸伸の「写真のキモチ」
第38回:1年で最も撮影したグラビアアイドル、草野綾
これまでとその先
2023年1月15日 13:00
草野綾1st写真集「あめ色の空に」で初タッグを組み、そのわずか1年後に2nd写真集となる「白ばらの夜」を出版。そして新しく撮り下ろしたグラビアDVDとデジタル写真集の発売が予定される。山岸さんがこの1年で最も撮影したグラビアアイドル、草野綾さん。これまでとその先について、お話しを聞きました。(聞き手・文:近井沙妃)
今の時代に、1年で2冊の偉業
短期間でこんなに撮る子って、そんなにいないんだよね。撮影時を含めると2年経っているけれど、出版は1年で2冊になる。グラビアの全盛期、中でも巨乳であることが売りで人気があったグラビアアイドルの人たちは1年に2~3冊の写真集を出したりもしたけど、今はなかなか簡単にできなくなってきた。そういう意味でも綾ちゃんと1年で2冊出版できたことが嬉しいし、1st写真集にして初ヌードとなる大事な1冊をメジャーな出版社から出せてとても有り難かった。
(草野)全部素敵なんですけど、1stと2ndの出来を見比べるとやっぱり最初は緊張していて、現役グラビアアイドルがドカンと初ヌードを出すとなったらどうしても世間の目や評判が気になってしまって……、正直に言うとふわふわというか少しモヤモヤとした気持ちのほうが大きくて、そういう部分が表情の硬さなどに出てしまったかなと思いますね。
(草野)毎日のようにTwitterやインスタを更新すると、たまにフォロワーでない外部の方からマイナスなコメントを書かれたりして、「わ~出た~」って思うんですけれど、そういうマイナスなコメント数の100倍くらい嬉しいコメントが来たりもするし、1stがファンの方たちから受け入れてもらえたことや数字で見える成果が出たことが自信に繋がって、2ndでは表情のバリエーションも増えたり、その変化が伝わってくると言っていただけました。内面的に強くなったと思います。
これで終わりじゃない
俺が自分で写真を選ばないんだよね。というのは、自分で選ぶと最後までお付き合いしないといけないわけ。本当に最後の印刷工程まで。撮った人間としては、知らない人に任せたらどういう風になるんだろう、どんな本を作ってくれるんだろうっていう楽しみがある。
1冊目とその先を考えると、同じ人だから関わりすぎるとまたどうしても同じように似ちゃうわけだよね、好きな写真や撮り方、写され方とかがあるわけだから。それはやっぱり偏らないように第三者に任せた方がいいかなって、俺は昔から写真選びに口を出さない。撮って、納品して、どういう風にできるか。
中には納得いかないものもあるんだけどね(笑)。だけどこれで終わりじゃないっていつも思っている。なんでもそうなんだけど、その先を俺が撮る撮らないではなく、お互いに隙を残しておく。次はこうなんだよねっていう、究極が無くなることはないから。
距離感と自分の中のルール
俺は自分の写真はエロくないと思ってるんだよ、自分で(笑)。撮られた人はどう思うかわからないけれど、撮影時にはこんなにスタッフが周りにいて、綾ちゃんは恥ずかしいかな? とも思うけど、俺は二人っきりの方が撮りづらい。
だけどこういうグラビアの撮影は二人っきりで撮って近づいていくことが多いだろうし、カメラとの距離も物凄く近づく。俺はその距離感があまり好きじゃない。昔から距離は置いて、近づくと言っても体ではなくレンズで近づくっていう。
俺はこのぐらいの距離感がいいかなと思って撮影しているけど、自分が近づいていない分やっぱり吐息や熱感みたいなものは伝わらないわけだよね。常に離れてズームレンズで撮っているからほとんど動かなくてもアップになっちゃうわけ。そこは自分の足で寄って行って撮る方がいいのかもしれないけど、そうしないのが俺流かなって。
近づいて優しく話しかけて、ちょっと触れたりなんかしたら訴えられちゃうよね、特に今の時代は。もちろん受け入れられちゃってもまた変だしね、本当に。いろんな人と関わる中でも綾ちゃんはこの1年で1番仲良くなってると思うけど、それでもやっぱりこの距離感が大切かなって、自分の中のルールを決めている。
自分自身のためにひとつでも表現してくれたら
俺はヌードを撮ってると全然思ってないの。綾ちゃんも意外と「嫌だ嫌だ」って脱ぎ方をせずに、バーンと出てきてくれて、そのバーンっていうストレートな気持ちがぶつかりあったらもうほとんど心身共に着てないんだよ(笑)。シンプルに向き合って撮ってる。
ヌードじゃない写真の方が少ないんだけど、それは仕事だからやらなきゃっていうのとはまた違って、「自分のためだ」って考えてくれているのが綾ちゃんから伝わってくる。俺はいつも写真を撮るとき、「俺のために」じゃないのよ、「自分(被写体)のためじゃん?」って、だから頑張ってひとつでも何か表現してくれたら仕事はうまくいくと思ってる。綾ちゃんとはその辺の感覚が言葉にしなくても成立していて、やってよかったってお互いが思えるというのが仕事としてすごく成功だなと感じる。
被写体に似合う場所、被写体が望む場所
ロケ場所ってそんなにたくさんあるわけじゃないから、週刊誌を見ていると他の人も結構同じ場所で撮っていて、「これ、こないだ行ったところだよな」、「こういう風に撮るんだな」ってアシスタントと話したりする。
俺は意外とその場所が分かるように撮っちゃう。分かるようにっていうのは、そのスタジオの「イイ所」だから明るくしたり暗くしたりして使ってるわけで、わからなくする必要性も無いんじゃないかと思って。犬じゃないけど敢えてマークしている。自分がその場所を使用しているという印をつけておくのもカメラマンとして大事にしていること。
2冊目の撮影地である山形県酒田市の元グランドキャバレー「白ばら」は閉業することを前提としてロケ地に選んでいる。ここは完全に昭和の空気があって、無くなってしまうっていうイメージのまま撮ったけど、綾ちゃんがここで撮影したいって言ってくれたから行けたんだ。何でも被写体あってのことで、グラビアは特にそう。被写体にとってイメージに合わない場所だったり、過酷な環境であったり、嫌なことを無理矢理しても良くないから。
本当の自分のものを残すということ
写真って、残すことしかないんだよ。写真は残すためにあるから、撮らなきゃ残らないし。例えば綾ちゃんがママになって将来子どもが高校生になったりしたときにママの写真を見て、その写真が物凄くレタッチされているものだったら、「ママの顔が随分違うね」ってなる。本当の自分のものを残しておくというのは、別にヌードであろうがなかろうが俺は同じく大事だと思う。
その次がまた繋がっていく
1年前の写真があったから2冊目の写真集ができて、次はすでに撮影が済んでいるグラビアDVDとデジタル写真集のリリースが控えている。DVDの映像はアシスタントのマッハ君がソニーα1とソニーVLOGCAM ZV-1で撮っているんだけれど、DVD撮影の前に2冊のヌード写真集の撮影に同行しているから、今回はとても撮りやすかったと思う。随分長回しするから怒っちゃうくらい(笑)。ぜひ発売を楽しみにしていて欲しい。写真はもちろん俺が撮っていて、今回は映像・写真共にヌードではなく、またちょっと違う表現でね。今度リリース予定のデジタル写真集より、一足先に何枚かお見せします。
この前は、偶然とあるコンテストの審査で綾ちゃんと一緒になったんだけれど、もしかするとタイに行く機会ができそうで、マネージャーさんと「タイで綾ちゃんを撮らせてよ」という話で盛り上がった。他にもうちのギャラリーでイベントを企画していたり、またひとつひとつが自然と繋がっていく。こうして可能な限り、グラビアアイドル 草野綾を写真で残していくことができたらと強く思う。
◇
草野綾
1994年4月23日生まれ、福岡県出身、T162/B87/W62/H88
2017年にグラビアデビュー。“最高級のメロンカップ”と称されるGカップバストを武器に、グラビア界を席巻中。2冊目の写真集では、山形県酒田市の元グランドキャバレー「白ばら」などで撮影を敢行。メロンパイはもちろん、女盛りのボディが美しいと評判を呼んでいる。
公式ツイッター:@nikunikuhappy
公式インスタグラム:@kusano_aya