岡嶋和幸の「あとで買う」

448点目:写真表現を支える技術や考え方が学べる本

大和田良『写真制作者のための写真技術の基礎と実践』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムが沢山あります。この連載では、撮影や写真関連のアイテムを中心にその中身をお届けします。購入前の製品については使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

大和田良『写真制作者のための写真技術の基礎と実践』

写真学生に向けた参考書で、写真愛好家の方にも最適といえるでしょう。写真の基礎知識が学べる『さあ、写真をはじめよう 写真の教科書』の次のステップに進むための1冊として、また『写真を紡ぐキーワード123』の情報を強化するような内容の1冊として、写真撮影における「技術」と「表現」に焦点を当てながらまとめられたそうです。

写真を趣味にされている方なら誰でも知っている当たり前のことが書かれているようで、でも解説の仕方がひと味違ったりします。知っているつもりだったことがあるかもしれません。書かれている内容について、東京工芸大学や日本写真芸術専門学校でプロを目指す若者を指導する大和田さんだからこその安心感があります。

「写真に構図法は不要か?」「写真教育における模倣、実践としての写真史」「ステートメントの書き方と必要性」「写真と言葉」「写真は量か」「なぜコンペティションで落選するのか」など後半部分は興味深いテーマについて触れられています。販売価格は2,750円で、Kindle版もあります。

デジタルカメラマガジンやデジカメ Watchでもお馴染みの著者の大和田さんですが、本日より雑誌『写真』×エプサイトギャラリー特別企画展『Differential Notes(Case1_Nature)』を開催されます。それに合わせて行われたスペシャルインタビューも公開されているので、興味のある方はぜひご覧になってください。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。