中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
ゆる鉄探訪 第13回「三岐鉄道北勢線」
軽便鉄道の原風景が残る路線
2023年2月10日 09:00
僕が大好きなゆる鉄路線をご紹介する「ゆる鉄探訪」。路線の撮影ポイントや見どころのほか、僕がその路線で撮影したBEST SHOTもご紹介します。
13回目は、前回ご紹介した四日市あすなろう鉄道と同じ「ナローゲージ」路線である、三岐鉄道北勢線を取り上げたいと思います。
復習になりますが、ナローゲージとは一般的な鉄道よりも線路の幅が狭い鉄道のことで、この北勢線の線路幅は762mmしかありません。新幹線の線路幅が1,435mmなので、約半分の広さしかないんですね。
全国に4路線しかないナローゲージ路線のうち、実に3路線が三重県に集中していますが、もともとは同じ三重交通の路線だったことに由来しています。今はバスが中心である三重交通には、なんと5路線ものナローゲージ路線がありましたが、そのうち内部・八王子線は近鉄を経て四日市あすなろう鉄道に、湯の山線は線路幅を変更して近鉄に、松阪線は廃止、そして北勢線も近鉄を経たあと三岐鉄道に譲渡され、現在に至っています。
これがナローゲージの風景。パッと見るとわかりませんが、よ〜く見てみると驚くほど線路幅が狭いですよね。そして走っている電車も、まるで昔、デパートの屋上に走っていた「おとぎ電車」みたいでしょ? こんな奇跡のような風景が、いまだに健在なのです。
ご一緒した高校生にお願いして撮影した車内シーン。あまりに狭いので、体育会系の男子が向かい合って座ると、足がついちゃいます(笑)こんな風景が見れるのも、ナローゲージならでは。
西桑名駅を出てしばらくは、市街地が密集するなかを、トコトコと走ります。こちらは馬道駅に近い走井山公園の中にある走井山延命地蔵堂で撮影したもの。お稲荷さんの入り口に「見ざる言わざる聞かざる」の三猿がいるので、列車とからめてパチり。北勢線の車両は黄色ですが、一編成だけ三重交通時代のカラーリングを復刻した車両が走っています。
市街地を走ってきた北勢線は、穴太(あのう)駅付近でようやく田園風景になります。青い空と緑の田んぼ、そして黄色い電車が映えますね。ちなみにこの黄色い塗装は、本来の三岐鉄道カラーになります。
鉄道ファン以外はあまり興味がないと思いますが、列車をよく見ると、左から2両目までは電車が短く、一番右の車両だけが長いのがわかると思います。短い方は三重交通時代からの古い車で、鉄道ファンとしてはレトロ感があってたまらない車両なんです。だからわざと新しい長い車両を構図から外して撮る……なんてこともあるのです。
でもやっぱり僕のイチオシは、三重交通カラーに復刻された200系電車。これは北勢線開通100年を記念して2013年に塗装変更された車両。黄色い電車もかわいいけど、レトロ感のあるツートンカラーは最高です。デザインも昔のままで、流線型の先頭部と大きな二枚窓がオシャレです。軽便鉄道そのままの風景のようなこの作品が、北勢線のベストショットになります。
ちなみに横からの写真をよく見てもらうと、中間車の台車が、隣の車両に跨る形で取り付けられているのがわかると思います。これは連接台車と呼ばれるレアなもので、最近では小田急ロマンスカーなどにも採用されていましたが、ローカル線ではかなり珍しい存在なのです。どの列車に入るかはわからないのが難点ですが、北勢線に行ったらぜひ撮って欲しい、愛しの車両なのです。
記事冒頭の「ねじり橋」よりも阿下喜側に進んだ位置にある「めがね橋」。正式には明智川拱橋という名称で、「拱橋」とはアーチ橋のことを指します。昔ながらの3連アーチはとても美しく、北勢線のかわいい車両と合わせて撮るには最高の舞台ですが、ここではあえて鉄橋を小さく、周囲の風景を入れて撮るほうが、バランスが良くなります。1枚目は空を大きく入れて、2枚目は川を入れて。まるで昭和にタイムスリップしたかのような、素朴な風景がたまりません。
こちらも楚原〜麻生田間にある山田川橋りょう。ガーターと間隔の狭い橋脚だけの素朴な造りは、軽便鉄道時代の趣をそのまま残しています。ここではあえて近くの道路の欄干を入れて撮影してみました。夕日のハレーションをあえて目立たせることで、懐かしい雰囲気に仕上げています。
三岐鉄道北勢線には、いつのまにか姿を消してしまった軽便鉄道の原風景が、そこかしこに残されています。鉄道に興味のない人でも、お気に入りのカメラとともに散歩感覚で撮影するには最高の路線ですので、ぜひ訪ねてみてね。
中井精也からのお知らせ
中井精也考案カメラバッグ
この度、なんと!なんと!! 中井精也考案モデルのカメラバッグが登場します! 写真撮影で欠かせないのがカメラバッグ。2023年2月中の予約生産品になります。
従来のバッグだと……
「レンズの“もう一本”が入らない」
「望遠レンズ付けっぱなしだと入らない」
「フィルターなどアクセサリー入れが小さい」
など何かと制限がありましたが、今回は中井精也自ら撮影に最適なカメラバッグを考案し、backroomさんとのコラボで形になりました。
https://team-backroom.com/pages/railroad-adventure
<ここがポイント!>
①強度・軽さ・防水性を兼ね揃えたX-PACモデル
②70-200mmのレンズをボディに取り付けたまま収納可能
③形が崩れにくいバッグ
④背負ったまま開口部が自分側に開くデザイン
⑤ショートベルト付属で手軽に持ち運び
※予約受付期間:2023年2月1日 10時00分〜2月28日10時00分まで
※発送予定:2023年5月中旬
※本製品は予約受注生産品となります。
※中井精也スーパースペシャルエディションはX-PAC(CYB)です。
三陸鉄道貸切の旅2泊3日
3月11日(土)〜13日(月)に三陸鉄道ツアーを開催いたします!!
今回のツアーのポイントは、撮影だけでなく三陸鉄道の貸切列車に乗車したり、今が旬の三陸の海の幸(牡蠣)を食べたり、三陸を満喫できるプランになります!
さらに! 今回の貸切列車では、佐々木翔太運転士による貸切運転です! 一緒に中井精也と三陸を満喫しちゃいましょう!
https://ameblo.jp/seiya-nakai/entry-12786046969.html
実施日:2023年3月11日(土)〜13日(月)
費用:大人ひとり 9万9,900円(税込)
定員:35名(最小催行30名)
<スケジュール>
集合:3月11日(土)9時50分 盛岡駅
解散:3月13日(月)16時 盛岡駅
ゆる鉄画廊NOMAD開催のお知らせ
鉄道写真家中井精也の作品を展示販売するギャラリー&ショップ「ゆる鉄画廊NOMAD」開催のお知らせです。
<ゆる鉄画廊NOMADホームページ>
https://garou.ichitetsu.com/
<中井精也公式ブログ「1日1鉄!」>
https://ameblo.jp/seiya-nakai/
◯臨時 ゆる鉄画廊NOMAD桜木町
2月23日(木)〜26日(日)の期間に、CP+2023の開催と合わせて、臨時のゆる鉄画廊NOMADを開催いたします。中井精也の在廊情報や詳細は決まり次第、ブログでご案内いたします。
期間:2023年2月23日(木)〜26日(日)
会場:大貫カメラ「FOCUS POINTギャラリー」
※2月25日(日)のみ、会場がレンタルスペース「ちぇるる野毛210号室」になります。
◯ゆる鉄画廊NOMAD甲府
3月18日(土)〜21日(火・祝)の期間で、山梨県甲府市にある「元麻布ギャラリー甲府」にてゆる鉄画廊NOMAD甲府を開催いたします。期間中は毎日、中井精也は在廊いたします。営業時間など詳細が決まり次第、ブログでご案内いたします。
期間:2023年3月18日(土)〜21日(火・祝)
会場:元麻布ギャラリー甲府