中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
春満開ゆる鉄撮影地ガイド!①
小湊鐵道・いすみ鉄道編
2020年1月25日 07:00
暖冬とはいえまだまだ寒い日が続きますが、うかうかしていると、春はすぐに来ちゃいますよっ!ということで、この春に撮影したいゆる鉄スポットをご紹介します。
1回目の今回は、千葉県の小湊鐵道といすみ鉄道の撮影スポットのなかから、僕が厳選した4つの撮影地をピックアップしました。昨年はさまざまな自然災害により、千葉県にとっても大変な年になりましたが、今年はきっといい年になるっ!まずは手始めに、桜を撮りに千葉へ行きましょう!
①東総元カーブ(いすみ鉄道 東総元〜久我原)
まずはいすみ鉄道の定番ポイント、東総元〜久我原のカーブをご紹介します。ここはカーブの両側が桜並木になっている絶好のシチュエーションで、シーズンになるとたくさんのカメラマンが訪れます。駅からも近いので、列車+徒歩で撮影するのに最適です。
撮影全景はこんな感じ。撮影した年は線路わきの菜の花が寂しい感じでしたが、運がいいと桜と菜の花を両方撮れます。画面右側に国道があり、そこから写すことも可能です。
国道から見るとこんな感じです。こういう有名撮影ポイントに行くと、どうしても定番のカットだけを撮ってしまいがちですが、この場所から桜越しに流し撮りをすることも可能です。
列車の手前に桜を入れた状態で流す、いわゆる「木流し」という手法ですが、一番のポイントはシャッター速度の選択です。速いシャッター速度だと成功率は上がりますが、動感が弱くなるうえ、桜もハッキリと写りすぎるため、列車が目立たなくなってしまいます。
逆にシャッター速度を遅くしすぎると幻想的にはなりますが、成功率が低くなるだけでなく、桜もブレすぎて雰囲気が損なわれてしまいます。そこで、列車の速度を想像しながら素振りをして、シャッター速度を決めていきます。ここでは1/25秒と決めました。季節感よりも車両メインの作品になりましたが、朝の光線の爽やかさが、いい仕事をしてくれました。
②隠れた春の名景(小湊鐵道 上総牛久〜上総川間)
ここは列車からロケハンをして見つけたポイントです。小湊鐵道には数え切れないほど通っていますが、こんなに素晴らしいポイントが残っていたなんて本当に驚き。菜の花の築堤とそこに立つ満開の桜、電柱もないスッキリとした築堤に、列車が走るというまさに奇跡のような風景です。やっぱり列車からのロケハンは大切だなぁと、実感しました。なぜか撮影する人も少なく、まさに知る人ぞ知る名ポイントなのです。
③石神の菜の花畑(小湊鐵道 上総大久保〜養老渓谷)
続いては小湊鐵道最大の撮影ポイント、石神の菜の花畑です。この写真は小湊鐵道名物、「里山トロッコ」から撮影したカット。ねっ? これだけでもスゴいでしょ?
線路のまわりが一面菜の花畑という、すばらしいシチュエーションです。残念ながら昨年は連作の障害が出てしまいほとんど咲かなかったということですが、今年はどうでしょうか? とにかくここまで恵まれたポイントはそうそうありませんし、走っている車両も昔ながらのディーゼルカーなので最高です。ただ最近は土休日になると多くの観光客が訪れますので、こういうシーンを撮りたければ、平日の夕方がオススメです。
菜の花畑の高さから望遠レンズで撮影したら、菜の花に埋まるメルヘンチックな列車になりました。ちなみにこの里山トロッコは、SLっぽく見えますがディーゼルカーで、雰囲気を出すためにちゃんと煙も出してくれます。
菜の花いっぱいで流し撮り。列車の速度がかなり遅いので、シャッター速度1/3秒の手持ち撮影で流しています。菜の花の海の上を走っているみたい! この石神の菜の花畑は、地元の方々の配慮で大きな駐車場が用意されています。畑のわきの道には駐車せず、駐車場に停めるようにしましょう。
④飯給の水鏡(小湊鐵道 飯給駅)
飯給と書いて「いたぶ」と読む難読駅ですが、さまざまな作品が狙える最高の撮影ポイントです。こちらは車両メインの人に向くポイントで、月崎方の斜面を上った場所から撮影します。ホーム横の桜だけでなく、背景の桜も入るので、思ったよりもボリューム感のある桜を撮影できます。1枚目は里山トロッコですが、実はバックショットです。この列車は客車側にも運転席があるので、五井に戻るときは機関車が後ろ向きのまま走ります。
上の2枚の写真、違いがわかりますか? 1枚ずつ見るとわかりにくいかと思いますが、意外に1枚目のような露出で撮ってしまっている人が多いのです。ちなみに2枚目は+1/2EVの露出補正をしています。わずか半段の違いですが、全体が明るく爽やかな雰囲気に仕上がっているのがわかると思います。この1枚目が「隠れアンダー」と呼んでいる現象です。白くて反射率の高い桜が画面にたくさん入ることで、露出アンダーになってしまうのです。今年は隠れアンダーにならないよう、かならず段階露光してみてくださいね。
やはりこの場所でも定番カット以外にチャレンジしたいところです。1枚目は列車がいませんが、とってものんびりした線路わきの雰囲気が写った気がして、お気に入りです。列車以外の時間も、撮影チャンスなのですよ。
2枚目は、駅にお散歩に来た近所の保育園の子どもたち。先生が線路の反対側から子どもたちの記念写真を撮りはじめたので、うしろから「すいませ〜ん、こっちからも撮らせてくださ〜い!」と声をかけたところ、「みんな〜! あのおじさんが撮ってくれるって〜」という嬉しいお返事。桜全体を入れるか死ぬほど悩みましたが、ここでは思い切って水鏡も桜の大部分もカットして、子どもたちの表情を優先することを決断。子どもたちの表情が生きた作品になりました。
こちらが飯給駅の定番カット、水鏡に映る桜です。地元の方のご厚意で手前の田んぼに水が張られていて、美しい水鏡の風景になるのです。停車中に列車全体を入れて撮るのもいいですが、駅をメインに、列車はちょろっとだけ入る構図にしてみました。
そしてこの撮影地の最大の見せ場は、夜です。地元の方々の手作りのライトアップで輝いた桜が、水鏡に幻想的に映ります。ちなみに土日は200人くらいカメラマンが集まることもあるので、余裕がある人は平日がオススメです。4月とはいえ夜はかなり冷えるので、厚着していたほうがいいでしょう。この夜景の隠しワザは、ホワイトバランス「蛍光灯」です。まるで能の舞台のような幻想的な世界が撮影できますよ。ぜひお試しあれ。
いかがでしたか? こんなに魅力的な撮影ポイントが隠された千葉って、本当に懐が深いでしょ? この春、みなさんもぜひ千葉のローカル線に撮影に行って、どんどん千葉を盛り上げて行きましょう!
中井精也よりお知らせ
大井川鐵道SLフェスタ2020in新金谷 開催のお知らせ
2020年2月8日(土)〜9日(日)の2日間、静岡県の大井川鐵道にて鉄道イベントが開催されます! 期間中は沢山のイベントのほか、中井精也による写真教室やゲストの皆様とのトークショーも開催! 子供から大人まで楽しめる2日間となりますので、家族でぜひお越しくださいませ!
イベント詳細は大井川鐵道のWebサイトをご覧ください。
http://oigawa-railway.co.jp/archives/26068