中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
春満開ゆる鉄撮影地ガイド!③
関東編
2020年2月25日 12:00
今回のジョイテツ!も春の撮影地ガイド。関東甲信越地方の名所をご紹介します。今年は桜の開花がかなり早いみたいですね。関東も3月末には満開になるとか。ぜひ、春の撮影を楽しむ参考にしてみてください。
御殿場線 山北駅付近(神奈川県)
ここは桜と列車を撮影するポイントとして超メジャーです。こういう有名なポイントほど、撮る人はよく知られた構図に集中するため、意外なお宝が隠れているもの。定番だけで終わらず、いろいろなアングルを探してみましょう。
山北は線路の上を渡る跨線橋から撮影するのが定番で、いつもカメラマンがたくさんいます。そんなときこそ、自分らしい構図を探すチャンス。サイドから桜を入れて撮影できるポイントもけっこうあるので、ウロウロしながらポイントを探しましょう。この場所は切り通しの下を線路が走るので、どうしても列車までの距離が近くなってしまいます。結果として超広角レンズを選択せざるをえなくなり、ボケを生み出しづらくなるのです。そこで、線路とできるだけ離れた桜を探すことでボケを生かした構図にすることができました。
有名撮影ポイントでも、自分だけの風景を探せるようになると、きっと撮影が楽しくなるはずですよ。見頃は3月末〜4月初旬にかけて。
中央・総武線 市ヶ谷〜飯田橋(東京都)
総武線の市ヶ谷から飯田橋にかけて車窓から見ることができる外濠公園の桜並木。都会の真ん中でありながら、ボリュームたっぷりの桜を電車とからめて撮影できるポイントです。都内でお仕事されているかたは毎日のように眺めていながら、実は撮ったことないって人も多いのではないでしょうか?見頃は3月末から4月初旬ですが、場所により開花時期に差があるので、満開の時期が長いのも嬉しいところ。出勤前に、退社後に、カメラを持って撮影を楽しんじゃいましょう。
桜の写真は彩度を高くして鮮やかに撮るのが定番ですが、あえて彩度を落として撮ったのがこの作品。とにかく電車がたくさん来るので、ふだんできないことにいろいろチャレンジしてみましょう。
都電荒川線 荒川二丁目駅付近(東京都)
都電荒川線にも桜の撮影ポイントがいくつかありますが、撮影しやすい場所はあまり多くないのが実情。ここ荒川二丁目電停付近は、三河島水再生センターの桜並木が続くので、都電と桜をからめた作品を狙える貴重なポイントです。
この作品は桜のシーズンの終わりに、花吹雪を狙って撮影したもの。風が吹くたびに桜吹雪になりますが、意外と都電とのタイミングが合わないことが多く、この日も3時間くらい粘って撮影しました。動画と違いスチール写真では、桜吹雪は桜をバックに撮っても写らないので、できるだけ花びらが目立つ背景を選び、気持ち露出アンダーで撮影しています。見頃は3月末〜4月初旬。
流鉄 馬橋〜幸谷(千葉県)
都心から比較的近い場所にありながら、その存在を知らないという人も多いであろう流鉄。常磐線の馬橋駅から分岐するこの路線は、もともと総武流山電鉄という名称でしたが、現在は愛称をそのまま社名にして流鉄になっています。
馬橋駅から、武蔵野線と接続する幸谷駅方面に進んだ水路沿いに続く桜並木は、知る人ぞ知る桜の名所。桜並木と線路の間には遊歩道もあるので、散歩する人を入れて撮影すると、よりゆるい春の光景になります。撮影するなら、ド派手なピンク色の「さくら号」が狙い目です。開花予想が早い今年の見頃は、おそらく3月末から4月初旬になるでしょう。
真岡鐵道 北真岡〜西田井(栃木県)
SLが走ることで有名な真岡鐵道。ここはスケールの大きい桜並木と、これまた広大な菜の花畑という完璧すぎるポイントです。条件が良すぎて、どう撮っていいかわからなくなります(笑)。
休日には蒸気機関車が客車を牽引する「SLもおか」号が走りますが、カメラマンも殺到しますので、のんびりと鈍行列車だけで十分という人は、平日がオススメです。見頃は4月初旬〜中旬です。
両毛線 伊勢崎〜駒形(群馬県)
続いては、ほとんど紹介されることのない両毛線のレアなポイント。田んぼのなかからポッカリと盛り上がる小さな丘がありますが、これ実は古墳なんです。「お富士山古墳」というかわいい名前の前方後円墳で、そのまわりに植えられたソメイヨシノが満開になると、とってもかわいい春の風景になります。手前の畑も絨毯みたいで可愛いでしょ?見頃は4月初旬〜中旬。
上信電鉄 高崎商科大学〜山名(群馬県)
真っ赤な鳥居が線路脇に立つ、「秘密の花園」のような撮影ポイント。ここは鹿島神社という小さな神社なのですが、県道30号から森の中の階段でアクセスすると、小さな踏切が突然現れます。このへんからもう雰囲気は最高。桜の木じたいはかなりの老木なのですが、まだまだ元気。僕が訪ねたときは桜が散り、ゆる〜い世界が広がっていました。
とっても絵になる場所なのですが、いざ列車を入れて撮ろうと思うと、なかなか難しいんです。風景だけで構図が完成してしまい、列車を入れる場所がない。なんとかこの構図を作ったのですが、列車が来る場所にしっかりと標識が立っていて、邪魔してくれます。まぁ列車が来たらあまり気になりませんでしたが、暗い色の車両だと目立ち過ぎちゃうかもしれませんね。ほとんど木陰なので、あまりいい天気の日よりも、曇天のほうがオススメのポイントです。あまり知られていないポイントなので、腕試しにどうぞ。今年の見頃は4月初旬かな。
わたらせ渓谷鐵道 神戸駅(群馬県)
群馬県の桐生駅と栃木県の間藤駅を結ぶわたらせ渓谷鐵道。前身である足尾線はもともと足尾銅山から銅を運ぶための貨物線としての役割が大きい路線でしたが、銅山が閉山して第三セクター鉄道として生まれ変わった現在は観光路線として頑張っています。
桜の名所も多い路線ですが、特にオススメなのがご紹介する神戸駅です。「こうべ」と書いて「ごうど」と読むこの駅は、駅のまわりが桜並木とハナモモの木々に囲まれており、満開になるととても贅沢な春の風景になります。見頃は4月初旬〜中旬です。
中央本線 勝沼ぶどう郷駅(山梨県)
勝沼ぶどう郷駅も、ソメイヨシノの桜並木に囲まれた駅。というわけで特急が行き交う中央本線の列車と桜をからめて撮影できるお立ち台になっています。車両派のみなさんは甲府方のホーム先端がお立ち台になりますが、ゆる鉄派の僕のオススメは、駅の横にある遊歩道。ここからはボリュームのある桜並木越しに駅が望めるので、迫力ある春の駅の風景が狙えます。
こちらは駅名板を主役にした作品。春の嵐のような豪快な桜の中でぽつんと立つ駅名板が際立っています。また駅前には電気機関車EF64が静態保存されていて、その周りも桜並木なので、機関車と桜のイメージ写真をじっくりと撮ることもできます。午後のほうが順光になります。見頃は4月初旬〜中旬。
長野電鉄 信濃竹原〜夜間瀬(長野県)
この写真の桜はソメイヨシノではなく、もう少し遅い時期に咲く八重桜です。夜間瀬川にかかる鉄橋の春の風景を、のんびりと撮影できます。そしてなんとこの区間を走る鈍行列車は、すべてもと営団日比谷線3000系という最高のシチュエーション。ステンレスながらレトロな雰囲気が素敵なこの車両と、長野の春の風景を狙っちゃってください。
これは簡単に撮っているように見えますが、よりたくさんの花を手前に入れるために、実はかなり高い脚立を使って撮影しています。でも脚立なしでもフツーに撮れますのでご安心を。日中はほぼ順光ですが、桜に光が当たる午前中のほうがオススメです。見頃は4月下旬。
今年はかなり開花が早いそうですので、開花時期を確認のうえおでかけください。次回は東北の桜の名所をご紹介します!
中井精也からお知らせ
「ゆる鉄倶楽部」は鉄道写真家中井精也の作品を存分に楽しめる会員制写真総合サービスです。今回のジョイテツのように、中井精也のオススメ撮影スポットや、旅のエピソードなどを掲載したメールマガジンを月2回配信しております。
このほかにも、中井精也から写真作品のアドバイスがもらえる「ゆるくらアルバム」への投稿資格や、さまざまな特典が盛りだくさん!詳細は「ゆる鉄倶楽部」Webサイトをご確認ください。皆様の登録をお待ちしております!
ゆる鉄倶楽部公式ページはこちら。
http://foto-nakai.net/