クルマとカメラ、車中泊
冬キャンプ…テント内の寒さ問題を石油ファンヒーターで解決
2025年1月25日 12:00
で、今回はテントの中の話。後ろのテントに置いてあるのは、石油ファンヒーターとポータブル電源。あ、これうちの庭です。
仕事仲間なんかに聞くと都内在住の人は石油ファンヒーターを知らなかったりするので、石油ファンヒーターとはなんぞや、てことをお話ししときます。石油ファンヒーターは、灯油を燃やして熱源にし、その熱をファンで吹き出す暖房器具です。ファンがあるのでAC電源が必要なことが特徴で、本来は家庭内で使うもの。それをポータブル電源でも使えるようにしたのが、コロナ FH-CP25Y(G)(記事執筆時点での最新モデルはFH-CPF25A)灯油を燃やして温風が出ると言う点では2023年に紹介したFFヒーターに似てるけど、別物です。
FFヒーターは車外の空気を使って灯油を燃やし、その排気も車外に出します。温風は車内で循環させるだけなんで、適切に設置されていれば車内の空気は汚れないんだけど、こっちの石油ファンヒーターは室内の空気を使って燃焼し、排気も室内に吐き出すので、二酸化炭素や、場合によっては一酸化炭素も出てきます。だから、車の中で使っちゃ絶対にダメですよ。
この石油ファンヒーターを購入すると箱の中に取扱注意書なる紙が1枚入っているんだけど、3つのチェックポイントが書いてあるほか、2次元バーコードから安全な使い方の公式サイトに飛ぶようになっています。ベンチレーションがついていることと、フロアシートのないテントで使うこと、つまり、意識しなくてもしっかり換気される環境で使うことが大前提ということなんだよね。この取扱注意書やリンク先のページを見るとメーカーがしっかりとアウトドアでの使用も想定しているってわかります。
さて、このFH-CP25Y(G)の最大の特徴はポータブル電源対応ということなんだけど、どういうことかというと、石油ファンヒーターは灯油を点火する時に、まず灯油が綺麗に燃焼するように灯油自体を予熱するんだね。
この時に一般的な家庭用の石油ファンヒーターは1kW後の電力を必要とするんです。そうなると、ポータブル電源では運用が難しいんだよね。そこで、FH-CP25Y(G)では予熱時の消費電力を166W(定格)に抑えているっていうのがポータブル電源対応、ひいてはアウトドア向き、ってわけなのですよ。
その代わり、電源ボタンを押してから温風が吹き出すまでには数分の時間が必要です。この点は弱点と言えるかもしれないけど、僕はまったく気になりませんでしたよ。
さて、一方燃焼中に必要な電力は14〜8.5Wです。ポータブル電源の消費電力を見ると10W前後でした。同様にポータブル電源側の消費電力で見ると、予熱時は145W〜170W程度で振れる感じ。イメージとしては150W前後で10分程度、あとは10W程度で、あとはそのまま電気がなくなるまで燃焼という感じです。いや〜、温風が吹き出してくるのはいいですよ〜。テントを燃やす心配もないし。
そしてポータブル電源については、コロナの推奨品もあるのですがLONCIN EP350をチョイスしました。安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池を内蔵したタイプですが、チョイスの理由はアプリで充電時の電力上限を設定できることです。これが他製品にはない特徴かな。
そういう製品が他にもあるかもしれないけれど、はっきりと明示されていたのはこれだけだったのですよ。充電式のバッテリーはどのように充電するかで寿命が結構違ってくるから、大事なポイントかな。
50Wから300Wまでの間で50W単位の設定ができます。もちろん、最大にすれば容量80%まで45分というのも売りです。まあ、使い方としては普段は50Wから100Wくらいの設定にしておき、持ち出すときに足りなければ300Wで充電して使う方がバランスいいかも、と思っています。
この組み合わせで、実際にどのくらいの時間使えるのか、気になるよね。で、試してみました。
FH-CP25Y(G)の灯油を満タン、EP-350もフル充電。そこで、FH-CP25Y(G)の電源スイッチをオンにしたのが7時30分。その2分後が写真1。
そのまま放置して、20時10分にEP-350のバッテリー残量は0%になって電源が切れました。写真2は20時8分。残り1%になったところで写真を撮っておいたのです。
さて、先にも書いたように点火時には170W程度その後は150Wくらいで上下します。点火後もしばらくは予熱が続くようで、10分程度は150Wくらい消費しています。この時間は周りの気温によって多少変動するかも知れません。
温度の設定は最低にしておいたけど温風の強さは周りの気温で変化します。よって、運転中の消費電力も周りの気温に左右されるけど、ほぼ10W程度で安定していました。結局FH-CP25Y(G)が使えた時間は12時間40分。この間に使った電力はざっくり150Whくらいと考えていいでしょう。
ここで、ん? と思うでしょ。電池容量307Wh では? って。これはシステムが消費している電力も含んでいるからなのですね。バッテリーを保護する回路、DCからACに変換する回路などが電力を消費すんですな。
EP-350は僕にとって市販ポータブル電源としては3台目。車載用で自作したのは5台です。その経験からすると300W程度のバッテリーを使って、概ね半分のAC電力を取り出せたってかなりいい方だと思うのですよ。
自作品では特になんだけどDCからACに変換する回路がかなり電力を使うので、3割くらいが当たり前の世界だったりします。そこで、メーカーにシステムの消費電力について問い合わせて見ました。するとACのシステムでは12W程度との回答。
12Wで12時間40分使うとおよそ150Wh。これとFH-CP25Y(G)が使った150Whを足すと300Whになるのです。ほぼバッテリーの容量を使い切っているんですな。これはすごいことだと思いました。
あ、そうそう、メーカーのレスポンスも早く、何度かやり取りしましたが、ほぼ当日中に返事が返ってきました。サポートもGoodですね〜。ついでにDCシステム、つまりUSBや12Vシガープラグでの出力ですが、これの場合のシステム消費電力は3W程度とのこと。これはかなり効率いいですね。ああ、DCで使える石油ファンヒーター出てこないかなあ。
最近は大容量のポータブルバッテリーもかなり買いやすい値段になってきましたよね。容量に関わらず、ACで使うとバッテリーの容量の100%を使えるわけではないと思っておくと良いと思います。DC-ACの変換は何W出せるかっていう、変換後の電力によって消費する回路の電力も変わるから、一概に何%使えればOKなんてことは言えないのですが。DCで使った方が効率いいことだけは確実でしょうね。
EP350にはもう1つ特徴があって、UPSとして使えること。UPSはUninterruptible Power Supplyの略ですが、突然の停電があっても機器に途切れず電力を供給する装置ですな。
パソコンの電源バックアップなんかに使うけど、使っている人も多いんじゃないかな。で、このEP350の電源切り替わりの時間は15ms。この切り替わり時間だとサーバー製品には不向きだそうです。EP350の製品説明書にも記載がありました。
じゃあ、単体HDD接続ではどうなのってことで、HDDスタンド3本を接続して試して見たところ、全く問題なく、電源の切り替えができました。まあ、これはどのHDDでもOKというわけではなくて、たまたまかも知れません。僕の場合はうまくいったので、普段はHDDスタンドのUPS として使い、アウトドアに出かけるときだけ持ち出すってことにしたんですよ。無駄のない使い方でしょ。この時に充電電力の制限が活きるといわけです。
まとめを書いておくと、僕はこの組み合わせに非常に満足しています。どっちも家庭内での普段使いもできるし、アウトドアにも持ち出せるしで、使い勝手非常にいいんですよね。どちらでも使えるって、ものすごくコスパがいいと思いません?