クルマとカメラ、車中泊

撮影の合間にパンを焼こう! キャンプで楽しむダイソーダッチオーブン

今回の1枚
1,829秒。なんのことかと言うとこの写真の露光時間です。およそ30分。カメラはニコンZ8。長時間露光に起因するノイズは見えていないでしょ、特別な処理はしていないんです。2000年頃のデジタルカメラだと1秒露光でもノイズだらけで使えない画像だったんですが、30分の露光でほぼノイズがないというのは驚きです。全くもって隔世の感がありますなあ。ま、四半世紀たってるわけですから当たり前っていえば当たり前ですね。

とりあえずここでは超長時間露光って呼びますが、1分を超えるような露光をしてもノイズが出なくなってきたのはこの6〜7年のこと、10分を超えてもOKになってきたのは4〜5年のことって印象です。デジタルカメラのイメージセンサーって昔ほど話題に上らなくなってきましたけど、日々進化してるんですよねえ。

改めていうけど、30分露光でこの画質は凄い! 僕は学生時代の研究テーマも超長時間露光でしたからね。この辺が気になるわけです。ところで写っているのは冬の星座たち。光跡の写真になってもオリオン座はすぐわかりますね。ああ、冬になっちゃったんだなあ、って。でね、こういう星の光跡の写真て意外と簡単なんです。三脚とレリーズがあればOK。よく晴れた日は夜露がつくので、できれば夜露対策も。あとは適当に夜空に向けてまずは10分くらいバルブにしてみてください。冬の夜空はとてもよく写りますよ。

撮影の合間に焼きたてパン!必要な道具を揃えよう

今日はですね、パンを焼きます。キャンプに行って、パンが食べたいって思うことありませんか? ま、事前に買い出ししときゃ済む話なんだけどね。買い忘れちゃったり、思った頃にはすでにお酒飲んじゃってたり。じゃ、そこでパンを焼こうじゃないのって話なんですよ。家庭と違って粉が散ってもさほど気にしなくて良いのがアウトドアのいいところ。むしろ手作りパンはキャンプ向きのメニューかもね。

とは言え、いくつか準備が必要です。今回のキモはダイソーのダッチオーブン

このほかにも焚き火台や風防などが必要になるが、最低限これだけあればパンは焼ける

パンといえばオーブンですよね、代わりにダッチオーブンを使います。ダイソーでお手軽に買えるので、現地についてからでも買えますな。ダイソーのものでなくても全然大丈夫。アウトドア用のオーブンなどもありますが、ダッチオーブンなら、例えばシチューとか塩釜焼きとか他の料理にも使い回しができるので、いつものキャンプ道具に加えておくと良い具合な訳です。

そして秘密兵器がこれ!お弁当保温バッグ。モバイルバッテリーでお弁当を保温しておくやつ。なぜって? パンを焼く時、発酵させますよね、その時使うんですよ〜。なくてもなんとかなるんですけど、あった方が確実です。あとはいつも使ってるキャンプ用品でなんとかなります。

今回お弁当保温バッグを発酵に使うが、これにはほかにも使い道がある

ちなみにこれを使わない場合は……こねた生地をアルミホイルに包んで懐にいれ、じ〜っと温めてやります。うん、卵を温める親鳥の気分になれますねえ。冗談はさておき本当にこれでもなんとかなります。ダウンジャケット着てる冬の方がむしろおすすめの方法かな。

あとはクーラーボックスや発泡スチロールのトロ箱に、50℃くらいに温めたお湯を入れたコップと共に生地を入れておく方法です。こっちは王道といえますね。

そして小麦粉とドライイーストも。小麦粉は常備品にしておくと良いですよね。パスタやうどん、お好み焼きやチヂミなんかも手軽につくれますからね。パンというとパン用の小麦粉なんてのもありますが、ごく普通の薄力粉でも美味しいパンになります。

小麦粉とドライイーストも忘れずに

シンプルレシピで作る。小麦粉100gの1人分パン

ではさっそく。今日は100gで作ってみます。ま、1人前って感じです。計量もアバウトで大丈夫。

小麦粉にドライイーストを加えます。通常レシピだと小麦粉100gに、ドライイースト3gと言われています。小分けのパックだとちょうど3gです。ですが! この分量だと焼き上がった時イースト臭というか酸味を感じてしまうので、僕は2gぐらいに減らしています。スプーンで掬ってそのまま小麦粉と混ぜ合わせます。またこの時に、塩を加えるのが通常です。過発酵を抑えるためだそうですが、僕は塩分が気になるお年頃。なので塩は加えません。この点でも手作りの意味はありますね。

少しずつ水を加えながらこねて行きます。最初は練るって感じですね。指先にまとわりついたりしますが、テーブルに押し付けるようにじっくりこねていると生地がまとまって、指にまとわりついた小麦粉も生地のなかにまとまって行きます。

様子を見ながら水を加え、耳たぶくらいの硬さになるようにします。10分くらいこねましょうね。

秘密兵器・保温バッグで確実に発酵させる

生地をよくこねたら発酵です。ここで秘密兵器の登場ですが、温度が上がるのに時間がかかるので実際は生地を捏ね始める前に電源を繋いでおきましょう。USBを指す口は2カ所あります。両方もしくはSIDE HEATに指しておきます。電源が入ると温度調節できますから40℃に設定します。デフォルトは45℃、30℃から60℃の間で設定できますよ。

こねあがった生地を保温バッグにいれますが、乾燥を防ぐため水の入ったカップを一緒に入れておきます。発酵時間は1時間が目安と言われています。

30分以上経ったら生地の様子を見てみます。倍近くに膨らんでいて、指先で軽く押し、押した穴が戻ってくるようならOKです。

そうしたら、またよく捏ねます。膨らんだガスを抜くようにテーブルに押し付け引き延ばしてゆく感じです。ここでも10分ほどこねる感じですね。

よく捏ねて形をまとめたらベンチタイムです。生地を休ませます。木綿の布などで巻いて乾燥を防ぎ、15分ほど寝かせます。

つぎにまた発酵させます。二次発酵というやつですね。これも40℃で1時間くらいが目安。

発酵が終わったら焼くわけですが、これも先に準備しておきます。熱源は9月の記事で紹介したダイソーグッズを使います。これも思い立ったらすぐ入手できますからね!

準備のタイミングはベンチタイムの間にやっておきましょう。そして二次発酵を始めた時点で点火するとちょうど良いです。炭熾しと一緒にダッチオーブンを空焼きして温度を上げておきます。テーブルや周囲が焼けないよう十分に対策してください。周りも下もかなり高温になります。

僕はテーブルに延焼防止マット、その上にアルミテーブル、さらにその上に耐熱マットをひいてからストーブを置き、周囲はアルミ折り畳み風防で囲っています。これらは全てダイソーで揃いますよ。足りないものはキャンプに行く途中で買って行きましょう。

二次発酵終了10分くらい前になったら、ダッチオーブンの蓋を外し、蓋だけを焼いておきます。

蓋も熱々になったら、炭を2つに取り分けておきます。ダッチオーブンを下から熱する分と蓋に載せて上から熱する分です。火傷しないように注意してくださいね。

二次発酵終了間際に、ダッチオーブン内側に打ち粉をしておきます。これも熱いので要注意。

打ち粉が済んだら火を用意しておきましょうね。五徳→炭コンロ→焼き網→ダッチオーブン→ダッチオーブンの蓋に炭と積み上げる感じです。

もちろん、蓋を外した状態で生地を投入しますから、生地を入れるまでは蓋も、蓋の上に乗せる炭も外しておきましょう。横においた水筒は風防が倒れないようにおいているだけです、あしからず〜w

ダッチオーブンで本格オーブン焼き

二次発酵が終わった生地をダッチオーブンに投入! そうしたら蓋を閉めて、蓋の上に炭をおきましょう。こうすることで上下からオーブン内を温めるので均質に温度があがるって寸法です。ですが。家庭のオーブンの様にはいきませんからね、やはり下の方があつくなってしまいます〜。

あとは風防も閉めて焼き上がりを待ちます。途中サーモグラフで撮影してみるとダッチオーブンは200℃くらいまで上がっています。とはいえ外側を測っているので、中の温度ではありません。中は180℃くらいかなあ。

焼き上がり!外はカリッと中はしっとり

じゃ〜ん。焼き上がりです! こんがり美味しそうでしょ? だけどね、これちょっと焼きすぎです。このシンプルなレシピのパンだと焼き上がりは本来もっと白いです。この日は20分焼きましたが、15分でよかったかも知れません。とはいえ、美味しく食べられる範囲。外側はカリッとクリスピー、なかはしっとり柔らかです。焼きたて硬めのフランスパンくらいの印象です。

トマトベースのスープも用意しておきました。底の部分はやっぱり焦げ気味で硬くなるのでスープに浸して食べるとGOODです。上の方はクリスピーな感じなだけでそのまま食べられます。

ところで塩を使っていないパンなので、そのまま食べると旨みを感じにくいと思います。そこで、バターを添えたいところなのですが、冷蔵庫がないと溶けちゃうのでバターってアウトドアでは使いにくい食材なんですよね。そこで僕はいつもオリーブオイルとガーリックパウダーを用意しています。オリーブオイルにガーリックパウダーを溶かし、パンで掬って食べるといい感じ。どっちもダイソーで売ってます〜w

今日は美味しいパンを食べることができましたが、いつもこう言うわけには行きません。こねや発酵は管理できますが、肝心のオーブンの温度が管理しにくいからです。炭の熾き具合や炭の量、さらには風のある無しで内部の温度は大きく変わってしまいます。なのでうまくいったらラッキーだぜい、くらいに思っておいてください。作る過程を楽しむことも大事ですからね。

パン作り以外にも活躍。レンズの夜露対策に

今回の秘密兵器、お弁当保温バッグですが、パンを焼かない時はレンズやフィルターを入れましょう。温めておくと夜露防止に効果があるのです。

カメラは入れちゃいけませんよ。ノイズが増えます。

星景撮影や早朝風景の撮影では夜露に悩まされることが多いものです。例えば星景撮影の場合、夜露の条件が揃っているとほんの数分で夜露がつき始めます。三脚立てて、カメラを準備、ピント合わせ、構図決めなんてやってるうち、シャッターを切る頃にはレンズが曇ってる! なんてことがよくあるんですよ。そんな時にもお弁当保温バッグは秘密兵器になるんですな。レンズやフィルターを撮影直前までこの中に入れて40℃くらいで温めておきます。すると条件によるんだけど10分から15分くらいは夜露がつかずに撮影できるんです!1〜2カット余裕を持って撮影ができます。

10分を目安に1カット撮影が終わったら、レンズ交換してまた別のカットを撮りましょう。その間に今使ってたレンズはお弁当保温バッグで温めておきます。タイムラプスや超長時間露光には向いてないけど、これで足りちゃうことも多いのですよ。タイムラプスや超長時間露光がやりたい場合はケンコーからヒーター付きのフィルターが発売になりました。このフィルターはもはや飛び道具というか秘密兵器です。タイムラプスや超長時間露光には必須のフィルターです。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ