クルマとカメラ、車中泊

マジックアーム活用術! 車内タブレット環境から天体撮影までサポート

今回の1枚
今回の1枚は夜明け前、夜霧と天の川。九十九里って実は米どころ。上総一ノ宮から旭市くらいにかけて水田が広がってるんですよ。春から初夏は特に夜霧、朝霧が出てきます。そして、この季節は星景写真的には天の川撮影好機なんですな。霧で前が見えないくらいの時にこんな写真が撮れます。肉眼で見るより写真にはずっとよく映るんですが、幻想的な時間は格別です。近日中に九十九里に出かける予定があったら、深夜に南東から南の空をみあげてください。23時頃には天の川が見やすい位置に上がってきています

Amazonを開いてみたらおすすめ商品にリアシートでモニターを保持するホルダーが出てきたんだけど、確かに車内でモニターやタブレットを使う機会は増えてきたよね。撮影画像の確認やら動画の視聴に始まり、タブレットのアプリでコントロールする機材も増えてきたし、オンライン会議にも便利だ。と、いろいろ使う機会が多いし、僕的にはすでに車内必須アクセサリーなんだよなあ、と改めて思いました。

さて、僕が使っているのはカーアクセサリーとしてのホルダーじゃなくて、マジックアームなどと呼ばれる代物。本来はスタンドや三脚などに動画撮影用の小型モニターを設置するものなのだけれど、それとタブレットホルダーを組み合わせて使ってます。

まずはホルダー部分ですが、タブレットを対角線で支えるもの。多くの製品は短辺方向で咥え込むのが多いんだけど、ちょっと力がかかるとタブレットがずれたり外れたりしちゃう。いろいろ買って見てたどり着いたのがこれって感じです。裏側に1/4インチのネジ穴があるので、三脚につけるのも簡単。またタブレットにカバーが付いていても安定して保持してくれます。ちょっと大きめかなあ、と思うことはあるんだけど、保持の安定性は抜群です。

ホルダー部分はこれ、EXSHOW タブレットホルダー。対角線でホールドすることが特徴。白いテープは蓄光テープ。夜に使いやすいよう自分で貼ったもの

そして今回の本題、アームの部分はこれ。Cineroid CA30という製品です。元々はこのアームは動画撮影用のビューファインダーや小型モニターを三脚やカメラにつけるためのものなんですよね。なので、車内で使うだけでなく使い回しが効いて便利なんです。10年ほど前に購入して使ってますが壊れる部分もなく、ひとつふたつ持っておくと車中泊にも撮影にも便利なものです。ですが例によって残念ながら本製品はディスコン。

Cineroidは韓国の動画関連アクセサリーのメーカーです。RetinaビューファインダーCineroid EVF4RVWなどがよく知られています。僕も買いました

そこで代替えはこの2つ。SmallRigとNeewerで同様の製品を販売していました。どちらも今や信頼に足るブランドですね。後述するクランプもセットになってるのでお得です。

もう1つ必要になるのがクランプですが、僕はSmallRigのものを使っています。本来はバラ売りでしょうけど、上述のとおりアームとセットで買うのが面倒がなくて良いでしょう。このクランプのおかげでどこにでも取り付けができるようになるわけですが、取り付ける部分の強度を確認してくださいね。アーム先端にはタブレットなど1kgくらいの重量はかかりますから、根本になる取り付け部には10kg、20kgの力がかかってくることになりますからね。

撮影用品としてみるとたくさん必要なものなので、価格は大事。10個くらいは持ってるんじゃないかな

そして組み合わせるとこんな感じになります。このクランプ側を車内のどこかに取り付ければよいわけです。

クランプ取り付け場所の強度には十分注意してください

アームの方もいくつあっても困るものではないので、SmallRigを買ってみました。外観のちょっとした違いはあるものの、基本は一緒。固定のキモとなるのは真ん中の関節部分なので、バラしてみたらちょっとした違いがありました。

Cineroidは関節を止めるのに緩みどめワッシャを使ってますが、SmallRigではローゼットっていうのかな、放射状に溝が刻まれていて噛み合わさるタイプです。無段階にはならないけどこの方が固定力アップ!ってことですね。実用上も特に不便は感じませんでした。固定するノブの方の構造は同じ。だけど、ボールベアリングの大きさがSmallRigでは若干大きくなってるようです。ただコピーしたのではなくてよく改良されてるんですね。

上:Cineroid CA30、下:SmallRig
真ん中の関節部分をバラしてみたところ

ところでウェブやAmazonでマジックアームと検索するとこれと類似のSmallRigやNeewerが出てくるわけですが、写真業界的にマジックアームというと、マンフロットなんですが、これの商品名がマジックアームなんですよね。セロテープみたいに一般名称化しちゃったパターンでしょうか。その辺詳しい方がいたら教えてくださいませ。

ともあれ、マンフロットのマジックアームもいくつか使っています。こちらはより大型で本来はスタジオ用の大型ストロボをポールなどに設置するときに使うものです。超ローアングルの雲台としても便利につかえますよ。タブレットホルダーとしてはオーバースペックですが、これもひとつ持っているとさまざま役立つ機材だったりします。

上に置いたものがマンフロット マジックアーム。大きくて頑丈ってことがわかってもらえるかな。ちなみに20代のころに買ったもの。う〜ん40年近く使用済み笑

前置きが長くなっちゃいましたけど、僕の使い方は前席のヘッドレストの根元にクランプを噛ませています。これで、後席でくつろぎながらiPadの画面を見られるわけです。位置の調整も自由自在なので、情報収集、オンライン会議など用途に合わせて簡単に画面の位置と傾きを調整できます。

すこしヘッドレストを上に動かして、隙間にクランプを固定
あとは適度な位置にホルダーを保持したら、中央のクランプを締めるだけ

さて、以上のように便利に使っているんですが、気になる点もあります。ヘッドレストのバーにクランプをつけるわけですが、クランプを締めるバーは突起物になるんですよね。これが首の近くにあるのは、ちょっと危ないかな、と思っています。事故などのとき、こうした突起物がどんな振る舞いをするかは予想できません。なので、運転中は外しておきましょう。

クランプのバーはちょっと気になる突起物

そのほか、GoProをつけたりしています。動画やタイムラプスで撮影しっぱなしにしておけば、旅の記録やロケハンにもなって良いですよ。当然、前述の突起部が気になるので、1名乗車時に限り、助手席に取り付けてます。まあ、ほとんど1名乗車ですけどねw

運転席目線とまではいかないものの、十分ドライブ感のある映像が撮れる
Gopro用に使っているのはアームの短いタイプ

タブレットをどこにでも取り付けられるようになったところでおまけを1つ。星空シミュレーションアプリとデジタルカメラで天体観測してみませんか? まずはこちらをダウンロードしてみてください。無料です。

Stellarium Mobileは世界中のプロ・アマ天文家が共同で作ったオープンソースの星空シミュレーションソフトウェア、Stellariumのモバイル版です。基本機能は無料、撮影画角表示など一部の機能は有償です。まずは基本の無料版で十分です。

後席で星空シミュレーションアプリを見ているところ。中程右にオリオン座

Stellarium Mobileをインストールしたら、写真のように三脚にカメラとタブレットを取り付けます。タブレットは雲台側につけてください。レンズはなるべく明るい単焦点。F2より明るいレンズが望ましいです。

焦点距離は24〜35mmがおすすめです。慣れてきたら、85mmや135mmをつけてみると、より楽しめます。

雲台はボールヘッドではなく、パン棒のついた3ウェイ雲台かビデオ雲台が向いています

カメラもなるべく新しいものを使ってください。最新のミラーレスカメラなら、本当によく見えます。ISO感度を最高感度にしたら、適度に明るくなるようにシャッター速度を遅くしてゆきます。1/15秒から1/4秒くらいが良いでしょう。見え方が暗いようなら動画モードも試してみてください。動画モードの方がライブビューがよく見える場合があります。

カメラの設定ができたら、Stellarium Mobileを起動し、夜空に向けるとStellarium Mobileの表示もカメラの動きに追随してゆきます。まずはカメラのライブビューとStellarium Mobileの表示が一致するように明るい星を見ながらタブレットの向きを調整してください。それができたらあとは好きな方向にカメラを向ければ、今見えている星や星座が何なのか知ることができるってわけです。手軽で楽しい天体観測なんですね〜。

カメラを星空に向けるとタブレットの表示も追随してどの星を見ているかがわかる

実際にどう見えてるか、ライブビューモニターを写した写真が2点。使ったカメラはニコンZ8、レンズはLAOWA Argus FF II 35mm F0.95をF1.4に絞って使っています。

まず35mmでの全画面。オリオン座が中央にあるのがわかりますね
そしてライブビューを最大に拡大したもの。オリオン座にあるメシエ42(オリオン大星雲)がよく写っています。20倍くらいの望遠鏡で見た感じに近いです

本来天体観測の初歩には7〜8倍くらいの双眼鏡がおすすめです。

ですが、写真、カメラ好きが今持ってる機材で簡単に実現できる天体観測なのですよ。もちろんこのまま撮影もできますから、ひとしきり星空を楽しんだら、星景撮影に移行すればいいんです。

それから特定の天文現象を撮影する際には位置を割り出すのにも重宝します。

あ、ここまでタブレット前提で話進めてきちゃったけど、この天体観測ならスマホでもOKです。こういうスマホ取付用のホルダーがあるとよいです。

動画でもまとめてみましたが、冬の星空案内なので今夜見える星と違っているでしょう。使い方だけ見てくださいね。こちらはiPhoneでやってます。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ