20周年企画

デジタルカメラニュースの20年を振り返る/第2回(2005年)

充実が進むデジタル一眼レフカメラ 家電2社の参入発表も

今年9月27日(金)に当サイト「デジカメ Watch」が20周年を迎えるのにあたり、開設から20年を振り返る小特集を配信しています。

今回は2005年のニュースについて振り返ってみます。

フォーサーズ規格にパナソニックが参加

2004年に続き、2005年もデジタル一眼レフカメラを中心に話題が繰り広げられた印象があります。

まず、1月にオリンパス株式会社と松下産業株式会社(現パナソニック株式会社)が共同で発表会を開催。その内容は、共同でフォーサーズシステム規格に則ったデジタル一眼レフカメラを翌2006年に発売するというものでした。

オリンパスイメージング株式会社の小宮弘社長(当時、左)と、松下電器AVCネットワークス社長の大坪文雄氏(当時、右)

フォーサーズシステム規格自体は2002年9月にオリンパスとコダックで策定され、当時オリンパスから「E-1」(2003年10月発売)をはじめとしたカメラボディがリリースされています。今からすると不思議な感覚ですが、当時は「デジタルカメラ専用のマウント規格」ということで話題を呼んだものです。

この発表までパナソニックはレンズ交換式のデジタルカメラを要しておらず、満を持しての参入発表でした。コンパクトデジタルカメラで大きなシェアを持つパナソニックの表明だけに、いよいよデジタル一眼レフカメラの時代が来ることを確信したものです。

「EOS Kiss Digital」早くも後継機、ニコンは「D50」を投入

2月には、2003年9月発売の「EOS Kiss Digital」から早くも後継機「EOS Kiss Digital N」が発表。この頃はデバイスの進化にあわせてか製品サイクルが短く、しかもエントリーモデルはボディ単体で10万円を切るという低価格で供給されていました。いまからすると隔世の感があります。

キヤノン EOS Kiss Digital N

一方ニコンは4月に「D50」を発表。「D70」「D70x」よりさらに小型化を進めたほかSDメモリーカードを採用するなど、より一般層を意識した製品でした。

ニコン D50

6月にはペンタックス「*ist DL」が発表されます。こちらは発売済みのエントリーモデル「*ist DS」よりさらにカジュアルな製品として登場しました。

ペンタックス *ist DL

さらに7月、コニカミノルタが「α-Sweet DIGITAL」を発表しました。この頃は各社ともブラックボディに加え、シルバーボディをラインアップしています。いまみるとなかなか格好良いですね。

コニカミノルタ α-Sweet DIGITAL

オリンパスも9月に「E-500」を発売しています。こちらも普及タイプを謳う製品で、ZUIKO DIGITALシリーズにしてはフィルム一眼レフカメラに似たスタイリングのため、その軽さに驚いた覚えがあります。

オリンパス E-500

フルサイズを身近にした「EOS 5D」、中級機としての完成度が増した「D200」

デジタル一眼レフカメラのミドルクラスにも動きがありました。この年の8月、キヤノンが35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載した「EOS 5D」を発表しています。フルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラとしては、これまでプロ向けの「EOS-1D」シリーズしかなかったところに、EFレンズを画角そのままに使えるミドルクラスが登場したということで、大いに話題になりました。

キヤノン EOS 5D

一方ニコンは11月に「D200」を発売。マグネシウム合金製のボディで価格20万円台といった特徴が受け、こちらの記事も爆発的なページビューとなったのを覚えています。

ニコン D200

ソニーがデジタル一眼レフカメラ参入を発表

上記「α-Sweet DIGITAL」の発表から4日後、唐突にソニーから、コニカミノルタとレンズ交換式デジタル一眼レフカメラを共同開発するというアナウンスがありました。当時、共同開発するという機種について具体的な言及がなかったのですが、結果的に「α-Sweet DIGITAL」が、その後のソニー「α100」にあたる機種になっています。

オリンパスとの共同開発を1月に発表したパナソニックもそうですが、ソニーもまた、コンパクトデジタルカメラのみで展開してきたメーカーです。その2社がデジタル一眼レフカメラ市場への進出を示唆したということで、いよいよコンシューマー向けレンズ交換式カメラの世界が本格化する予兆を感じたものでした。

ちなみにこの年、コニカミノルタはフォトイメージング事業の縮小を発表しています。この頃私は、まさかカメラ事業から撤退するまでとは考えていませんでした。

京セラがデジカメ事業から撤退

一方で3月、京セラがデジタルカメラ事業から撤退するという各紙の報道を認める発表をしています。2002年に初の35mmフルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「CONTAX N DIGITAL」を発売した京セラですが、主力のコンパクトデジタルカメラの単価下落についていけないという理由で撤退。カメラファンに愛されたCONTAXブランドの消失が告げられた日でした。

CONTAX N DIGITAL

高級コンパクトデジカメへの回答「GR DIGITAL」

コンパクトデジタルカメラの新しい流れとしては、「GR DIGITAL」が9月に発表されています。いまに続く人気シリーズの初代機で、当時は1/1.8型CCDをイメージセンサーに使用していました。

当時より単焦点レンズ、RAW記録(DNG)、外部ファインダーなどの好事家を喜ばす仕様を取り揃えており、このあとスマートフォンの登場で求められるカメラらしい本物感や撮影スタイルを、この時点で持ち合わせていたことに驚きます。

リコー GR DIGITAL

ライカが日本法人設立へ

なお1月にはライカが日本法人であるライカカメラジャパン株式会社を設立。ライカが独自で現地法人を持つのは初めてということで話題になりました。デジタル版M型ライカ「M8」が発売されるのは、翌2006年の11月のことです。

USB端子を搭載したSDメモリーカード

当時、デジタルカメラ用のメモリーカードはCFおよびSDメモリーカードが隆盛を誇り、採用メーカーに偏りが見られたxDピクチャーカードとメモリースティックがそれを追う状況でした。

変わり種も見られ、なぜかUSB端子を本体に内蔵したSDメモリーカードが見受けられたのがこの年。カード本体を折りたたむと板状の端子が現れるという構造で、複数のベンダーから製品が発売されました。USBコネクタがType-AからType-Cに置き換わりつつある現在、この手の製品が復活することはもうないでしょう。

Sandisk Ultra II SD PLUS
本誌:折本幸治