20周年企画
デジタルカメラニュースの20年を振り返る/第1回(2004年)
エントリークラスが勃興 隆盛間近のデジタル一眼レフカメラ
2024年9月7日 12:00
2024年9月をもって、当サイト「デジカメ Watch」は開設から20周年を迎えます。ご愛読いただきました読者様のご支援に、深く感謝を申し上げます。
この小特集では、当サイトで掲載した2004年からのニュース記事を振り返りつつ、デジタルカメラ業界の20年を振り返ってみたいと思います。
デジタル一眼レフカメラに「エントリークラス」が
「デジカメ Watch」が更新を開始したのは、2004年9月27日のこと。テスト配信を除けば、本格的な配信は「フォトキナ2004」(イメージング業界の国際見本市)にあわせたタイミングからになります。
当時の状況はというと、いよいよデジタル一眼レフカメラが市場を席巻するのか、それとも?……といった時期。プロ機の業務利用が広がる中、コンシューマー向けを視野に入れた中級機が2001年から充実し始め、2003年からはいよいよエントリークラスにもデジタル化の波が到来し始めていたのです。
主なデジタル一眼レフカメラの中級機の発売を見てみると、キヤノン「EOS 10D」(2001年発売)、ニコン「D100」(2002年6月)、キヤノン「EOS 20D」(2004年9月発売)、ペンタックス「*ist D」(2003年9月)、コニカミノルタ「α-7 DIGITAL」(2004年11月)といった流れになります。
これにキヤノン「EOS Kiss Digital」(2003年9月発売)、ニコン「D70」(2004年3月発売)、ペンタックス「*ist Ds」(2004年11月発売)といったエントリーモデルが追随。個人差はあるでしょうが、高級コンパクトデジタルカメラからデジタル一眼レフカメラへと、ハイアマチュアの興味が本格的に移りつつある時期といえました。
とはいえ市場全体ではまだコンパクトデジタルカメラが幅をきかせている最中であり、実際にも「フォトキナ2004」で発表されたデジタル一眼レフカメラは、実質的にオリンパス「E-300」のみでした。
当時コンパクトデジタルカメラを供給していた主要なブランドを列挙してみると、キヤノン、エプソン、オリンパス、カシオ、京セラ、コダック(2004年に再参入)、コニカミノルタ、ソニー、ニコン、富士フイルム、パナソニック、ペンタックス、ライカ、リコーになります。
今から思うとかなりの数ですが、これでも全盛期よりブランド数は減少しており、それもあってどちらかといえば、(残存したことで)伝統的なカメラメーカーの存在感が大きくなったと感じていたものでした。コンパクトデジタルカメラで大きなシェアを得て市場を牽引するメーカー(エプソン、カシオ、ソニー、パナソニック)に対し、個人的には伝統的なカメラ業界の勢力が優位を見せ始めた時期だったように思います。当時のその大きな要因が、デジタル一眼レフカメラにおけるエントリークラス投入への期待感でした。
ポータブルストレージ VS 「持ち歩くデジタルアルバム」
当時のニュースで興味深いのが、HDDをバッテリー駆動のポータブルストレージとして活用した製品が見られること。主にHDD、バッテリー、メモリーカードスロットで構成されるものです。
この頃、主なデジタルカメラ用メモリーカードは、CF Type 1/2、MicoDrive、SDメモリーカード、xDピクチャーカードなどです。容量に対して相対的にまだ高価であり、それでいてデジタルカメラの画素数が増え続けている時期でした。容量単価の安かったHDDを利用するこの手の製品の流れはしばらく続きます。
その派生形といって良いのが、Appleの「iPod Photo」でしょうか。上記のポータブルストレージとは異なり、バックアップなどデジタルカメラの一時的な記録の場としては使えません。単に“デジタル写真を持ち歩く”もので、デジタルにより写真がより身近になった先に、どういうニーズが生まれるかを先取りした製品といって良いでしょう。
これをスマートフォンの原器の1つだと考えると、デジカメ Watchで無邪気に取り上げていることに何か感慨深いものがあります。デジタルカメラ市場を一変させた「iPhone 3G」が発売されるのは、3年後の2007年のことです。