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スリック「UL-103カーボン」

~超軽量“ULTRA 1”シリーズの最上位三脚

ULTRA 1シリーズ最大の「UL-103カーボン」。自由雲台「SBH-200DQ」とのセットが8万1,165円、脚のみが7万875円。4段の「UL-104カーボン」や、5段でアルミパイプの「UL-105AMT」も
 スリックの「ULTRA 1」シリーズは、徹底的な軽量化を意識した三脚だ。シリーズ共通の特徴は、エレベーターがないこと。つまり、高さの調整は脚部でのみ行なうことになる。その代わり、全体の重量のうち大きな部分を占めるエレベーターがないことで、驚くほどの軽さを実現。三脚に一層の軽さを求める人には気になるアイテムといえる。

 一般的にブレ防止の観点から、三脚は「脚を伸ばし切っていないなら、エレベーターはむやみに使わない」のが基本とされている。高さの調整は脚でもできるし、脚自体にある程度の高さがあれば、ブレ易いといわれるエレベータースライドをあえて伸ばし、高さを稼ぐ必要はないわけだ。エレベーターの重要度は人によって違うと思うが、すっぱりなくして軽量化に振ったスリックの勇断はユニークだ。

 今回試用したのは、シリーズ最軽量の「UL-103カーボン」。脚径は最大27.2mmで、全高は1,405mm。中型クラスの高さを持ちながら、重量は脚部のみで1kgを切る990gとなっている。一方、エレベーターを備える同じクラスの「カーボンマスター813 PRO II」は、最大脚径27.2mm、全高1,455mm。重量はUL-103カーボンの約1.6倍、1,610gもある(付属の雲台SH-806の重量を引いた数値)。実際、UL-103カーボンの軽さは強烈で、中型カーボン三脚の先入観を持って手に持つと、軽い違和感を覚えるほどだ。

 軽量化のため、脚ロックナットも新設計したという。一般的なナット式と異なり、ULTRA 1シリーズではすべてのゴムをなくしたことで、ナット1つあたり20gの軽量化を実現。3段伸縮のUL-103カーボンなら、一般的なゴム巻ナットに比べて120g軽いことになる。

 スリックでは「王冠型ナットリング」と呼んでおり、王冠型のナットリングを対向して配置することで、下段の脚パイプを多点で固定する仕組み。固定力が強力な上、半回転で締め付けや緩める動作が可能だ。操作感は滑らかで、一般的なナットロックと同様に閉め具合を調節できる。ただし、表面が金属製で黒色の塗装が剥げやすいようだ。サビ防止のため、雨の後などはしっかりメンテナンスした方が良いだろう。


脚をすべて伸ばした状態。エレベータなしでほぼアイレベルまで伸びる 本体はとてもシンプル。雲台取付ネジは小ネジ(U1/4)だ

新設計のナットロック機構。少ない回転で閉められるので、とても操作しやすい エレベーターがないので、第1段のパイプが握りやすい


脚を閉じた状態。先すぼまりになる 最低地上高は173mm。このクラスとしては低い

 メリットはまだある。一般的な三脚は脚とエレベーターの隙間が狭いので、移動の際などに第1パイプを手で握ると、指にエレベーターが当たって窮屈な思いをする。また、脚を閉じるとき、脚とエレベーターの間に指を挟むこともある。ULTRA 1ではこれらの悩みと無縁だ。さらに本体にエレベーターストッパーやクランクハンドルがないので、手探りで操作するとき間違いが少ない。

 ULTRA 1とセットで販売されるのが、新開発の自由雲台「SBH-200DQ」だ。クイックシューや2軸の水準器を備えた製品で、縦位置セット用の溝を左右2つに装備するのが特徴。撮影者の左右のどちらでも、雲台をほとんど回転させることなく縦位置に切り替えられる。また、このクラスの自由雲台としては、高さが抑えられているのも特徴だ。

 UL-103カーボンは3段階の開脚角度を持ち、大きく開けばローポジションでの撮影もこなせる。ここまでは一般的な中型三脚と同じだが、エレベーターがないことにより、最低地上高がかなり低い。例えばセットで付属するSBH-200DQと組み合わせた場合、このクラスとしては低い173mmとなる。雲台の下に出っ張りがないことから、一般的な三脚よりもカメラ位置を低くできるというわけだ。


セットの雲台「SBH-200DQ」。レバーが大きく、固定位置を調整できるのは便利

フリーターン雲台「SH-707E」と同じクイックシューを装備。水準器の装備もうれしい


縦位置セット用の溝を左右に装備。カメラを縦位置にする際、雲台の回転を最小限に抑えられる。


 いいこと尽くめに見えるULTRA 1だが、もちろんエレベーターがないことで、撮影の効率が下がるジャンルやシーンも存在する。ブツ撮りなど頻繁に微調整を繰り返す場合はエレベーターがあった方が便利だし、エレベーター下部の先端にカメラを逆さまに取り付ければ、地面すれすれのローアングル撮影が可能になる。軽さをとるか、エレベーターの利便性をとるかは、利用者それぞれで考える必要がありそうだ。

 とはいえ、屋外ではほとんどエレベーターを操作しない筆者にとって、ULTRA 1はこれまでにも「あったらいいな」と感じていた待望の製品。より脚径が太く、全高が高いワンクラス上の製品にも期待したい。



URL
  スリック
  http://www.slik.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.kenko-tokina.co.jp/slik/08229news.html
  製品情報(UL-103カーボン)
  http://www.slik.com/carbon/4906752105511.html
  製品情報(UL-104カーボン)
  http://www.slik.com/carbon/4906752105528.html
  製品情報(UL-105AMT)
  http://www.slik.com/pro/4906752101421.html

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( 本誌:折本 幸治 )
2008/06/19 01:35
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