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LEE「ハーフグラデーションフィルター」

~明るい空に色のインパクトをつける

 先日「ソフトフィルター」をチェックした、プロ用フィルターメーカーの英LEEは、ポリエステル製の薄膜フィルターのみでなく、四角い硬質プラスチックのフィルターもラインナップしている。四角い硬質フィルターは、丸枠入りのフィルターと同じような効果の単色のものもあるが、もっとも効果的な使い方ができるのが「ハーフグラデーションフィルター」、つまり無色透明の部分と、NDや色フィルターの部分が中間のグラデーション部分でつなげられたフィルターである。長方形のハーフグラデーションフィルターは、フィルターホルダーに入れることにより上下にスライドすることができ、効果の位置を調整できるという特長がある。

 半分がND、半分が無色透明のハーフNDフィルターは、「明るい空と暗い海」というような明暗差が大きい場合、明るい空の部分にNDをかけることにより「そのまま撮ると白トビする空」も再現できるようになるというものだ。この場合、仮に空が再現されるような露出にした場合、今度は暗い海の部分が黒ツブレしてしまう。白トビ・黒ツブレは撮影したあとのデータをPCで加工しても再現することはできない。そのため、撮影時にハーフNDを使うのだ。

 ハーフNDよりも一般的ではないが、色フィルターと無色透明部分のグラデーションになった「ハーフカラーグラデーションフィルター」が多数ラインナップされている。空と地上部分の明暗差が大きい場合、空にイメージ的な色をつけることでインパクトのある表現ができる。そこで、LEEのカラーグラデーションフィルターの中で代表的なものを数種類試してみることにした。


LEEのハーフカラーグラデーションフィルター。タバコ、マゼンタ、コーラル、ブルー、シアンの各色 100mm幅のフィルターを取り付けるCokinのBZP700フィルターホルダーとアダプターリング

BZP700フィルターホルダーを取り付けるには、まずレンズのフィルター径に合ったアダプターリングをねじ込んで取り付ける
アダプターリングにBZP700の一部である83mm幅用のフィルターホルダーを取り付ける

BZP700の100mmアダプターを取り付ける。これでLEEのハーフカラーグラデーションフィルターを取り付けることができるようになる LEEハーフカラーグラデーションフィルターを取り付ける。スライド式で、ホルダーのバネ構造によって手を離したところで固定される

 ハーフカラーグラデーションフィルターを使うには、レンズの前にハーフカラーグラデーションフィルターを手でかざして使うことも考えられるが、じっくり構図を決めて撮影するならレンズの前にフィルターホルダーで固定したい。

 LEE純正のフィルターホルダーも発売されているが、基本キットで1万円程度と高めなので、100mm幅のフィルターを装着できて手頃な価格のCokin(コッキン)「BZP700フィルターホルダー」を使うことにした。Cokinの83mm幅用のフィルターと100mm幅のフィルターの両方に対応しているもので、83mm幅用のホルダーの先に100mm用のアダプターを取り付ける形式のものだ。

 一般に角型のフィルターホルダーは、2~4枚の角型フィルターを取り付ける構造になっている。BZP700は1枚しかフィルターが取り付けられないが、LEEのフィルターホルダーよりは薄型である。APS-C専用の12-24mmのレンズに取り付けてみたところ、やはりワイド端ではファインダー上で確認できるぐらいフィルターホルダーによるケラれが出るが、ズームの中間域くらいからは大丈夫そうだ。

 作例では、湖面と朝陽、人々が散歩する湖岸を入れてフレーミングしたが、まるでモノクロの世界のように、グレーに近い色味の世界となった。

 そこで、ブルー、シアン、マゼンタ、タバコなどのハーフカラーグラデーションを使った表現を狙うことにする。

 ハーフカラーグラデーションのフィルターは「色づけ」の意味と「明暗差の調整」の意味の両方がある。そのため太陽を入れた場合、太陽の周りは色味が薄く表現される。空が白っぽいため、空にはフィルターの色がそのまま出てくる。

 ホワイトバランスをAWBのままにしているとフィルターの色味が影響されそうな気がするので、ホワイトバランスは晴天に固定する。露出はフィルターをつけた状態のままカメラまかせでの調整。フィルターの色味の濃さで露出に多少の違いが出るようだ。


フィルターなし
ブルーグラデーション使用

シアングラデーション使用
マゼンタグラデーション使用

タバコ2グラデーション使用

 フィルターなしでも空は青く、露出差を調整する意味はあまり感じないが、着色効果によるイメージを狙うことにしてみた。

 青空にフィルターの色味が混ざり合った色表現になる。コーラルやブルーなど、薄目の色表現フィルターを重ねると、それほど不自然ではない状態で好みの色にコントロールできる。


フィルターなし シアン使用

ブルー使用
コーラル6使用

マゼンタ使用

 ハーフNDフィルターなら、露出の明暗差のある位置にグラデーションがくるように調整するのが一般的だが、ハーフカラーグラデーションフィルターは「空だけではなく水面の一部まで着色する」といった具合に、色調をコントロールしたい位置に合わせて上下を工夫することもできる。ブルー系の色味だと、空の青さを強調できるが、茶系の色は本来とは異なる時間の演出や、実際にはあり得ない光景を創り出すのにも使えそう。あまり一般的ではないフィルターだが、インパクトがある作品造りをしたいときに利用してみたい。



URL
  LEE Filters(英文)
  http://www.leefilters.com/


( 木村 英夫 )
2007/10/11 00:01
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