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ワコム「Bamboo Fun」

~フォトレタッチソフト+数千円で手に入るペンタブレット

 「ペンタブレット」とは、PCにペンで手書き入力をするためのデバイス……なんて説明はいまや不要だと思うが、一昔前までは高価で、特殊な用途にしか使われない製品だった。それがここまで一般的なものになったのは、ひとえにワコムの「FAVO」シリーズの功績と言えるだろう。

 FAVOはコンシューマーにも導入しやすいように小型で安価な製品として設計されていたが、ペンタブレットを普及させる原動力になったのはそれだけでなく、タブレットを存分に活用できる画像編集ソフトなどをバンドルした製品が用意されていたことだ。

 そのFAVOが代替わりして、同社のコンシューマー向けペンタブレットのブランドが「Bamboo」(バンブー)になったのは、既報のとおり。今回はBambooシリーズの中でも、写真などの画像を取り扱うために企画されたパッケージ「Bamboo Fun」を採りあげてみよう。


Bamboo Funの主な同梱品。中央がタブレット、その左上がソフトウェアとドライバのCD一式。その下がマウス。右上がペン立て、その下がペン
 Bamboo FunにはA5ワイドサイズの「CTE-650」と、A6ワイドサイズの「CTE-450」があるが、試用したのは大きいほう、A5ワイドのCTE-650だ。価格は1万7,980円。

 Bamboo Funにはいくつかのソフトウェアが同梱されているが、写真に関わるものは「Photoshop Elements 5.0」、「Photo Creator Simple for WACOM」、「Photo-Book Creator for WACOM」あたりか。このほかお絵かきソフトの「水彩LITE」なども付属する。なおこれはWindows版での話で、Macintosh版になると「Photoshop Elements 4.0」のみとなる。

 どっちにしろPhotoshop Elementsは単体で発売されているのと同じフル機能版なので、これだけでも相当お買い得な製品といえる。


付属するペン。親指の下の青い部分は2つのボタンになっている
 BambooはFAVO同様、USBでPCと接続される。

 ハードウェア的なFAVOとのもっとも大きな違いは、タブレット上部(ユーザーから見ると奥)に、4つのファンクションキーとタッチホイールが装備されたこと。これらの操作系は付属のペンで操作することもできるが、指で直接操作してもいい。

 ファンクションキーとタッチホイールには、さまざまな機能を割り当てることができる。ファンクションキーにはデフォルトでブラウザの進む、戻るやタスク切り替えなどが割り当てられている。

 タッチホイールはiPodのタッチホイールと似た操作で、指でクルクルと回転させるように撫でると、デフォルトではズーム操作となる。また、アプリケーションによってはこの操作が自動的にスクロールに切り替わるのだが、タッチホイールの上下の三角マークをタッチすることでもスクロールが可能だ。画像編集ソフトで、右手にペンを握ったまま、左手でタッチホイールをクルクルと撫でて画像を拡大する、なんてこともできるので、非常に便利である。

 入力デバイスはペンのほかに、ホイール付きのワイヤレスマウスも用意されている。これはBambooのタブレット上でしか使えないからペンとマウスは排他利用になるのだけど、ペンもマウスも電池なしで動作するので、電池の入れ替えとか充電といった手間が省けるというメリットもある。


付属するマウス。一見1ボタンだけど2ボタンでホイールも付いている ファンクションキーとタッチホイール。タッチホイールはクルクルと回転させるように撫でたり、上下の三角マークをタッチする。タッチホイール周辺の青いイルミネーションは、スリープ中のMacintoshのように、アイドリング中は寝息のようにソフトな点滅をくりかえす

ペンの設定画面。ペンや消しゴムの感触、ボタンへの機能割り当てなどが設定できる
タッチホイールとファンクションキーの設定画面。やはり機能の割り当てを設定できる

 ペンタブレットを思うように操作するには、はっきり言って練習が必要である。Bambooは電磁誘導式のペンタブレットなので、ペンがタブレットの“上空”3mmくらいの高さにあると、もうペンの動きを検知する。感圧式ならペンがタブレットに触れていないと動きが検知できないので、電磁誘導式よりも紙に似た感覚で使えるが、Bambooではペンが紙に触れていなくても文字がかけてしまう、という感触なので、これに慣れる必要がある。Windowsなどのアイコンを操作するのでも、やはりマウスとは違った「お作法」を覚える必要がある。

 しかし、これらは日夜の不断の努力を何カ月も続けなければ習得できない、という種類のものではない。Windows Vistaには「Tablet PCペントレーニング」というチュートリアルが入っていて、Bambooをインストールすると自動的に有効になるのだが、これを10分もやればWindowsの基本操作はマスターできる。Bambooにもチュートリアルが付属していて、こちらも合わせて行なえばだいたいの操作が習得できる。あとはBambooの感触に慣れるだけだ。


Bambooに付属するチュートリアル
Windows Vistaに付属するチュートリアル

 ペンタブレットといえば「手書きの文字やイラストをPCで作った文書に入力する」という使い方が真っ先に思い浮かぶが、写真の加工にも便利なデバイスである。

 ペンタブレットとマウスのもっとも大きな違いは、ペンタブレットには「筆圧」という概念があることだ。鉛筆などの筆記具を強く紙に押し付ければ太くて濃い線が描ける、というのがペンタブレット上でもエミュレーションされているのだ。画像ソフト上で線を引くとき、マウスではどこまでも同じ太さの線が引かれるが、ペンなら筆圧を変えれば線の太さも変わる。

 たとえば画像の細かい部分の修正では、頻繁にブラシや消しゴムのサイズを変更して、必要な部分だけを加工できるようにしなければならないが、マウスではいちいち離れたボタンやボックスにカーソルを移動させて、大きさを変える必要がある。ペンタブレットの場合、ペンをタブレットに押し付ける力の加減で、ブラシなどの大きさが変わってくれるから、よりスムースな作業が可能だ。また、複雑な図形の選択とか、覆い焼きのような画像の部分部分の修正も、マウスよりもより自然に行なえる。

 また、ペン先の反対側、いわゆるペンのお尻は「消しゴム」になっていて、レタッチ中もペンをくるりと握りかえるだけで、機能を切り替えることができる。もちろん消しゴム側にも筆圧が適用される。


ペンでマグネット選択ツールを操作して、人物だけを選択
腕の間の切り抜きなどは消しゴムツールでできる

 Windows Vistaであれば、画像関係の操作だけでなく、ジェスチャーによるWindows操作や、ブラウザに表示されたデータをペンで範囲選択して切り抜き、ほかの文書に貼り付ける「スニッピング」など、ペンならではの便利機能も享受できる。Photoshop Elementなどの画像ソフトの購入を考えているなら、プラス数千円でペンタブレットも手に入るBamboo Funを検討する価値は大いにあるだろう。



URL
  ワコム
  http://tablet.wacom.co.jp/
  製品情報
  http://tablet.wacom.co.jp/bamboo/

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ワコム、民生向けペンタブレットの新ブランド「Bamboo」(2007/09/13)


( 本誌:田中 真一郎 )
2007/09/20 00:05
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