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LEE「P-4ソフトセット」

~軽くて取り付けが簡単なソフトフィルター

 かつてフィルムカメラが主流だった時代に、プロ写真家がよく使ったものの1つに「ゼラチンフィルター」がある。デジタルカメラはホワイトバランスの調整により、光源に対する色補正を行なうことができるが、フィルムカメラは太陽光の色温度に合わせたデーライトフィルムか、写真電球の色温度に合わせたタングステンフィルムによって撮影するため、厳密な色表現が必要な場合、光源に合わせた色補正フィルターが必要だった。

 LB(ライトバランシング)フィルターやCC(カラーコンセイペイション)フィルターなどは、厳密な光学特性を実現するために薄いフィルム状のもので作られており、その原料から「ゼラチンフィルター」と呼ばれていたのだ。実際にはゼラチンで作っているのはコダックラッテンフィルターのみで、ほかに同様のフィルターとして、富士フイルムのトリアセテートベース、イギリスLEE社のポリエステルのフィルターがある。

 デジタルでは、これらの色補正関係のフィルターを使うことはあまり考えられないが、LEEのポリエステルフィルターにはソフトフィルターのラインナップがある。薄膜のフィルターはガラスのフィルターに比べ、圧倒的に軽いというメリットがあり、外出時にさまざまなフィルターを持ち運ぶときに便利だ。そこでLEEの「P-4ソフトセット」(8,925円)を使ってみることにした。

 薄膜のフィルターは、75mm角、100mm角などのサイズがある。これはインチのサイズ(1インチ=約25.4mm)が基準となっており、それぞれ3インチ、4インチの規格である。コダックラッテンフィルターや富士のものは両サイズが売られているが、LEEのものは100mm角のみ。フィルター径の大きいレンズに対応できるという点では、100mm角の方がベターだ。

 LEEのフィルターは、プラスチック製のフレームに入った状態で販売されているので、フィルターを持つときは、フレーム部分を持てばよい。そのままレンズの前にかざして撮影できるが、きちんと取り付けるには、フィルターホルダーが必要になる。

 そこで、100mm角のフィルターを最も手軽に使うことができる「LEEラバースナップフィルターホルダー」(3,990円)を用意した。多くのフィルターホルダーが、レンズの「フィルター取り付けネジ」にきちんと取り付けるためのリングを必要とするのに対し、レンズの外径にゴムバンドではめ込むだけ、というシンプルさが特徴だ。

 さまざまなフィルター径のレンズを同じ場面で使うとき、リングの交換などの面倒がないのがいいところである。ホルダーの前後にはそれぞれ右上の部分に四角い窓が開けられており、フィルター枠に書かれているフィルターの種類を読みとることができる。ソフト系のフィルターの場合、無色のためフィルターの種類をフィルターの膜面だけでは判断できないので、種類を文字でチェックできるのは大変便利だ。


LEEラバースナップフィルターホルダーLEEはイギリスの会社だが、ホルダーには「LEE USA」の文字が。イージーな取り付け方式は、アメリカで考えられたものなのだろうか
ホルダーとフィルターの取り付けは挟み込み式。取り付けはしっかりできるが、一般的な差し込み式に比べるとちょっと面倒だ

レンズとホルダーの取り付けはゴムバンド式。バンドを拡げてかぶせるだけでシンプルかつ簡単だ
ホルダーの内径は83mmあるため、82mmフィルター径のレンズまで対応できる。ホルダー右上の窓から、入れたフィルターの種類をチェックできる

 P-4ソフトセットを使って撮影してみた。一般的なガラス製ソフトフィルターは大抵、強と弱の2種類で用意されている。ところが、LEEのP-4ソフトセットはSOFT1からSOFT5までの5段階、5枚をセットで用意しているので、効果の度合いをきめ細かく調整できる。ひとまず同じ被写体で、5つのフィルターそれぞれを使ってみることにした。

※写真下の作例データは、使用カメラ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/撮影モード/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


フィルターなし
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/285秒 / F8/ +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 26mm
SOFT1使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/285秒 / F8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
SOFT2使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/320秒 / F8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 26mm

SOFT3使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/250秒 / F8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 26mm
SOFT4使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/350秒 / F8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 26mm
SOFT5使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/350秒 / F8 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 22mm

 ソフト系のフィルターは光を拡散する性質があるため、水面の反射を入れた例では、ソフト効果が大変わかりやすく出ている。ごく弱い効果のSOFT1でも、水面の反射部分にソフト効果を確認することができる。

 ソフトフィルターの効果は、レンズの焦点距離や光の条件などによって見え方が異なる。そのため、いくつかのフィルターを使ったカットを撮っておいて、後から選ぶ方法の方がいいように思える。使ってみた結果は、ハイライト部が少ない状況なら、SOFT2でも隠し味的効果という印象。ガラス製のフィルターと違って軽いので、5枚セットで持ち歩いて状況に合わせて使えるようにしたい。


サルスベリの花。フィルターなし
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/125秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm
SOFT1使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/114秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 35mm

フィルターなし
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/57秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 24mm
SOFT2使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/20秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 24mm
SOFT5使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 1/20秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:晴天 / 24mm

花火。SOFT3使用
FinePix S5 Pro / 4,256×2,848 / 3秒 / F8 / -0.5EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 390mm


URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/
  LEE Filters(英文)
  http://www.leefilters.com/
  製品情報
  http://www.kenko-tokina.co.jp/filter/lee/4961607398418.html


( 木村 英夫 )
2007/09/11 00:00
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