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ケンコー カメラマウント

M42マウントのレンズとカメラを取り付けできる

カメラマウント
 カメラとレンズを接続する部分のマウントはメーカー毎に異なり、また、年代によって変更されることもあって、同メーカーでも古いレンズを現代のカメラに取り付けできない場合がある。

 異なるマウントのカメラとレンズを接続する「マウントアダプター」は、古くはライカがスクリューマウント(Lマウント)からバヨネットマウント(Mマウント)に変更したときに用意されたL-Mマウントアダプターや、ペンタックスがスクリューマウント(M42マウント)からバヨネットマウント(Kマウント)に変更したときに用意されたKマウントアダプターなど、カメラメーカーが純正アクセサリーとして用意したものだった。

 だが、現在では写真用品メーカーが、クラシックレンズを今のデジタル一眼レフなどに使えるよう、異なるメーカーのカメラとレンズの組み合わせを楽しめるアクセサリーとして数多くのものが売られている。


 マウントアダプターは原則として、フランジバックが長い規格のマウントのレンズを、フランジバックの短い規格のマウントのカメラに取り付けるもので、レンズは無限遠の状態からピントが合うように作られている。

 金額は数千円から1万円を超えるようなものまであるが、今回使ってみたのは、手頃な価格(2,625円)の「カメラマウント」。ケンコーが自社で売っていたソフトレンズなどの交換マウントとして用意していたものだ。今でもピンホールレンズの交換マウントとしてカタログに紹介されている。

 レンズ側のマウントは口径42mm、ピッチ1mmのいわゆるM42マウント。かつてはプラクチカマウント、ペンタックススクリューマウントと、この規格を使っていたカメラの名前を指して呼ばれていたものだった。世界でさまざまなメーカーがこの規格を採用したレンズを作っていたことがあり、クラシックレンズを使うのに便利そうに思える。

 同製品は、ケンコーソフトレンズ用の設計のためか、厚みがある。メーカー毎にフランジバックが異なるのをマウントの厚さ部分で調整していたのだろうか。そのため、M42マウントの通常レンズを他のマウントのカメラに使うのに流用すれば、本来のマウントアダプターの原則である無限遠からピントが合うということはなく、近接撮影専門となる。

 似たような交換マウントシステムに、天体望遠鏡などのアクセサリーに対応されているTマウントがある。口径が42mmであることはM42マウントと同じであるが、ネジのピッチが0.75mmであることが異なり、互換性はない。Tマウントは元々レンズメーカーのタムロンが採用していたもの。このTマウントとの区別のため、ケンコーのカメラマウントはPマウントと呼ぶこともあるようだ。


M42マウントレンズを現行機に取り付け可能

 先日、中古市でジャンク品として売られているものの中から、M42マウントのアサヒペンタックス用のタクマーレンズを入手した。絞りは動くが絞り環とうまく連動せず、ピントリングが渋い。しかも鏡筒がガタガタするといった状況だったが、EOSマウントのカメラマウントを使えば撮影に使えそう、と考えた。


Takuma 55mm F2の標準レンズ。鏡筒がかなりガタつき、ピントや絞りがうまく動かないジャンクを入手した レンズのカメラ取り付け側に見えるネジ山がM42マウント。カメラにレンズをあてがって回して固定する

EOSボディーに取り付けるため、あらかじめレンズにケンコーのカメラマウントをねじ込んで取り付ける ネジが3カ所あり、レンズの向きの調整ができる

EOS Kiss DIGITAL Xに取り付けたところ。レンズの径が細く、ちょっとアンバランスに見える

 M42マウントのレンズはカメラにねじ込んで取り付けるしくみのため、ネジの位置関係によってレンズの距離目盛りが必ずしも上にこない、という問題がある。現在の一眼レフが採用しているバヨネットマウントでは考えられないことだ。

 この問題を解決するために、ケンコーのカメラマウントでは、レンズの取り付け位置を調整できるよう、マウントの外側と内側の向きを変えられるようになっている。マウント外周部に3カ所マイナスドライバーで調整できるネジがあり、これを緩めれば、レンズの上部とカメラの上部の位置をきちんと合わせることができる。

 ただ、ネジを緩めすぎると内側のマウントが抜けてくるので、緩めすぎないようにしなければいけない。また、ネジがしっかり締まっていないと、マウントの内側と外側が滑ってしまい、マウントと取り付けたM42マウントのレンズの取り外しができなくなってしまうので要注意だ。


撮影してみる

 取り付けたAuto-Takuma 55mm F2の距離目盛りは(無限遠)から最短0.55m。カメラマウントを介してEOS Kiss Digital Xに取り付け、ピントが合う距離を確かめてみると30cmから50cmといったところだ。もちろん、取り付けるレンズの焦点距離によってピントが合う距離が異なることは考えられる。

 接写リングでも、広角になるほど薄い接写リングでもピントが合う距離が近い(場合によってはピントを結ばない)、望遠になるほど厚い接写リングでも近接にならないということがあるため、カメラマウントの厚みの及ぼす影響が異なることが考えられるのだ。

 撮影にあたり絞りが任意にセットできないので、レンズ前方からみて少し絞り込まれた感じのところで固定して使ってみることにした。近接撮影なので、ブレを考えてISO400にセットし、早めのシャッターが切れるように考えた。

 本来のマウントアダプターよりも撮影距離は限定されるが、M42マウントをさまざまなカメラに対応できる品揃えが豊富で、入手が比較的簡単なのは魅力。遊び感覚でクラシックレンズを楽しむのに最適だと思う。


※作例すべてEOS Kiss Digital XとAuto-Takuma 55mm F2(ジャンク扱い)で撮影したものです
※作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです
※作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/シャッター速度/ISO感度/露出補正値/ホワイトバランスを表します


3,872×2,592 / 1/125秒 / ISO400 / 0EV / WB:オート
ピントがあったところは結構シャープに写る
3,872×2,592 / 1/160秒 / ISO400 / 0EV / WB:オート
古いレンズなので、ちょっと逆光っぽい状況だと強烈なフレアで真っ白になってしまう

3,872×2,592 / 1/100秒 / ISO400 / +0.7EV / WB:オート
ピントリングがスムーズに回らないので、被写体との位置関係でピントを調整する
3,872×2,592 / 1/500秒 / ISO400 / +0.7EV / WB:オート
背景のボケに絞りのカタチがみられる


URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/


( 木村 英夫 )
2007/09/04 00:10
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