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バンガード「Elite4S」
~コストパフォーマンス抜群のレバー式カーボン三脚
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Elite4S
安価な三脚を作るメーカーは数え切れないほど存在するが、プロ用といえる三脚を作るメーカーは、元々世界に数社しかなかった。精度がよい三脚造りはそれなりのノウハウが必要なためだろう。しかし、今年はプロフォト扱いの「Induro」など、新規参入メーカーが現れた。
今回チェックしたカーボン三脚を製造するバンガードは、世界的な光学・写真用品メーカー。ビデオや小型デジタルカメラ兼用の、どちらかといえば安価な三脚のラインナップとともに、カメラバッグや双眼鏡、フィールドスコープなどを販売している。photokinaなどの海外のカメラ用品ショーでは、本格的なプロ用三脚を展示していたものの、それらのラインナップは日本では販売していなかった。
今年の春頃から雑誌広告などで、バンガードの新たなラインナップを発売するという発表がされていたが、いよいよ販売店に製品が並び始めたようだ。
脚を全て伸ばしセットしてみた様子。エレベーターを上げなくてもほぼ目の高さを確保できるサイズだ
バンガード「Elite4S」は、バンガードのカーボン三脚ラインナップのうち、最上級機に当たるもの。最大パイプ径が32mmと太く、望遠レンズにも安心して対応できそう。また、3ハンドルの3ウェイ雲台が装備されているのも、シリーズ中ではこれしかない。ほかのモデルは1ハンドルの、簡易的な3ウェイ雲台である。Elite4Sの店頭価格は4万9,800円前後と、売れ筋のカーボン三脚よりもやや手頃な価格に設定しているという。
全体的なデザインはオーソドックスな印象。さなざまなプロ用三脚を研究している様子が見られる。脚部は太いパイプとともに、脚を三本まとめている部材である本体部もボリューム感のある、しっかりした感じを受ける。金属部材にはマグネシウムを使用して軽量化を図っているという。
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雲台部分
付属しているのはクイックシュー組み込み式の3ウェイ雲台。2つのハンドルで上下と縦横、1つのつまみで左右の調整を行なう雲台が一般的であるが、Elite4Sは、左右の固定もハンドルでの固定を採用している。そのため嵩張る印象があるが、寒冷地での手袋をつけての操作などを考えれば、つまみよりもハンドルの方が使いやすい状況がありそうだ。3本のハンドルはそれぞれ取り付け位置が決められている。持ち運び時にハンドルを外して持ち運んでも、入れ間違いをしないように、ハンドルと取り付け部の双方に「A」、「B」、「C」の印が付けられている。
クイックシューは購入時に通常のカメラネジ対応(U1/4型)のほかに、大ネジ対応(U3/8型)も同梱されている。また、ネジで着脱可能なビデオピンも入っているため、クイックシューをビデオカメラやフィールドスコープなどに対応させることも可能だ。
カメラの雲台への取り付けはクイックシュー方式。クイックシュー下部にはワイヤーによるツマミが設けられ、簡単にねじ込むことができる
クイックシューの雲台への固定は2ステップ。まず雲台側面にあるレバーでクイックシューが抜けないように固定する
クイックシュー後ろにある固定つまみでクイックシューをしっかり固定する。これで雲台とクイックシューがしっかりと一体化する
3ウェイ雲台は「上下」「左右」「縦横」の3方向それぞれをハンドルで調整する3ウェイ方式。ハンドルを間違って取り付けないよう、「A」、「B」「、C」とシールで印をつけている
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三脚部分
Elite4Sの脚部は、通常の売れ筋カーボン三脚よりもしっかりしているように見える。それはパイプサイズが大きいためだ。一般的な中型カーボン三脚の最大パイプ径が28mm前後であるのに対し、Elite4Sの32mmというサイズは一回り大きいことになる。
2段目のパイプがちょうど28mmであり、その分安定性が増すことになる。ただ、パイプ径の大型化は重量の増加も招く。Elite4Sの場合、雲台を合わせた総重量が3kgを超えしまった。28mm程度のパイプ径の中型カーボン三脚が2kg程度であることを考えれば、1kgもの差がついている。オススメできるユーザーは、軽さよりも安定性を重視する望遠レンズ愛好者ではないかと思う。
脚パイプの伸縮方式はレバー式。カーボン三脚のレバー式は、他社ではベルボン、マンフロット、スリックなどが採用している。レバーによる迅速な脚の伸縮固定と、目視でのロック確認ができるところにメリットがある。
プロ用三脚には大抵装備されている「ローポジション対応開脚機構」だが、Elite4Sにも装備されている。一般的に3段階が多いが、Elite4Sは4段階。最大で約130度の開脚ができる。脚を「上げる」ように開くことができる。壁に立てかけて使うような場合に便利そうだ。開脚角度のセットは、脚の根本にある「ボタン」によるもの。脚を閉じれば、標準開脚状態に自動的に復帰する仕組みだ。
脚の伸縮固定はレバー式。レバー部分はプラスチック製だ。大きなレバーにより、軽い力で脚を固定できる
開脚は4段階。脚の根本にあるボタンを押しながら開く。通常開脚と中間、ローポジションのそれぞれにセットした様子
さらに脚を開くと角度130°、後ろにある壁などに立てかけても使えるところまで開く。バンガード独自の工夫だ
開脚角度を3本ともローポジションにセットする。標準のエレベーターが長いので、エレベーターを外して雲台をローアングル用アダプターに付け替える
雲台をエレベーターから外すには、エレベーター上部にあるプレート裏のマイナスネジを3箇所緩める必要がある。脚部に標準装備される工具を使えば、ドライバーなどは不要だ
雲台をローアングル用アダプターに付け替えた様子。ローアングル用アダプターは普段、エレベーター下部に2本のピンで固定されている
ケースは付属しないがしっかりした三脚ストラップが装備されている。雲台を下側にすると安定して持ち運べる
エレベーター上部は完全に下がりきらない。一見、縮長が短くならないので不利に見えるが、エレベーター操作のミスなどで指をけがしないよう、配慮されているようだ
プロ用三脚としては新規参入だが、バンガードは今までの三脚造りのノウハウや、光学製品のノウハウがあるため、各操作部の完成度は高い。ただ、大型クラスの脚部と中型クラス用の雲台がアンバランスに見えるのと、雲台のクイックシュー取り付け操作の煩雑なところが惜しまれる。
しかし、お手ごろ価格と大型クラスの安定性というのは大きな魅力。もしレバー式カーボン三脚を検討中なら、是非候補に入れてほしい、新たなカーボン三脚である。
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URL
ガードフォースジャパン(バンガードの日本法人)
http://www.guardforce.co.jp/
製品情報(Elite4S)
http://www.guardforce.co.jp/vanguard/ext-Elite%20tripod.html
( 木村 英夫 )
2007/08/21 11:33
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