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Induro「CX214」
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~アメリカブランドの多機能なカーボン三脚
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Induro(インデューロ) CX214
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日本で有名なアメリカブランド三脚のブランド、といえばクイックセットの「ハスキー」である。第二次大戦後に進駐軍が持ち込んだといわれ、日本の国産三脚に大きな影響を与えた製品で、今でもほとんど変わらないスタイルで製造・販売が続けられている。
現在、世界のプロ用三脚市場では、ヨーロッパ系のジッツオ、マンフロットか、日本のスリック、ベルボンが大きなシェアを持つ。ところが最近、アメリカの写真アクセサリーブランドのMacグループが手掛ける「Induro(インデューロ)」というブランドから、新しい三脚シリーズが発売された。同グループは、アメリカ市場でマミヤのカメラ、テンバのバッグ、セコニックの露出計などを扱う写真商社。日本では馴染みが薄いかもしれないが、アメリカ市場ではそれなりの知名度がある。
【お詫びと訂正】記事初出時、Induroは「アメリカ製」という記述がありましたが、正しくは「アメリカブランド」です。お詫びして訂正いたします。
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黒と赤の配色がお洒落な箱の中に、同じ色使いの三脚ケース。三脚とストラップ、工具・石突が入ったケースがセットされている
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新規に立ち上げられた三脚シリーズInduroのラインナップは、今のところ全製品がカーボン製。旅行用の小型三脚から、大型カメラや超望遠レンズまで対応できそうな超大型モデルまで一気にフルラインナップで登場した。なお、日本市場での発売は6月下旬。
8層のカーボンパイプを採用したのが全製品共通の特長であるが、その中に一般的なスタイルのCシリーズと多機能タイプのCXシリーズの2ラインが用意されている。その中の多機能タイプの中型モデル「CX214」(価格5万9,010円)を試用する機会を得たので、機能や特長をチェックしていきたい。
CX214はパイプ径が28mm。デジタル一眼レフカメラに一般的な望遠レンズをつけてベストマッチ、というくらいの中型三脚だ。4段式のため、畳んだ長さ=縮長は約52cm(雲台別)とコンパクト。シリーズには「CX213」という3段モデルもあるが、持ち運びのコンパクトさを考えれば、やはり選択は4段だろう。
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エレベーター上部の雲台取り付けネジは大ネジ・小ネジの両方に対応できるよう、工夫されている
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ほかの海外ブランドの三脚同様、雲台は別売りで発売されている。デフォルトでは、エレベーター上端の雲台取り付け部には大ネジ(U3/8インチ)のネジが出ている。同ブランドの雲台、ジッツオ、マンフロットなどの海外ブランドの雲台ならこのまま取り付けが可能。一方、国産のスリックやベルボンの雲台を載せるなら事前に小ネジ(U1/4インチ)にしておく。付属の工具セットの中からレンチを取り出して、ネジ部の元にある六角ナットを緩め、ネジを上下反転させ、再びレンチで固定すればいい。
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雲台取り付け台座の下部に、六角穴付ボルトが3つある。雲台を取り付けた後に、これらで雲台がずれないように固定する
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雲台取り付け部の台座の下部には、3つの六角穴付ボルトが組み込まれている。雲台を取り付けた後、このボルトを締めることで雲台がずれないように固定できる。エレベーター部と雲台の間に固定がなければ、雲台を充分緩めずに操作したとき、エレベーター上部から雲台が外れてくるというアクシデントにつながる。同様の構造はマンフロット製品などに見られるが、特に超望遠レンズなどの重い機材を載せる三脚にはほしい装備だ。
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工具セットの中には、標準のゴム石突と交換するためのスパイクが入っている。レンチでしっかり固定できる
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工具セットの中にはこれらの操作をするための工具以外に、標準のゴム石突と交換するためのスパイクが入っている。岩や氷などの上で三脚を動かないように立たせるためのものだ。国産のカーボン三脚にはゴムとスパイクが切り替え式の2ウェイ石突を装備しているものがあるが、2ウェイ式は撮影現場で切り替えできるメリットがあるものの、室内などスパイクを出すと床が傷つく場所では気をつかうこととなる。交換式の採用は石突に関するメーカーの見解の相違によるものだろう。
持ち運び用にケースとストラップの両方が付属している。ストラップは三脚の持ち運びとケースの肩掛けの両方に使えるよう工夫されているが、近距離を持ち運ぶならストラップで三脚を肩にかけるのがいい。素早く撮影現場でセットできるためだ。
Induro三脚には、三脚の「本体(脚を3本合わせている部品)」にストラップを取り付けるための金具が装備されている。反対側は脚3本を束ねるように外側に回し、バックルにストラップを通して固定する。三脚を背負うときは雲台を下にする。脚パイプよりも雲台の方が重いためだ。逆に背負おうとすると安定しないのだ。
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雲台や石突の交換用のレンチの反対側は、脚を留めているボルトの締め増し用のレンチになっている
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三脚をストラップで背負う。雲台を下にすると重心が下にくるので背負いやすい
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■ フィールドで三脚をセットする
Induroの三脚はすべてナット式の伸縮方式だ。ワンタッチのレバーで伸縮できるレバー式よりもプロ向きとされるが、パイプに空転防止の加工が施されており、3つのナットを一度に回しても緩める操作ができ、快適に伸縮操作ができる。しかし、ほかの多くのカーボン三脚同様、アルミの三脚に比べパイプ同士の滑りがよくないため、ナットを緩めた後、手でパイプを引き出す必要がある。
全高は約163cmとあるが、これは雲台別でエレベーターを伸ばしたときの高さだ。自由雲台DM23を取り付けたとき、身長170cmくらいの人ならエレベーターを上げずにほぼ視線の高さにカメラをセットできる。
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脚パイプは空転防止の加工がなされており、3つのナットを同時に緩めることができる
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CX214+DM23雲台にカメラを載せた様子。エレベーターを上げずにほぼ目の高さが出せる
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CX214には、他の三脚にはないユニークな装備がたくさんある。本体部分に「水準器」とともに「方位磁石」が装備されているのは、今まで見たことがない工夫だ。カーボン三脚は脚部の重量が軽いので重心を下げる意味で、エレベーター下部に「ウェイトフック」が組み込まれている。単なるフックでなく、持ち運び時などには邪魔にならないようにスプリングでエレベーター内に収納されるよう工夫がされている。
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本体に装備されている「方位磁石」。日の出や日の入りの撮影に便利そう。さらに別の面には「水準器」も装備
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エレベーター下部には、ウェイトフックを装備。カメラバッグなどを下げると重心が下がり安定する。ウェイトフックは持ち運び時、スプリングで収納して接写用に三脚をセットする
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CX214には長めのエレベーターが装備されているが、別売りのローポジション対応の短めのエレベーターも使用できる。また、CXシリーズはエレベーターを水平に倒せるという特徴をもっているので、長めのエレベーターのままでも低い位置にカメラをセットできるし、マンフロット製品とは異なり、中間の角度にも固定できる。また、エレベーターを上まで持ち上げてエレベーターの傾斜を変えれば、エレベーターを抜かずに角度を調整できるというメリットもある。
Photokina 2006で発表されたマンフロットの「190X」では、エレベーターは抜けず、上まで持ち上げるとそこで90度入れ替えができるが、CX214はそのまま引っ張ると抜けてしまうので、操作に注意が必要。また、外観からはよく似た印象を持ちやすいジッツオ製品の「エクスプローラー」は、エレベーターが三脚のセンターにないので、一般的な三脚と全く同じように使用するには難しい点もある。
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Induroのロゴが入ったストッパーを引き出すと脚の角度を変更できる。一般的な3段階可変式
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写真左にあるストッパーを緩めるとエレベーターの角度を変更可能。垂直から水平、さらに傾けることも可能。歯が切られているので緩めてすぐガクっと動くということはない
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エレベーターを横に倒すと、足場を気にすることがなく被写体を真上から捉えられる
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本体下部のナットはエレベーターの動く固さ調整用に見えるが、実はエレベーターを傾けたときの左右の動きを調整するためのもの
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一般的な中型三脚の重量(雲台を除く)が約1.6kg、CX214は約1.8kgとわずか200g重量が増すが、エレベーターを自由な角度で傾けることができる工夫があり、接写であらゆる角度を狙うときに便利そうだ。Induroにはこれからも三脚のニューブランドとして、今までにない新たな工夫を盛り込んだ三脚造りを期待したい。
■ URL
プロフォト
http://www.profoto.jp/
Induro(英語)
http://www.indurogear.com/
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・ プロフォト、8層構造チューブのカーボン三脚「Induro」(2007/06/05)
( 木村 英夫 )
2007/06/26 00:17
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