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Katz Eye Optic ファインダースクリーン
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~温故知新。デジイチにスプリットマイクロスクリーンを入れてみる
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【注意】スクリーン固定式のカメラでは、スクリーンを外す作業を行なって故障させるとメーカー保証は効かなくなります。スクリーンの交換を行なう場合は、付属のマニュアルに従ってユーザーの自己責任で注意してください。万が一、キズ、故障、破損などのトラブルが発生しても、一切の問題についてその責任を米Katz Eye Optics、デジカメWatch編集部、筆者は負いませんのでご了解ください。
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米Katz Eye Opticsファインダースクリーン。左手前がD2Xのオリジナルのスクリーン。右奥がKatz Eye。中央にスプリットがあるのがわかるだろう?
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スプリットイメージやマイクロプリズムの入ったファインダースクリーン(略して「スプリットマイクロ」)をご存知だろうか。マニュアルフォーカスのフィルム一眼レフでは標準的だった、画面中央で左右や上下の像の重なり具合を見ながらピント合わせを行なった、あのスクリーンのことだ。
かつて、といってもそう遠くない90年代頃までは、一眼レフのスクリーンにはこのスプリットマイクロが標準的に用いられていた。そもそも別売アクセサリーの交換スクリーンとして、オプションで全面マットが用意されていたものである。いまや逆にデフォルトで装備されているのが全面マットになり、純正のスプリットマイクロの交換スクリーンはキヤノンEOS-1D系用を除いて姿を消してしまった。
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手作りシールが貼られたパッケージ。交換用ピンセットが付属していた
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「なぜデジタル一眼レフの時代になってスプリットマイクロのスクリーンを用意しないのか」と、とあるメーカーの開発者に聞いてみたことがある。いわく、現在の上位機種のオートフォーカスは人間の眼よりも測距能力が高いうえ、スプリットマイクロでは誤測距しやすく、等倍以上に画像を拡大するデジタル一眼レフに使うにはためらわれるのだという。さらに、これはあくまでも想像だけれど、意地悪な見方をすれば開放F値の暗いキットズームではかげりの出てしまうスプリットマイクロよりも、マット型ならば明るく見えて見栄えもするからではないか。
筆者は趣味の撮影ではMFの機械式一眼レフも使う。デジタル一眼レフはおもしろく使っているけれど、MFのフィルム一眼レフのスクリーンをのぞくたびにため息が出ることが多い。ああ、画像が大きく明るくよく見えるなあ。ピントが合わせやすいなあ、と。そうなのだ。APS-Cサイズセンサー機の小さいファインダーでは、目の悪い筆者にはピントがよくわからないことが多いのだ。
これは決して、撮像素子はフルサイズがいいとか、ファインダーはガラスプリズムじゃなきゃ嫌だという話ではないし、ファインダー視野率や倍率の問題だけでもない。スクリーンを明るくすればするほど、ピントが合わせにくくなるという事実も百も承知だ。それでもなお言いたいのは、最近のマットのスクリーンは確かに明るいけれど、このスクリーンのサイズではピントのヤマがつかみにくいということ。各社開発者のみなさん、コストを削れという上層部の圧力に屈せずカメラ部の改良もがんばってくださいな。
「AFを使えばいいじゃないか」と思う方もいるかもしれない。いやいや、そうなんだけど、ピントのヤマがつかみにくいスクリーンでは、AFだってきちんと合っているかどうかもよくわからない。そのAFも苦手とする状況もあるし、万能ではないというのは、ちょっと一眼レフを使ったことのある人ならわかるだろう。がんばってピントを合わせたつもりが、PCで拡大再生したら微妙に外していたなどということはヤマほどある。
そんな筆者の「デジタル一眼レフピント合わせ流浪の旅」はもうだいぶ長く続いている。拡大アイピースが製品化されたときは飛びついた。けれど、見にくいスクリーンの表示倍率を上げただけではピントのヤマの見え方は変わらない。逆に、視野がひとめで見えなくなるぶん、構図が甘くなるなんてこともあり、拡大アイピースを使うのはやめてしまった。
結局、根本的な解決策は見あたらず、お気に入りのMFレンズを使うときも、仕事の写真撮影のようにできるだけ絞って使うように心がけていた。そうなると結局はAFレンズばかりを使い、保険として何カットも必要以上に撮るというふうになる。でも、そういう撮り方ばかりしていると、あんまり写真を撮るのがおもしろくなくなってくる。絞りを多彩に使うことも写真のおもしろさだからだ。
そんな折、筆者がWeb上を嘆息しながらさまよっているときにヒットしたのが、この米Katz Eye Opticsのスクリーンだ。Zuiko Digitalユーザーたちがこのスクリーンの話をしているのにもヒットした。よしよし、同志、いいものを教えてくれてありがとう! そこでさっそく、自分も注文してみた。
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交換はマウント開口部からピンセットで行なう。傷をつけないように注意
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Web上で注文し、3週間ほどかかってFedExで到着した。どうやら手作りらしいパッケージがなんとなくほほえましい。アメリカ人のRachael Katz氏という人が手がけているようだ。筆者が注文したのはD2X用のノーマルのタイプで95米ドル(送料別)。スクリーン交換ができない多くのカメラへも対応可能で、さらにグリッドを入れたり、より明るくしたりといったオプションサービスも用意されているようだ。到着したスクリーンを付属のピンセット(ニコン製だった)を使ってさっそく交換してみる。D2Xはもともとスクリーンが交換可能なので簡単だ。装着は30秒で完了。
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Katz Eyeのファインダー像でアウトフォーカスの場合。中央のスプリットイメージ部分とマイクロプリズム部分に注目
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Katz Eyeスクリーンでピントを合わせた状態
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お気に入りの「Ai Nikkor 35mm F1.4 S」をつけてファインダーをのぞいてみた。このレンズ、もともと1971年に登場したもので、Ai-S化と光学系とコーティングの変更を経て現在にいたる。他社のレンズ開発者も「参考にしています」というほどの名レンズ。先ごろ行なわれたニッコールのMFレンズのラインナップの改編でも生き残って、今でも購入可能な現行製品であり続けている。
※作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※例下の撮影データは、カメラ/レンズ/記録解像度(ピクセル)/撮影モード/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。
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28~35mm程度のレンズで絞りを開けて人物を撮るというのは、実はピント合わせが難しい。開放F値の暗いズームではわからない点だ。でも、それを使いこなして得られる単焦点レンズの絵が好きだ
D2X / Ai Nikkor 35mm F1.4 S / 2,848×4,288 / 絞り優先AE / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴天
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絞り開放の絵は「ニッコールっぽい」硬さがなく非常にやわらかい。筆者の所有する個体は現行製品の「ニコンスーパーインテグレーテッドコーティング」が施される前にものでもあるせいか、逆光で意地悪するとデジタルゴーストも出るし、被写体のエッジ部分に色ニジミも見られる(サジタルコマフレアというらしい)。ところが、F2.8からF4くらいまで絞ると非常に端正な描写となる。こういった変幻自在の描写が楽しいレンズだが、ファインダーではこの絞り開放の絵が見えるわけで、実は使いこなしのけっこう難しいレンズなのだ。
さっそく開放でピントを合わせて撮影してみる。いや、なかなかいけますよ、これ。明るさは変わらないが、人物にカメラを向けてみると、確かにピントがわかる。望遠レンズと違い、35mm程度の焦点距離のレンズである程度近寄ってピント合わせをするのに、人の肌はとても合わせにくいのだ。おもしろくなって、あれこれ絞りを開け気味で撮影してみた。試しに知人のカメラ好きにファインダーを見せると「スプリットマイクロなんてなつかしいなあ」とうれしそうだ。
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絞り開放で花を撮ってみた。こうした被写体は多少絞ったほうがいいのだが、このレンズの絞り開放のおもしろさをいかすために絞っていない
D2X / Ai Nikkor 35mm F1.4 S / 2,848×4,288 / 絞り優先AE / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:晴天
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Katz Eyeのスプリットマイクロスクリーン。誰の目にも合うわけではないし、開放F4よりも暗いレンズではスプリット部がかげってしまうので、キットズームや超望遠レンズを多用するユーザー、昔の報道カメラマンのような「スプリットでピント合わせするのは素人だ」とのたまう硬派な方にもおすすめできない。
また、手作りらしくグリッドと中心線が微妙にずれているなどのほほえましい点もあり、納期に時間もかかるし、海外あてのカード決済が不安な方もいるだろう。けれど、不器用な筆者が自分で市販のスクリーンを削るのに比べたらよほどきちんとしている。ともあれ、デジタル一眼レフでどうもピントがわからないとお悩みの方がいれば、試してみるのはいかがだろう。
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西日が当たる生花を絞り開放で撮影。これも本来はもう少し絞って撮影したほうがいいだろう。絞り開放でソフトなイメージをめざした
D2X / Ai Nikkor 35mm F1.4 S / 4,288×2,848 / 絞り優先AE / F1.4 / 0EV / ISO100 / WB:晴天
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もっとも、各カメラメーカーからも、純正交換用スプリットイメージスクリーンやもっとピント合わせのしやすいマットのスクリーンを出してもらえたらありがたいんですけれどね! AF測距点を増やしたり、拡大アイピースを出したり、EVFの解像度を上げることよりもこちらを改良してくれるほうがありがたい、というのは筆者だけではないはずだ。
■ URL
米Katz
http://www.katzeyeoptics.com/
( 丸橋 馨 )
2007/06/14 09:10
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