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ケンコー「デジカメスタジオDS-600」

~レフ板のような構造がユニークな小型撮影スタジオ

 商品写真を撮るとなるとスタジオでバックをセットし、きちんとライティングをすることでいい写真が撮れると思われてきた。しかし今では、かつて商業写真家の仕事だったいわゆる「ブツ撮り」を、ネットオークションなどの普及に伴って、誰でもデジタルカメラで撮影するようになった。

 そのようなニーズに呼応するように出てきたのが、簡易型の撮影ボックスである。さまざまな写真用品メーカーから発売されていて、形状や折りたたみ方法などで工夫を凝らしているが、今回チェックした「ケンコーデジカメスタジオDS-600」(7,140円)は、今までに扱った中では最も簡単にセットできる製品だ。

 各社の同様の製品で、箱形でないものは「~スタジオ」と名付けられているものが多いが、このDS-600も半円のドーム形状をしており、そのせいか「デジカメスタジオ」というネーミングである。

 一般的な撮影ボックスは骨組みを組み立て、被写体の上部と後ろ、両サイドからの光を白いディフューズ板のような素材で囲い込むことで、光を拡散させる。それによって、被写体に均一に光が回るようになる。光の当たり方がムラになると、ハイライト部の白トビやシャドー部の黒ツブレが気になることがある。それを、光を拡散することで防ぐのだ。

 また、背景は白い紙やグレー、ブルーなどのバックを別にとりつけるようになっている。バックも、スタジオの背景のように、後ろと下の部分がなだらかなカーブでつながっていることが必要となる。そうでなければ、被写体の背景に後ろの壁面と地面を分ける線が写り込んでしまうのだ。

 DS-600は、骨組みの組み立てやバックの取り付けなどの作業がいらないのが特長だ。折りたたみ式の丸レフのように、ワイヤーで形状が整えられる構造となっており、拡げればディフューズ部分がドーム状に拡がる。それと同時にバック部分もなだらかな角度で後ろから前へつながるように拡がってくれる。


 ブツ撮りで問題となるバックの処理だが、DS-600ではバックの生地がグレーとなっている。撮影ボックスというジャンルの製品が出始めたころは、ブルーやグリーンのバックが一般的だった。画像処理ソフトでバックの切り抜きをするときに、作業がしやすいというのが理由だが、被写体に色が映り込むことが心配となる。そこで最近の撮影ボックスでは、グレーや白のものが多い。

 自宅で、コレクションしているカメラを撮るのに使ってみた。カメラという被写体はブラックボディーの場合は、黒い箇所が多いが、クロームボディーの場合、シルバーの部分と黒い部分のコントラストが大きくなる。露出の調整を考えつつ撮影することにした。

 DS-600はセットしてみると結構大きい。室内で拡げて使うには、場所がとりづらかったので、裏庭で撮影することにした。天気は快晴。DS-600の下部の布が薄いため、じか置きするのは気になる。また、三脚を立てて適切な高さを確保したいので、段ボール箱の上に置いてみることにした。

 DS-600を使う前に比較用として、コピー用紙の上に被写体(カメラ)を置いて撮ってみた。室内の光源で小さな被写体を撮るなら、コピー用紙の上に置いて撮る、という撮り方でも簡単に印刷物に使えるくらいの画像が撮れる。しかし、今回の被写体は高さがあることと、レンズ面とカメラのメーカーロゴがきちんと見えるように正面から撮らないと絵にならないことから、下に紙を敷くだけでは、バックが十分でない。

 コピー用紙2枚を置いての撮影では、上方向からの角度でないと、背景に他のものが写ってしまうのだ。さらに影が強く出るため撮影ボックスの必要性を感じる。

 DS-600を段ボールの上におき、被写体となるカメラを置いて撮影する準備をする。一般に撮影ボックスを使った撮影では、直射日光が射さない明るい窓際か、照明するライトを用意して、ディフューズ部の外側から照らす。今回は屋外の直射日光の中だが、DS-600のディフューズ部での光の拡散が充分なため、問題なく撮影できた。ただ、バックの一部にディフューズ部の影にならなくて、直射日光があたる部分がある。その部分を避けて、被写体であるカメラをセットする。


裏庭で撮影。三脚をセットして十分な高さを確保するために、段ボール箱を置いてみた
比較用として、下にコピー用紙を置いて撮影してみた。影が強く出ている

DS-600をケースから取り出した様子。レフ板のように折りたたまれている
丸レフを拡げるのと同様、ひねりながら拡げるだけでセットできる

DS-600をセットし、後ろからみた様子。バックが円を描くようになだらかな角度になっている
被写体をセットした様子。ディフューズ部の影となった場所を使って撮影する

 難しいのは露出の決定の仕方だ。自動露出では、被写体であるカメラのクロームボディーの明部の影響や、貼り革の暗部の影響がどのように出てくるかわからない。DS-600のバック部分は「グレー」なので、被写体をセットする前にバックを基準に露出を測り、その数値をマニュアル露出でセットすることにした。


作例

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。

  • 作例下の撮影データは、使用カメラ/使用レンズ、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


背景のグレーを基準に露出決定。カメラは適正露出に見えるが、クロームボディの感じを出すにはもう少し明るめに調整したい
FinePix S5 Pro / AF-S 18-55mm F3.5-5.6 DX / 4,256×2,848 / 1/180秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 55mm
ごく一部に白トビが発生したが、クロームボディーの雰囲気が出た。バックのシワが気にならなくなった
FinePix S5 Pro / AF-S 18-55mm F3.5-5.6 DX / 4,256×2,848 / 1/180秒 / F5.7 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 55mm

 DS-600は、以前から売られている撮影ボックスに比べると、小さく折りたためないというのがデメリットだろう。以前に取り上げたエツミやハクバの製品はいずれも棒状に折りたためたので、三脚などと同じ感覚で移動が可能だ。

 ただ、それほど持ち運んで使うものでないことを考えれば、折りたたみが小さくならなくても、セットが簡単というところに利点を見いだした考え方は面白い。バックのシワが多少目立つことがあるので、セット時にシワをちゃんと伸ばすようにして使うようにしたい。



URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/
  製品情報
  http://www.kenko-tokina.co.jp/d/4961607868188.html


( 木村 英夫 )
2007/05/24 01:48
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