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ケンコー「トワイライトフィルター」

朝焼け・夕焼けの色をコントロールできるフィルター

トワイライトブルー(左)とトワイライトレッド
 今年もいよいよあと1カ月ほど。まだ2007年1月1日の天気はわからないが、新年最初の撮影は初日の出、という方も多いだろう。また、年賀状に使う写真に、家族や子供の写真を使わない場合、風景写真なら日の出を撮って使う、という人も多いようだ。

 ところでストレートに撮影してもなかなかうまく色調が出ないのが、朝焼け/夕焼けの空の色。目で見た感動とずれてしまうような気がする。デジタルの撮影ならもちろんPCの後処理やホワイトバランスの操作である程度の色調の調整はできるが、朝焼け/夕焼け撮影用のフィルターを使うのも一つの方法だ。朝焼け/夕焼け撮影用として売られているのがケンコー「トワイライトフィルター」といい、「トワイライトブルー」、「トワイライトレッド」の2種類が販売されている。

 ところで、このトワイライトフィルターだが、もともとは、カラーリバーサルフィルムでの撮影用に作られたもの。プロ写真家が、ロケで思い通りの夕焼け空が得られないときに、薄膜フィルターなどで工夫して作っていた色調を、ガラスフィルター化したものだという裏話を聞いたことがある。

 今回、EOS Kiss Digital Xと標準ズームのEF-S 18-55mm F3.5-5.6 II USMを使い、朝焼けと夕焼けの両方で試用してみたが、カメラのオートホワイトバランスで色調が補正されないように、ホワイトバランスを「晴天」にして撮影した。これで理屈的には、カラーリバーサルフィルムで使うのと同等の色調が狙えるはずである。

 トワイライトフィルターを見てみると、トワイライトレッドは結構濃い赤紫色。トワイライトブルーも濃い青紫色である。写真全体がこの色に染まってしまえば、雰囲気が出ないのではないか……と不安になるほど。ただ、フィルターを使って撮影するなら、事前にフィルターそのものを覗くと効果の出方の予想ができる。使って効果があるかどうかはさらに撮影現場で液晶モニターを見て確認すれば完璧だろう。


フィルターをかざして覗いてみると、効果の出方は予想がつく
 ではまず朝焼けを撮ってみよう。機材はカメラとレンズのほかに、三脚とリモートコードも用意する。12月は冬至が近く、日の出が最も遅くなる時期ではあるが、6時前には撮影現場でセットしなればならない。6時10分頃、日が昇る前の空が白み始めたところを撮ってみた。

 フィルターなしで撮影したものは、太陽が出る前の、空が赤くなったところの上の空がグレーに写った。それに対してトワイライトブルーは赤から青へのグラデーション表現、トワイライトレッドは赤から赤紫へのグラデーション表現となる。心配したほどフィルターの色調が強く出ることはないようだ。


※作例のリンク先は、撮影した画像です。等倍の画像(3,888×2,592ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※画像下の撮影データは、実焦点距離 / 絞り / シャッタースピード / 感度 / 露出補正値です。


フィルターなし
22mm / F16 / 1秒 / ISO100 / 0EV
トワイライトブルー使用
22mm / F16 / 2秒 / ISO100 / 0EV

トワイライトレッド使用
22mm / F16 / 2秒 / ISO100 / 0EV

 さらに撮影現場で時間を過ごし、太陽が昇ってくる瞬間を狙うことにした。太陽が出てきてしまうと、光量が大きいので、昇る瞬間までがシャッターチャンスだ。この日は6時35分過ぎに太陽が顔を出した。1台のカメラでの撮影のため、フィルターあり、なしのカットに時間差があり、太陽の入り具合に差はあるが、色調の違いはわかるかと思う。

 太陽が出る瞬間のほうが、フィルターなしのカットの「空の高い位置がグレーに見える」のが顕著に出ており、トワイライトフィルターを使う意味があるように思える。「トワイライトフィルターを二つ重ねて使う」という方法も、イメージカット的な使い方ならアリではないだろうか。

 比較として撮影した「レッドエンハンサーNo.2」は、空のグレーが変化しなかった上、フィルターが原因と考えられるフレアが出ている。トワイライトフィルターは、光源を入れた撮影を考えているためマルチコートを施しているが、レッドエンハンサーNo.2は単層コートという。太陽の上がり具合が違うので直接比較はできないが、レッドエンハンサーNo.2を使っての朝焼け撮影は、構図に工夫が必要なようだ。


フィルターなし
55mm / F8 / 1/250秒 / ISO100 / -2/3EV
トワイライトレッド使用
55mm / F8 / 1/80秒 / ISO100 / 0EV

トワイライトブルー使用
55mm / F8 / 1/160秒 / ISO100 / -2/3EV
トワイライトブルー+レッドを重ねて使用
55mm / F8 / 1/50秒 / ISO100 / -2/3EV

レッドエンハンサーNo.2使用
55mm / F8 / 1/250秒 / ISO100 / -2/3EV

 続いて夕焼けを撮影してみよう。トワイライトフィルターは、夕日を撮影するのにも向いているというので試してみたが、撮影日は残念ながら雲が出てしまい、空は赤くならなかった。だが「きれいな夕日にならなくても色調を作り出せる」ということを試してみる機会と思い、使ってみた。

 ブルーグレーの曇り空の雲間から赤い光、飛行機雲が赤く染まる光景だが、夕日の印象は薄い。トワイライトブルーフィルターを使ったカットは、暗い中から赤く染まった部分が目立つように、トワイライトレッドを使ったカットは、全体が赤系統になり、夕日を感じさせる風景となった。


フィルターなし
18mm / F8 / 1/15秒 / ISO400 / +2/3EV
トワイライトブルー使用
18mm / F8 / 1/6秒 / ISO400 / +2/3EV

トワイライトレッド使用
18mm / F8 / 1/4秒 / ISO400 / +2/3EV

 トワイライトフィルターは、「デジタルでも効果がある」という結論となった。色調が2種類あるため、好みで使い分けることになると思うが、意外だったのが重ねて使ったときの効果。色調が濃いので「自然な印象」とはいかないが、独特な雰囲気の写真ができる。初日の出でも是非チャレンジしてみたい。



URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/
  製品情報(トワイライトレッド)
  http://www.kenko-tokina.co.jp/filter/4961607352847.html
  製品情報(トワイライトブルー)
  http://www.kenko-tokina.co.jp/filter/4961607352854.html

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ケンコー「ウォームエンハンサー」(2006/11/14)


( 木村 英夫 )
2006/12/05 00:28
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