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ペンタックス DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]

ユニークな発想のデジタル専用フィッシュアイズーム

価格:オープンプライス(店頭予想価格:5万円台半ば)

 ペンタックスといえば、軽量・コンパクトながら見やすいファインダーをウリにした「*ist D」シリーズのデジタル一眼で知られるが、フィルムカメラの時代から「Limitedシリーズ」や「スターレンズ」など、こだわったレンズ造りでも定評があるメーカーだ。また、マルチコーティングレンズの先駆けである「smc」をいち早く導入した実績もある。

 最新のデジタル一眼用レンズの中で極めてユニークな存在なのが「ペンタックスDA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]」、180度の画角を持つ対角魚眼の世界から、歪曲を残した広角域まで、1本でカバーできるズームレンズだ。

 ペンタックスでは、フィルムカメラ時代に「F FISH-EYE 17-28mmF3.5-4.5」(現在は生産を終了している)を発売。対角魚眼の世界から、歪曲収差を残した28mm広角域まで、独特の描写を実現したレンズを発売していたが、ペンタックスのデジタル一眼では、APS-Cフォーマットでレンズ焦点距離が1.5倍相当となるため、APS-Cフォーマットに合わせた画角を実現した「DA」レンズとして登場したわけだ。


*ist DS2に取り付けた10-17mmフィッシュアイズーム。コンパクトな*ist Dシリーズにピッタリのコンパクトさだ。隣に並べた18-55の標準ズームとほとんどサイズ的には違いがない 180度という対角魚眼のため、レンズフードは固定式ながらかなり浅い。レンズキャップは金属製。フード外周にかぶせる「カブセ式」タイプだ

 レンズの外装は、他のDAシリーズレンズに準じたもの。ラバーで手がかりがよくデザインされたズームリングのパターンや、AF後マニュアルフォーカスができる「クイックシフトフォーカス」対応のピントリングなど、標準ズームのDA 18-55mm F3.5-5.6 ALと同じデザインだ。

 DAレンズを表す、レンズ基部のグリーンのラインや、レンズ上面の焦点距離表示、左側面の「DAレンズ」の銘板などは共通だが、ピントリングとズームリングの間に銀のラインがあり、ここに「DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]」の表記が書かれている。同社の645用レンズと同じ意匠で、高級感がある。

 フィルムカメラ時代のフィッシュアイズームと比べて大きく進化したのが接写性能だ。最短撮影距離が14cmとなり、被写体に大きく近づける。最短撮影距離の表記は「被写体と撮像素子の距離」だから、実際のレンズ先端と被写体の距離(ワーキングディスタンス)はかなり接近し、ほとんどレンズに触れてしまうのではないか、と不安になるほど。

 実際のワーキングディスタンスは最短2.5cmぐらいとのことだが、マクロ域では、カメラ自体を前後してピント合わせをすることもあり、花などの被写体がレンズに触れることもあり得る。対角魚眼でレンズが出っ張っており、レンズ保護フィルターが付けられないため、レンズの汚れが気になるところ。この問題に対しペンタックスでは、レンズ保護を目的とした「SP(Super Protect)コーティングを施し、レンズに汚れが付きにくくしている、という。

※作例のリンク先は撮影画像をコピーしたものです。


やはり対角魚眼、180度の画角は強烈だ。人間の目をはるかに超えたユニークな視覚を提供してくれる。距離が近いにもかかわらず、巨大な都庁が収まってしまった
10mm / F6.7 / 1/3000秒 / 絞り優先AE / 分割測光 / AWB / ISO200
このレンズの特長は「ズームができる」ことにある。他の対角魚眼は単焦点だから、被写体の大きさを調整するには、撮影位置を変えるしかない。このカットは13mm域で撮影。都庁の大きさを画面の半分くらいにしてみた
13mm / F6.7 / 1/2000秒 / 絞り優先AE / 分割測光 / AWB / ISO200
17mm域で撮影。焦点距離としては一般的な広角ではあるが、歪曲収差をわざと残す設計で、魚眼らしい雰囲気を残している。カメラのAE任せで撮影すると、ズームに伴い、建物の入る割合によって露出が変わってくるので、空を青くしたければ露出補正が必要となる
17mm / F6.7 / 1/750秒 / 絞り優先AE / 分割測光 / AWB / ISO200

フィルムカメラ時代のフィッシュアイズームと大きく異なるのが最短撮影距離だ。目一杯近づくことにより、花のマクロ撮影も可能。晴れた場所での撮影だとフードの影が気になるので、日陰の花を狙った。背景は結構ボケる
17mm / F6.7 / 1/180秒 / 絞り優先AE / 分割測光 / WB:曇天 / ISO400
対角魚眼でマクロ撮影は大変面白い感覚だ。ピント合わせはカメラを前後しながら行なった。思ったよりも被写界深度は浅い。背景が大きく写り込むので、作品造りには背景を考えた方がいいようだ
10mm / F6.7 / 1/125秒 / 絞り優先AE / 分割測光 / WB:曇天 / ISO400

 今回の撮影では、*istDS2と組み合わせて使用したが、カメラのファインダーが見やすいばかりでなく、操作もわかりやすく、快適に撮影できた。

 先日、ペンタックスとの共同開発を行っているトキナーからも「フィッシュアイズームを夏頃発売」というアナウンスがあったが、このレンズのユニークさをいち早く体験したいなら、「このレンズを使いたいためにペンタックスのカメラを買う」というのもアリだと思う。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/lens/index35_morewide.html

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ペンタックス、デジタル一眼専用魚眼ズーム「smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm」(2005/12/01)


( 木村 英夫 )
2006/04/04 01:23
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