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ケンコー「デジタル接写リングセット」

ニコンデジタルで「使える」接写リング

 レンズが交換できるデジタル一眼レフカメラで、マクロ撮影を行なうとするとマクロレンズを使えば等倍撮影までは可能となる。等倍、というのは「撮像素子面に写るサイズが、被写体そのものと全く同じ大きさ」ということで、プリント時にはより大きく見せることとなる。

 等倍よりも大きく撮りたい、となるとキヤノンやコニカミノルタの場合は、やや高価だが専用で売られている「拡大撮影専用レンズ」を使う方法がある。また、キヤノンには、レンズの後ろに取り付ける「接写リング」が用意されている。ニコンやペンタックスの場合はフィルムカメラ時代より使われてきた手法、「ベローズ」や「オート接写リング」などをカメラとレンズの間に入れて使う方法がある。ところが、ニコンの接写用品はCPU連動方式の露出計に対応していないので、D70sやD50、D100などのカメラでは露出計が動かなくなってしまう。

 サードパーティー製ながら、この問題を解決しているのが「ケンコーデジタル接写リング」である。ニコンマウント用は26,250円、キヤノン、コニカミノルタ、ペンタックス各マウント用は17,640円。

 12mm、20mm、36mmの3つのリングがセットとなっており、単体または組み合わせで7つの倍率で撮影できる。この接写リングには、AFカプラーや電子接点が装備されているので、露出計が作動するほか、絞りリングのないレンズでもカメラ側で絞り値の変更ができる。


トキナーの100mmマクロレンズを単体で使うと、撮像素子面から被写体までの距離は最短で30cm。これで等倍撮影となる マクロレンズとカメラボディーの間に、3つのリングを全て組み合わせて装着した。被写体から撮像素子面までは33.5cmと少し距離があいた位置でピントが合う。レンズ先端からのワーキングディスタンスは8cmほどだ

 接写リングを使ったときの撮影倍率だが、等倍マクロ単体で画面横長方向に23mmの範囲が写り込む(FinePix S2 Pro使用時)のに対し、36mm厚のリング単体使用で約16mm(約1.43倍)、リング3つを全てつなげると約12mm(約1.92倍)となる。カメラの内蔵露出計が使えることもあり、早速フィールドで使ってみた。


撮影したのは早朝の霜がついている野草。全体を写しているカットは撮影距離45cm、1:3倍での撮影 トキナーの100mmマクロを単体で使い、等倍で撮影してみた。一般的なマクロ撮影はこの程度までだ。絞り優先AEにて撮影、絞りF22、1秒。露出補正-1EV

36mmの接写リングを100mmマクロとカメラの間に装着し、拡大撮影を行なった。絞り優先AEにて撮影、絞りF22、1秒。露出補正-1EV 12mm、20mm、36mmの接写リングを全てつなげ、100mmマクロとカメラの間に装着し、最大の拡大撮影を行なった。絞り優先AEにて撮影、絞りF22、3秒。露出補正-1EV

 マクロレンズを使ったときよりもさらに大きく、となるとなかなか撮影が難しくなるが、デジタル一眼で簡単に拡大撮影が行なえる「デジタル接写リング」は大変便利だ。接写リングにAFのカップリングがついているものの、被写界深度がかなり浅くなることと、レンズとカメラの間に距離があいて光量が落ちることから、AFはほとんど使えない。

 ピントリングでのピント合わせも難しいので、使用時には三脚の上に「フォーカシングレール」などの微動装置を付け、カメラと被写体の間の距離を調整する方が実用的だ。今回の撮影では、カメラを真下に向けての撮影だったため、三脚のエレベーターで撮影距離を調整した。

 マクロレンズのみならず、手持ちのレンズの後ろに付けるだけで、より接写撮影ができるようになるため、マクロ撮影にチャレンジしたい人には大変便利な撮影用品だ。



URL
  ケンコー
  http://www.kenko-tokina.co.jp/


( 木村 英夫 )
2005/12/15 00:00
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