季節の風景撮影テクニック

夏編(その1):涼しさを満喫!「滝」の撮り方3選

「超広角レンズでダイナミックな姿を狙う」など

この夏、涼を求めて渓流や滝を訪れる方も多いのではないでしょうか。このページでは風景写真家の萩原俊哉さんによる、“夏”らしい滝の撮り方を解説します。レンズのセレクトやカメラのセッティングを見ていきましょう。(編集部)

ダイナミックに流れる滝を優雅に撮る

超広角レンズで手前の水流に近寄る
ニコンD800E/AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED/14mm/絞り優先オート(F11、1/8秒、+0.3EV)/ISO50/WB:晴天

STEP1:前景となるカッコ良い流れを探す

STEP2:超広角レンズでグッと前景に近づく

STEP3:1/8秒のスローシャッターを選ぶ

ふつうに撮ると凡庸に見えてしまう滝も、発見とほんのわずかな工夫でダイナミックに、そして優雅に表現することができます。

例えば、手前に滝から流れ出した水流を入れること。まずは、(1)カッコ良い流れを探してみましょう。ほどよく手前に見つけることができたら、(2)グッと低い位置にカメラを構えます。浅い流れなら思い切って水の中に入ってみるのも良いでしょう。

そして(3)1/8秒以下のスローシャッターを選んで完成です。必要に応じてNDフィルターで減光しましょう。

美しい光芒でアクセントをつける

滝の光芒は川面に光が当たるところで見つかる
ニコンD800E/AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/29mm/マニュアル(F11、1秒、±0EV)/ISO100/WB:晴天

STEP1:光が差し込んだら足で探す

STEP2:暗い岩を背景に選ぶ

STEP3:アクティブD-ライティング

光芒が差し込む滝はだれもが憧れるシーンです。そのような光芒の滝を撮るためには、(1)光芒を足で探すことが重要です。滝に光が差し込んできたら川面に光が当たる場所に行きましょう。

(2)光芒は暗い背景に映えます。周囲の岩肌をうまく利用できる位置を選ぶと良いでしょう。また、明暗差がかなり大きいことが多いので、(3)アクティブD-ライティング「より強め」を選択し、多少の白飛びは許容した露出を選びます。

滝の激しい流れの一瞬をとらえる

望遠&高速シャッターで切り取れ
ニコンD810/AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II/130mm/マニュアル(F2.8、1/4,000秒、±0EV)/ISO4500/WB:晴天

STEP1:1/1,000秒以上の高速シャッター

STEP2:ISO感度を上げる

STEP3:気に入る形になるまでレリーズ

水流をぶらすばかりが滝の表現ではありません。ピタリと静止させることで躍動感あふれる作品に仕上げることができます。まずはシャッター速度の設定から。最低でも(1)1/1,000秒以上は確保しましょう。

その際、シャッター速度が速くならないなら(2)ISO感度を上げます。最近のカメラの高ISO感度はとてもクオリティが高いので、躊躇なく上げてかまいません。あとはひたすら良い飛沫が得られるまでレリーズし続けましょう。

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この記事は、7月10日発売の書籍「世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 四季の風景編」(インプレス刊)から抜粋しています。

四季ならではの被写体別撮影テクニックの他、風景撮影の基本、レンズワーク、光と時間の読み方、撮影地ガイドなども収録しました。

著:萩原俊哉、イラスト:ゆきぴゅー、監修:ニコンカレッジ。144ページ、DVD付き(60分)。税別2,000円

萩原俊哉

(はぎはらとしや)1964年山梨県甲府市生まれ。浅間山北麓の広大な風景に魅せられ、2008年に本格的に嬬恋村に移住。カメラグランプリ選考委員 ニコンカレッジ講師 日本風景写真家協会(JSPA)会員
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