特別企画

【年末特別企画】2012年「私はこれを買いました!」

 2012年を締めくくるにあたり、本誌へ主に「新製品レビュー」「交換レンズ実写ギャラリー」をご寄稿いただいている皆さんおよび弊誌編集者に、今年新品で購入した思い入れのあるデジタルカメラについて語ってもらいました。(50音順、敬称略)

防塵防滴性能がアウトドア撮影の味方に

OLYMPUS OM-D E-M5/礒村浩一

 2012年はミラーレスカメラ躍進の年だ。つぎつぎと各社からミラーレス機が登場し、ついにはカメラ界の巨人 キヤノンからもミラーレス機が登場した。これにより各メーカーの群雄割拠が始まった年でもある。

 いずれのモデルも魅力多いカメラとなっているが、そのなかでもオリンパスから発売された「OLYMPUS OM-D E-M5」はとても多くのカメラファンの心をつかんだ機体である。かくいうわたしもCP+2012の会場においてE-M5をはじめて手にしたときから、ファインダーを覗いた感覚の自然さに心奪われてしまい、発売と同時に購入することとなった。

 E-M5を受け取ったのは撮影に出かけていた、まだ雪深い北海道。このときの様子はこちらにてレポートしているが、宅急便で届いたばかりにも関わらず、さっそく雪に埋もれることとなったE-M5の姿は、読者および周囲の知人からも非常に多くの反響を得ることとなった。その後もE-M5の防塵防滴性能をいいことに、雨の中でのずぶ濡れ撮影など容赦ない状況においてガンガン使用している。

 E-M5を常用しているのはもちろん高い防塵防滴性のおかげだけではない。それまでは不利とされていたマイクロフォーサーズの画質と高感度特性が飛躍的に向上しているからだ。フォーサーズ規格第1号機であったオリンパスE-1から使用している筆者としては驚くべき進化といえる。ISO1600〜6400といった高感度撮影でも常用感度として十分な画質なので、普段のスナップ撮影においてはISOオートにセットして細かいことを気にすることもなく撮影することができる。先日発売されたボディキャップレンズ「BCL-1580」との組み合わせならば、AFタイムタグのないパンフォーカス撮影も気軽にできるのでスナップ撮影カメラとしても最適だ。

 今後の予定としては、E-M5で年明け早々に訪れる北海道にて本格的な作品撮影を行なうことにしている。フォーサーズアダプター「MMF-3」を介することでフォーサーズレンズも防塵防滴性を活かしたまま運用可能なので、画質の点でも制約はなく安心して撮影できるだろう。来年もまだまだこいつで遊べそうだ。

いそむらこういち:写真家。2012年もいろいろなカメラでたくさんの撮影を行なった。次々と発売されるカメラはますます高画質となっていくが、それでも写真は、被写体とどれだけ心通じ合えるかが大切なんだとあらためて知らされた1年となった。写真ってやっぱり奥深いなぁ。

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中判デジタルカメラ並の解像感に驚いた

ニコンD800E/上田晃司

 今年は魅力的なカメラが数多く発売され、物欲が止まらないという読者の方もいるだろう。筆者もその1人だ。その中でも注目度の高いカメラといえばやはり、ニコン「D800」と「D800E」だろう。デジタル一眼レフの機動力で有効3,630万画素という中判デジタルカメラ並の画素数はやはり魅力的だ。

 特にD800Eはローパスフィルターの働きを無くしたモデルとのことで、買うならばD800ではなくD800Eと決めていた。ノー天気に予約もしなかったら、発売後にカメラ屋に行っても実機も在庫も無く触ることさえできなかった。Webショップも色々と探したが結局手に入れられず予約することにした。だが、数カ月待っても手には入らなかった。

 ところが、ふらりと立ち寄ったカメラ屋でD800の在庫を発見。本当はD800Eが欲しかったが、今まで我慢していた物欲が爆発してしまい、衝動的に買ってしまった。それから、D800は台風の香港、大雨の屋久島、気温50度の砂漠などで酷使されたが壊れることなく、思い通りのすばらしい写真を撮影することができた。

 それから、8月の末ごろにD800Eを予約したカメラ屋から電話があり、気に入っていたがD800は下取りに出して念願のD800Eにすることができた。D800Eでプラハやドバイの風景を撮影したが中判デジタルカメラ並の圧倒的な解像感に驚かされた。中判デジタルカメラ並の画質にも関わらず、機動力はデジタル一眼レフなので仕事でも作品撮りでも非常に重宝した。光がある程度コントロールできれば、手持ちでも楽々撮影できるのは非常に助かる。

 ただ、マニュアル撮影時にライブビューを使うと露出シミュレーションが随時ONになってしまうため、大型ストロボを使う際にライブビュー画面が真っ暗になってしまうので、非常に使いにくい。ファームウェアアップデートなどで露出シミュレーションOFFなどができるようになればパーフェクトなのだが……。とはいえ、価格、画質、使用感など筆者にとって満足いくカメラなので来年もこのカメラを持って様々な国を撮影したいと思う。

うえだこうじ:フォトグラファーでライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。今年も運良く中東を始め、ヨーロッパ、アメリカ、ハワイ、中国、香港など様々な場所に行くことができた。残念ながら航空会社はバラバラだったので今年もANAプラチナメンバー資格は得られず……来年こそは5万ポイント以上を目標にしたい。

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これで撮れないものはないと思えるカメラ

キヤノンEOS 5D Mark III/大浦タケシ

 怒濤の新製品ラッシュとなった2012年。筆者個人も必要に迫られいくつかカメラを購入せざるを得なくなった。特に痛かったのは、キヤノンとニコンのフルサイズモデルがほぼ同時期にリリースされたこと。“豊かさ”とか“裕福”といった言葉と縁のない我が家の家計に大打撃を与えるものであった。今年の“コレ買い”は、そのなかから「マークIII」ことキヤノン「EOS 5D Mark III」に対する筆者の思い入れを書き留めたい。

 マークIIIは、自分にとってキヤノンフルサイズモデルとしては2台目となるカメラだ。1台目はベストセラーモデルとなった「EOS 5D Mark II」である。このカメラは卒のないつくりで扱いやすいものであったが、それゆえ物足りなさを感じる部分が少なからず見受けられた。マークIIIは、そのようなEOS 5D Mark IIの“こうなって欲しい”の多くに応えたカメラだと思っている。

 不満だったAFは、上位モデル「EOS-1D X」に準じる61点高密度レティクルAFが搭載されたし、ピント精度も向上。コマ速も6コマ/秒と格段にキレがよくなった。何より視野率100%を達成した透過液晶タイプのファインダーは、見え具合、使い勝手とも上々だ。さらに、3.2型の液晶モニターやCFとSDメモリーカードのデュアルスロットの搭載などもありがたく感じる。個人的には期待以上の仕上がりで、これで撮れないものはないと思えてしまうほどだ。

 マークIIIを使っていると、「D800/D800Eの画素数が気になりませんか?」と訊かれることがよくある。しかし、決して痩せ我慢というわけではなく、今の画素数にまったく不満がない。それよりも階調再現性や高感度特性を優先させた現実的な路線に諸手を挙げて歓迎したい、いやキヤノンの開発者にキスしたいほどだ(冗談だけど)。

 唯一不満らしい不満なのが、アイピースシャッターが搭載されていないこと。アイピースを塞ぐカバーが付属するけれど、アイカップをいちいち外さなければならず、夜景撮影のときなどアイピースを指で塞いでシャッターを切っている。高級機の証しともえるアイピースシャッターは、ぜひ“マークIV”では実現してほしい。

 個人的な嗜好として、変態度の高いミラーレンズをいくつか所有する。その多くがTマウントを採用するため、基本的に装着できるカメラを選ばないのだが、一部のレンズはストロボを内蔵したデジタル一眼レフに取り付けることができない。ペンタ部が前方に飛び出しているため、それが鏡筒と干渉してしまうためだが、ストロボを内蔵していないマークIIIは、ペンタ部の出っ張りがなく、ミラーレンズの撮影でも持ち出すことは多い。そんなこともあって、今やEOS 5D Mark IIIは筆者一番の相棒カメラになっている。

おおうらたけし:先頃までの円高に乗じて、中古のMFレンズをネット経由で海外から購入している。その多くは、1970年代から80年代に日本でつくられ、ブランドとしては国内で馴染みの少ないものだ。彼らの異郷の地で過ごした数十年の歳月に思いを馳せながら、夜な夜な一杯やるのが楽しい今日この頃。

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まさしく驚愕。見たことがないほどの描写

ライカMモノクローム/河田一規

 今年購入したレンズ交換式カメラはニコン「D800E」、ライカ「Mモノクローム」、「OLYMPUS OM-D E-M5」の3つ。いずれも「本当に買ってよかったなぁ」と思える機種ばかりで、購入以降、それぞれが用途に応じて活躍してくれている。

 この3台の中でもっとも購入に躊躇したのは実はMモノクロームだ。D800EとE-M5については仕事的な撮影にぜひ使いたいという、もっともらしい理由があったので買うのに迷いはなかったけど、Mモノクロームに関してはモノクロ専用機ということもあり、買うなら完全に趣味カメラとしての購入となる。すでに「M8」や「M9」も持っているし、価格的なことを含め、踏み込むにはちょっと勇気が必要だ。

 さて、どうするかと考えていたときに、幸運にもある雑誌でMモノクロームの実写記事を書く仕事を頂いた。時はまだ発売の数カ月前。これは完全に役得であり、喜び勇んで実写に臨んだのは言うまでもない。

 というわけで、無事に借り物Mモノクロームでの撮影が終わり、そのデータをウチのMacのモニターに出した瞬間……! まさしく「驚愕」である。これほどキレのいいデジタル画像は今まで見たことがないと思えるほどの素晴らしい描写がそこにあった。単に解像力がいいという話ではなく、画像の質そのものが他とは異なるのだ。この写りを見てしまったらもはや迷いはなく、即刻予約を入れ、10月2日に無事にMモノクロームを購入することができた。

 購入後は私的写真はほとんどコレばっかりという感じで愛用している。もともと工業製品はシンプルな方が好きなので、機能的にも見た目的にもシンプルな極みと思えるMモノクロームの存在感は個人的に最高に好ましい。決して多機能を否定するわけでは無いけれど、すべてのカメラが多機能を目指す必要は絶対にないし、こういうシンプルなカメラも少しは必要でしょう。

 実は、借りたMモノクロームで驚愕した描写性能を再現するためには、Mモノクロームだけでは達成率約70%くらい。のこりの30%を満たすためには新しい「APOズミクロンM 50mm F2 ASPH.」も手に入れる必要があるのだけど、このレンズがまた高価でそう簡単には……という感じ。こちらもいつかは入手したいので、来年も頑張って働こうというモチベーションが沸いてくるわけだが、そういう気にさせてくれるカメラやレンズって、実は貴重ではないだろうか。と、ブツ欲まみれのワタシは思うのだ。

かわだかずのり:カメラマン/ライター。昨年から再熱した自転車熱は今年も続き、自転車を利用した撮影行も一段と増えました。9月にはFATバイクも導入したんですけど、これがまた楽しすぎて、乗ると自然に笑いが止まらないという「走る不審者」状態な今日この頃です。

新製品レビュー


軽くて楽ちんなフルサイズカメラ

ニコンD600/北村智史

 ウワサの段階から手ぐすね引いて待っていたニコン「D600」。筆者にとっては2台目のフルサイズ機だが、いちばんのお気に入りポイントは軽くて楽ちんなところである。一眼レフの中ではそれなりに大きくて重い部類に入るものの、フルサイズ(FXフォーマット)機としては素晴らしく軽い。長らく使いつづけてきた同じニコンの「D700」よりも、ボディ単体で235gも軽いのだ。持ち出すのに気合いが必要だったD700に比べたら、スキップしたくなるぐらいである。

 カメラの格としてはD700よりも下だけに、機能はスペックの面では見劣りする部分ももちろんある。測距点のカバーエリアが狭いとか、再生時にOKボタンで拡大表示できないとか、数えはじめたらキリはない。が、そういういろいろに目をつぶりまくってでも、この軽快さという強みを手に入れたかったから、グレードダウンという道を選んだわけだ。

 その一方、ファインダーの視野率が約100%になっていたり(D700は約95%だった)、ライブビュー映像に露出補正が反映されたりなど、よくなっているところもあるし、微速度撮影などの試してみたい機能もある。

 ただ、画素数が倍増しているだけに、レンズへの要求レベルが高くなっていて、買い増しやらリプレースやらを考えなくてはいけなくなった。とはいえ、画質重視でF2.8固定のズームというのは体力的にも経済的にも無理がある。ようやく出そろったF4固定のもそれなりにゴージャスなプライスなので、気軽に手は出せない。というのもあって、お手ごろサイズの単焦点レンズだけのシステムを画策中である。

 で、手はじめに、シグマの「24mm F1.8 EX DG ASPHERICAL MACRO」と「APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM」を手に入れた。24mmは設計は古めだが、ちょっと絞ればかなりいける。150mmはひとつ前モデルを愛用していたのをリプレースである(ほかにもまだ何本か欲しいのがあるのだが、先立つもののからみもあるからねぇ)。そのあたりも長期レポートで紹介していきたいと考えているところである。

きたむらさとし:来年こそは、ともの思う年の瀬なのは今年も同じ。ようは相変わらずの貧乏暮らしでありますが、雪と寒さに少しは慣れたので、頑張ってあちこち撮り歩きたいなぁと考えております。

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スマホに負けない機動性の高画質コンパクト

ソニー サイバーショットDSC-RX100/小山安博

 今年もデジカメ市場にはたくさんの製品が登場したが、コンパクトデジカメへのスマートフォンの影響がより強くなった。手軽に撮影できるというだけでなく、TwitterなどSNSとの親和性の高さがポイントだろう。

 その中で、今後の1つの方向性として「高級コンパクト」が興味深い。これまでも高級コンパクトのジャンルに当てはまるコンパクトデジカメはあったが、ソニーの「サイバーショットDSC-RX100」の登場は大きい。すぐには購入しなかったが、買ってみて、「すぐに買えば良かった」と後悔したものだ。

 やはりセンサーサイズが1型と大きく、コンパクトデジカメらしくフルオート(というよりプレミアムオート)で撮ってよし、難しいシーンでマニュアル撮影してもよし、という万能選手なのに、普通のコンパクトデジカメサイズというのがいい。「OLYMPUS OM-D E-M5」のサブカメラとして使ってもいいし、単体で持ち出しても写りがいいので、とりあえずこれを持っていけばいい、という感覚がある。

 スマートフォンのカメラの性能向上は著しいが、個人的にはスマートフォンカメラを使うよりは、普通のカメラを取り出す方が趣味に合っている。その意味では、より高画質で、すぐに取り出せて撮影できるDSC-RX100は、まさに最適なカメラと言える。ズーム倍率がもっと欲しいとか、いろいろ細かい注文はあるが、持っていて良かったと思えるカメラだ。

 ちなみに、普段DSC-RX100には東芝の「FlashAir」カードを挿入し、撮影画像をスマートフォンに転送してSNSに投稿する、という使い方をしている。リサイズされたり、フィルタをかけたりするのでDSC-RX100である必要はあまりないのだが、やはり撮りやすいDSC-RX100で撮った写真の方が投稿したくなるものだ。

こやまやすひろ:フリーランスライター。今年はカメラやスマートフォンに加えて、タブレットやWindows 8など、買うものが多くて青息吐息。といっても例年通りと言えば例年通り。

新製品レビュー


オールドレンズで使いたいローパスレスカメラ

FUJIFILM X-Pro1/澤村徹

 「FUJIFILM X-Pro1」が発表されたとき、これほどオールドレンズのベースボディに向いたカメラがあるだろうかと息を呑んだ。往年のレンジファインダー機を彷彿とさせるデザインは、オールドレンズと相性抜群だ。特にオールドライカレンズを付けた姿は、心の中でガッツポーズしたくなるくらい官能的である。

 むろん、撮影面でも様々なメリットがある。まず、ローパスフィルターレスなので、繊細派のオールドレンズで撮るとディテールの描き方が実に緻密だ。線の細いシャープネスをていねいに再現してくれる。APS-C搭載ミラーレス機は周辺の色かぶりが気になるところだが、X-Pro1に関してはテレセントリック性を考慮していないオールドレンズでも、色かぶりはさほど目立たない。厳密には周辺がわずかに青かぶりするが、背景が青空なら何ら支障なく、白い壁を撮った場合も青がかぶるぶんには嫌みのない絵に仕上がる。

 ただし、画質についてはひとつ弱点がある。それは画面周辺の流れだ。フランジバックの短い広角オールドレンズを付けると、周辺部が流れてしまう。絞り込んでも改善しないため、これは明らかに弱点だ。ショートフランジの広角レンズをメインに使いたい人には、残念ながらお薦めしづらい。

 FUJIFILM Xシリーズは操作体系が独特で、使い慣れるまでに時間を要する機種だ。しかし、オールドレンズのMF撮影に関しては思いのほか使いやすい。コマンドダイヤルを押し込むだけで拡大表示を呼び出すことができ、そのまま左右にダイヤルをまわすと3倍/10倍の切り替えが可能だ。また、シャッター半押しで通常表示に復帰でき、拡大表示を使ったMF撮影は一連の動作が実にスムーズである。

 X-Pro1といえばハイブリッドマルチビューファインダーが特徴だが、オールドレンズ使用時はもっぱらEVFか液晶ライブビューで、OVFを使うことはない。本機最大の目玉機能を活用しないのは、やはりもったいないという気持ちになる。幸い、現在はハイブリッドマルチビューファインダーを省略したX-E1が発売されているので、こちらを選択する手もあるだろう。

さわむらてつ:Kindleでデジタル赤外線写真集「BLACK MORNING」を自主出版してみた。半日程度で作れるという話だったが、案の定、デジタルスキルがないとハードルは高い。三日寝ずにがんばってみた。

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3,630万画素は多すぎだと思ったが……

ニコンD800/藤井智弘

 ニコン「D7000」を買って「次はD700の後継機かな」と言った昨年。仕事上はDXフォーマットでもほぼ問題ないが、やはりFXフォーマットの機種も使ってみたい。そのためにレンズも「AF-S NIKKOR 24-120mm F4 G ED VR」も購入したほどだ。

 それからしばらくして姿を現した「D800」。名前こそ後継機のようだが、D700とは全く異なるカメラとして登場した。特に驚いたのが画素数だ。中判デジタルカメラに迫る3,630万画素は、正直多すぎると思った。普段はそこまで必要な仕事はないため、購入するべきか悩んだ。

 しかしD800のデモ機を触ったり、大きくプリントされたサンプル写真を眺めていると、あることを思った。それは35mm一眼レフタイプの機動力を持ちながら、中判デジタル並みの画質が得られる唯一のカメラであるということ。これまでのデジタル一眼レフでは得られない、新たな作品の可能性を感じ、D800を買うことに決めた。

 次の決断は、D800にするか、D800Eにするかだ。これは迷わずノーマルのD800にした。サンプルを見ていて、D800で十分だと思ったからだ。たしかにD800Eの解像力は高いが、ピント、ブレ、レンズ性能がよりシビアになる。街を歩きながら撮影するのに、そこまでシビアだと使いにくいと感じた。D800の方が価格が安く、発売日も早いのも後押しして予約。運よく、発売から約1週間後に手にできた。

 3,630万画素の画質は想像以上に高く、これまでのデジタル一眼レフとは異なる表現ができるものの、データサイズの大きさも驚いた。これまで使ってきたパソコンでは、RAW現像に時間がかかって大変。結局パソコンも買い替えることになった。これはもう仕方がない。ただこれだけ画素数が多いと、DXフォーマットにクロップしても1,500万画素あって実用的。FXフォーマット機だけでなくDXフォーマット機としても使えるのは新たな発見だった。

 FXフォーマット用のレンズも、「AF-S NIKKOR 85mm F1.8 G」や「AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」などを購入し、仕事と作品撮りの両方で活躍中。今年はD800を持って、ドイツやベルギー、シンガポールを旅した。はじめは画素数が多すぎかと思ったが、実際手にすると想像以上に使いやすく、満足度がとても高い買い物であった。

ふじいともひろ:写真家。今年はD800以外にライカ「V-LUX40」を購入。それまで2世代前のV-LUX20だったので、改めてコンパクトデジタルカメラの進化を実感した。また来年こそはずっと行きたいと思っていたスペインを決断するか検討中。

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描写力に特化したスポーツカー

シグマDP1 Merrill/桃井一至

 世界最小、最軽量などをうたい文句にする製品は多いが、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」と言うにふさわしい製品がコレ。たとえるなら小型レーシングカーと言ったところだろうか。

 今さら説明するまでもなく、唯一無二のFoveon X3ダイレクトイメージセンサーは有効約4,600万画素のAPS-Cサイズ。三層構造センサーの濃厚な色やリアルな精細描写は別格。高解像をウリにしたフルサイズ機に高級レンズを組み合わせたか、もしくはそれ以上のフォーマットかと見紛うほどだ。

 ただ電池は見る見る減っていくし、書き込みの時間もそれなりにかかり、操作も多少クセがあって至極便利な一般的なカメラとはずいぶん違う。暗いシーンや高感度も先代と比べるとずいぶん改善されたが、得意というには遠い。

 冒頭でレーシングカーに例えたのは、1つのこと(描写)に特化するあまり、トレードオフになる部分も多いから。またそれが荒馬を乗りこなすカウボーイのごとく楽しくもあり、その暴れっぷりが愛おしくなってくるのが不思議な製品だ。体に悪いと知りながら、味を占めたらやめられない麻薬的な魅力と言ってもいいかもしれない。※個人の感想であり、商品の効能を確約するものではありません(笑)

 目下の悩みは充電とストラップ。電池は標準で2本同梱されてくるが充電器は1本用。充電自体は2時間ほどで終わるが、当然、満充電後にはもう1本と入れ替えねばならず、旅先では時間を見ながら夜な夜な交換を余儀なくされることになる。よって、購入を検討中の旅好きには3本以上の携行をおすすめする。

 またストラップは同梱で細身のものがついているが、本機はバッグから取り出して使うことが多く、絡みにくいワンハンドタイプ(エツミ製)を愛用。ドレスアップ派でないのでシンプルさに惹かれたが、店頭で確認しないのがいけないが、手首の太い私には微妙にきつく、目下、代替候補を検討中。

ももいかずし:写真家。来年はCP+が約1カ月前倒しで、なにかと忙しない年末。1月17日からは大阪で開催の写真展に参加しています。

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画素数の不満が一気に解消

ニコンD800/吉森信哉

 自分がメインで使っている撮影機材は、キヤノンとニコンのデジタル一眼レフだが、35mmフルサイズ機を持っているのはキヤノンだけである。……でも、ニコン関連の仕事をすることも多いので、「そろそろニコンのフルサイズ機も」と思い始めた頃、この「D800」が登場した。

 それまでのニコンのフルサイズ機は、キヤノンよりも画素数が控えめだった(「D3X」以外は)。従来モデルの「D700」などは、そこが購入のモチベーションが上がらない要因のひとつであった。だが、D800の登場でその不満は一気に解消! というか、一気に3倍の「有効画素数3,630万画素」って、やり過ぎだろう(笑)。ここまで高画素化されると、微細なブレやピンボケを懸念する声もある。だけど、それを克服して使いこなす事も、購入へのモチベーションになってくる。なにより、仕事の道具としての応用範囲が広いのが良い。

 問題は交換レンズである。キヤノンとニコン、どちらもメイン機材だが、レンズラインナップはかなり違う。キヤノンはEOS-1DやEOS 5Dのシリーズを使ってきた関係で、フルサイズ対応のEFレンズが多い。それに対して、ニコンの方はAPS-Cサイズ専用のDXニッコールレンズが多い。フルサイズ対応なのは、MFタイプのAiニッコールが2本と、タムロンの「SP 180mm」(これもMFタイプ)だけ。

 フルサイズのEOSボディと数本のLレンズを下取りに出して、ようやく買うことができた「D800ボディ+AF-S NIKKOR 85mm F1.8 G」。しかも、それを決断して実行したのは、つい最近のこと。遅っ!(苦笑)。

 そんな自分には、フルサイズ対応のAF-Sニッコールレンズを一気に揃える余力はない。まあ、多くの仕事はAPS-CサイズのボディとDXレンズでこなせるし、ニコンのフルサイズ機は「撮像範囲」を切り換えることができるので、しばらくはDXレンズも活用しながら(APS-Cサイズでも1,500万画素以上だし)、少しづつフルサイズ対応のレンズを揃えていこうと考えている。

よしもりしんや:フォトグラファー。取材(撮影)時間よりも原稿執筆時間の方が長い生活が続いている。その原稿執筆の合間に、ニコンレンズのシステム構築を考えつつ、年末年始の“小さな旅”プランを作成中。

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大型素子に背を向けて

Nikon 1 V2/本誌:鈴木誠

 いわゆるミラーレスと呼ばれる中でも、一眼レフカメラのようなレスポンスやスピードを味わえるのがNikon 1だろう。エントリー層向けのアプローチも行なわれているが、実際に使ってみると一眼レフユーザー向きのポテンシャルを秘めていることがわかる。

 例えば明るいシーンにおける位相差AFの快適さ、フル画素RAW+JPEGで15コマ/秒の連写といったスピード性能は、カメラに慣れたユーザーこそ感心できるポイント。一方で、静止画のレリーズ前後をスロー動画で演出する「モーションスナップショット」、最高1,200fpsのハイスピード動画といったデジタル甲斐のある提案も忘れていない。

 私見だが、Nikon 1は既存一眼レフカメラとの棲み分けを考えるとミラーレス随一のバランス感覚だと思う。画質面の余裕やレンズ・ストロボ機材の資産において同社DX・FXフォーマットの優位性は揺るがないものの、この身軽なシステムの存在でシアワセになれるユーザーは決して少なくないだろう。

 本機のルックスも私のお気に入りポイントだ。レンズとボディの釣り合いがとれたサイズ感は、往年の一眼レフカメラをミニチュア化したようでもあり可愛らしい。マスキングテープで見た目をカスタマイズするなど、日々撮影以外でも楽しんでいる。

すずきまこと:本誌編集記者。初フォトキナ取材のドイツで誕生日を迎えました。Nikon 1 V2は弊社ゆるこいぶろぐでも活躍。その他の買い物は、「PENTAX Optio WG-2」(黒)、「EF 70-200mm F4 L IS USM」、フォクトレンダー「SWH 15mm F4.5 II」、GR DIGITAL IV用のワイコン、カメラバッグ2つ、ストラップ4本など。

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私の愛馬はじゃじゃ馬です

SIGMA SD1 Merrill/本誌:折本幸治

 ここ数年ミラーレス機にしか投資してなかった自分として、久しぶりに購入した一眼レフカメラ、それがSD1 Merrillです。そしてご多分にもれず、入手してすぐ後悔しました(笑)。

 不満点を挙げると……ライブビューがないのにファインダーはいまいち、ファイルサイズが大きくて書き込みが遅い、AEは信じられなくて露出補正が必須、AFは遅いし精度も信じられない、APS-C機なのにボディが大きい、しかもいまどき角張っている……と、見事なまでにネガティブ要素のオンパレードです。

 特に書き込み速度の遅さは驚異的で、撮影画像のポストビューが出るまで約4秒、さらに拡大してピントを確認できるようになるまで約10秒という世界(レキサーの1,000倍速CFを使った結果)。

 撮影画像についても辛い思いをしています。というのも、とにかくブレが目立つ上に、意外とダイナミックレンジが狭い。一般的なカメラと同じような気分で撮影すると、その日の写真の全てが見るに絶えないほどブレていた、という経験もあります。おかげで三脚選びからやり直しました。ISO400でも撮るのをためらってしまうほど、高感度に弱いのもマイナスでしょう。

 ただし、良くいわれる「当たったときはすごい」というのは本当です。現実世界を薄く削いで作ったかのような輪郭描写、クリアなのに階調に富む色彩再現、RAW現像時に浮かび上がる重厚なハイライトなど、一線を画する表現が得られたときには「やっぱり使い続けるか」という気持ちになるから不思議。“当たる”シチュエーションを逃さないよう緊張感を持って風景に対峙する感覚も、久しく忘れていたものでした。

 そうなるとボディにも愛着がわき、不便さが逆に愛おしくなることも。求めることをやめ、フィルム一眼レフカメラを使っているようなミニマルな感覚でカメラに接する。「こういうシステムが手元にあるのも、いいものだな」と、自分をだませるようにまでなりました(笑)。

 SD1 Merrillを取り巻くもうひとつの明るい話題は、このところのシグマレンズの出来の良さでしょう。来年は新しい「17-70mm DC」が出ると思われますので、それを軸に楽しんでみようかと思います。

おりもとこうじ:本誌編集長。2012年に達成した偉業。それは1月から12月まで、1カ月に1度欠かさず海外旅行をしたこと。出かけることに理由などありません。強いて挙げれば、安い航空券をWebで見つけて予約せずにいられなかったから。LCC恐ろしい。

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