PROGRESSIVE PRO LENS − 写真家がプロレンズを選ぶ理由

イメージ力を大切にしながら、季節ごとの美しさを追いかける……富士山写真家・橋向真さんインタビュー

新道峠にてカメラをセットしスタンバイしていると、下界には街明かりが灯り、月明かりで富士山と真っ赤なツツジが浮かび上がった。広角側でツツジを取り込みつつ富士山を撮影した。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 18mm(36mm相当) / マニュアル露出(F10、60秒) / ISO 800

1本のレンズの力を信じて、今日も撮影に勤しむ写真家たち。レンズがもたらす作品への影響力。プロだからこそわかるそれは、一体どんなものなのか。

若手写真家へのインタビューを通して、写真との出会いや向き合い方、そしてレンズに対する印象などを聞くのがこの連載「PROGRESSIVE PRO LENS」だ。

第2回目に登場する写真家は、東京カメラ部10選2016にも選ばれた橋向真さん。独特の感性で富士山を撮り続ける橋向さんに、焦点距離全域F4のプロ向け高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の実力は、どう映ったのだろうか。(編集部)

橋向真
1977年生まれ。地元である静岡を拠点に富士山写真家として活動しており、雑誌、書籍、企業広告、カレンダーなどに幅広く作品を提供している。東京カメラ部10選2016。

橋向さんの使用レンズ
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

現在、どのような写真の仕事をされていますか。

主に雑誌の寄稿やカレンダー、デジタルプリント壁紙の写真提供をしています。

写真の仕事をされるようになったきっかけは?

SNSで富士山写真家として多少知られるようになり、電子書籍で富士山写真集を出版してみないか? と、お声掛けいただいたのがきっかけですね。

それを機に同じ年に企業カレンダーと販売カレンダーのお話もいただきました。不思議な流れが生まれたように思います。

昼の田貫湖より釣り人と夏の富士山を絡めた風景を撮影した。人物を点景として取り込んだ物語性の高い写真においても、焦点距離を幅広く選べるので構図を作りやすい。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 28mm(56mm相当) / マニュアル露出(F14、1/200秒) / ISO 800

影響を受けた写真家、写真集、メディアは?

富士山写真家のパイオニア、大山行男さんですね。富士山撮影を始めてしばらくしてから知りました。影響という意味では、今の方がより強く感じるものがあります。

影響を受けたという意味では、やはりSNSというツールが一番大きかったと思います。

天気図を見て朝焼けを予感しながらスタンバイ。燃えるような朝焼けが画面いっぱいに広がった。広角端の12mmで朝焼けの空と富士山、映り込みを1枚で広く捉えた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F18、1/4秒) / ISO 200

被写体としての富士山の魅力とは?

春夏秋冬で変化する富士山の美しさ、そして自然が生み出すドラマチックな光景。富士山がまるで生き物かの如く変幻自在に動く雲の表情。自然の神秘。

また、同じ富士山を追う仲間との出会いもありますね。

富士山と港と夜景が写せる有名なスポット。かすみの中に浮かぶ富士山が美しいと感じ、シャッターを切った。標準域で眼下の街並みを取り込むような構図を作った。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 29mm(58mm相当) / マニュアル露出(F7.1、25秒) / ISO 200

風景写真で大切だと思うことは?

イメージ力です。撮影する前、あらかじめどんな展開になるのかを予測したり、頭の中で常にどんなシーンを撮影したいのかを思い描くことが大切かなと。

もちろん現場でイメージを膨らますのも大事だと思いますが、こちらのイメージを遥かに超えてくるのが自然の素晴らしさだったりもします。

望遠側の100mmを手持ちで撮影した。F11に絞り、ISO 200で撮影したが、写し出された富士山の画像はとても鮮明でシャープだ。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 100mm(200mm相当) / マニュアル露出(F11、1/250秒) / ISO 200

撮影ポイントはどのよう探していますか?

富士山撮影で知り合った仲間達や、撮影ポイントの本を買ったり、あとはネットで調べたりしていますね。その他にも自分でロケハンしてみたり、移動中に気になった場所をスマートフォンで撮影して残したりしています。

夜の新道峠より。月明かりに浮かぶ富士山の姿は、肉眼でも美しいと感じる。雨上がりの雲海を期待して待機していると、何やら様々な雲が現れ始め、夜の景色を華やかにしてくれた。富士山の頭上に現れた雲のおかけで、印象的な1枚に仕上がった。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 14mm(28mm相当) / マニュアル露出(F11、60秒) / ISO 400

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとの相性は?

自然を撮影していると、台風前後の激しい雲の動きや、朝夕の光の変化、雲海の流れなど、シチュエーションによって刻々と変化します。すると、レンズ交換の時間すら惜しい瞬間があります。

そんな時に広角から望遠までズーム操作で変えられるこのレンズは、富士山撮影においても素晴らしい対応力があると感じています。

今後取り組みたいシリーズやテーマは?

テーマは一貫して富士山なのですが、富士山には絶対的に欠かせない「雲」の表情をクローズアップした撮影をより一層心掛けたいと思います。

また、静と動を表現する上で、富士山撮影にとても相性の良いタイムラプス動画の撮影にもさらに力を入れたいです。

富士山と雲海を撮影していると、どうしても富士山を中心に捉えてしまいがちだが、その脇役でもあり、富士山に華やかさを与えてくれる雲海にクローズアップして見ると、陽の光が入った雲海の不思議でなんとも美しい表情に目がいってしまった。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 50mm(100mm相当) / マニュアル露出(F13、1/500秒) / ISO 400

デジタルカメラマガジン8月号にも橋向真さんが登場!

発売中のデジタルカメラマガジン2017年8月号でも、連動企画「PROGRESSIVE PRO LENS」が掲載。橋向さんによる高倍率ズームレンズを生かしたテクニックが紹介されています。こちらもぜひチェックを!

デジカメ Watch編集部