PROGRESSIVE PRO LENS − 写真家がプロレンズを選ぶ理由
まずは被写体をじっくりと観察。そのイメージが作品になる……野鳥写真家・水中伸浩さんインタビュー
2017年8月29日 11:03
被写体をファインダーに収め、その一瞬を大切に、丁寧に切り取る。望遠レンズを扱う写真家は、レンズにどんな性能を求めるのか。
若手写真家の作品を紹介しながら、撮影スタイルやレンズへの想いをインタビューするのがこの連載、「PROGRESSIVE PRO LENS」だ。
第3回目の今回は、『BIRDER』など専門誌で活躍する水中伸浩さん。鮮鋭で迷いのない作品を撮る水中さんは、35mm判換算で600mm相当を誇る「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」をどう評価するのだろうか。(編集部)
写真を撮り始めたきっかけは?
野鳥を観察しているときに、その美しい姿や愛らしい仕草、時に滑稽とも思えるような興味深い行動を見て、そういう姿を写真として残したいなと思ったことですね。
写真を始めた頃はハムシやオトシブミなどの小さな昆虫を撮るのも好きでしたが、結局はどっち付かずになりそうなので昆虫は諦めて、野鳥1本に絞りました。
現在、どのような写真の仕事をされていますか。
自然関係、カメラ関係の専門誌への寄稿や写真提供が主なものになります。長期に渡る撮影が多いため、期限を切っての依頼のお仕事などはお受けしにくいので、撮りためた写真の中からニーズに合ったものを提供させていただくという形になります。
影響を受けた写真家、写真集、メディアは?
父が写真家だったこともあり、幼い頃から身近に写真がありましたので、無意識のうちに何らかの影響を受けているかもしれません。
写真集はよく買いますが、特にこの写真家、この写真集の影響、というふうに意識したことはないですね。逆に無意識の模倣に陥らないよう、好きな写真でも見た後は敢えてイメージを頭に残さないように気をつけています。
絵作りにおいては若い頃に夢中で観た、鈴木清順さん、石井輝男さん、実相寺昭雄さんなどの映像から無自覚に影響を受けているような気がしています。それ以外にも国内外を問わず、構図やライティングなどを気にしながら映画を観ていましたので、何らかの影響を受けたとすればやはりその辺りでしょうか。
野鳥撮影の魅力とは。
まずは野鳥の行動をじっくりと観察することで、生息環境や習性、その個体特有の性格などをインプットしながらイメージを膨らませていきます。そこからいかにしてイメージ通りの作品に近付ていくかというのが最大の魅力でしょうか。相手は野生の生き物なのでこちらの思い通りになるはずもなく、その上気象条件にも大きく左右されます。だからこそ納得できる作品を残せた時の達成感は格別なのだと思います。
野鳥を撮るときに気をつけていることは?
まずは野鳥の生活を脅かすことなく、できるだけ自分の存在を消すということでしょうか。そのためには長期間ブラインドに入ることもありますし、十分な距離を置いて行動を観察し、いつまでもこちらの存在を気にするような素振りを見せるようなら、撮影を諦めることもあります。もちろん生息環境によっては極端に人馴れした野鳥もいますし、そのような場合は野鳥が許す距離感を慎重に測っての撮影となります。
あとは背景を含め、そのポイントが本当に自分がイメージする作品が撮れる場所なのかを見極めることです。撮りたい野鳥がいても、その環境がイメージする作品作りにふさわしくないと判断すれば、やはり撮影を諦めることになります。
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROの使い勝手はいかがでしょうか。
35mm判換算600mm相当でありながら長時間の手持ち撮影ができる、これだけで今まで不可能だった撮影が可能になりました。強力な手振れ補正のおかげで E-M1 Mark II との組み合わせでは手持ちで1/15秒が切れますし、これには何度も助けられましたね。最短撮影距離が1.4mというのも近接撮影が多い僕にはありがたいことです。
画質は素晴らしいと思います。十分に解像している上にボケ味に柔らかさもありますので、様々な表現が可能になりますね。
デジタルカメラマガジン9月号にも水中伸浩さんが登場!
発売中のデジタルカメラマガジン2017年9月号でも、連動企画「PROGRESSIVE PRO LENS」が掲載されています。水中さんが超望遠レンズで野鳥を撮るテクニックを解説。ぜひチェックを!