新製品レビュー

ニコンD7200(外観・機能編)

まとまりの良いDXフォーマット最上位モデル

ニコンDXフォーマット機は現在3ラインで構成される。エントリーモデルの3000番台、それより本格的な仕様の5000番台、そしてDXフォーマット最上位モデルの7000番台である。新しいD7200は、7000番台3代目となるモデルだ。

先代D7100からの進化点は、画像処理エンジンEXPEED 4の搭載、低輝度に強くなったAF、新たに採用されたWi-FiとNFCなどなど。元々完成度の高いカメラであったため、大きな変化こそ見受けられないものの、より時代に即したものとしている。ニコンユーザーのなかからはD300Sの後継モデルを期待する声を聞くことがあるが、その必要性を感じないほどの仕上がりといってよい。今回は外観機能編としてD7100との違いを中心に見ていくことにする。

D7100に搭載された1.3×クロップを継承する。51点のフォーカスポイントは画面全体をほぼカバーするようになるので動体撮影のときなど重宝する

D7200の販売開始は3月19日。本テキスト執筆時点での店頭予定価格はボディのみ14万8,500円前後、AF-S DX NIKKOR 18-140mm F3.5-5.6G ED VRの付属する18-140VRキット18万9,000円、AF-S DX NIKKOR 18-300mm F3.5-6.3G ED VRの付属する18-300VRスーパーズームキット22万4,100円前後(いずれも税込)。

引き締まった印象のボディデザイン

まずは外観。ボディシェイプはD7100から際立った変化はない。Wi-Fi-やNFCのマーク、何よりカメラ銘の記されたバッジがなければ近くから見てもその違いは分からないのではないかと思う。

カメラの側面にそれぞれWi-FiとNFCのマークが。NFCは同マークのある部分にスマートデバイスをかざすようにする

もちろんじっくりと見比べれば先代と異なる小さな部分が散見されるが、ボディシェイプのテイストはしっかりと受け継がれている。ホールディングしたときの印象についても、前モデルから変わった様子は伺えない。しっくりと手に馴染むグリップなど不満はない。

ボディサイズも当然これまで通りである。FXフォーマット機のD750とボディのデザイン、つくりなど瓜二つだが、両機を並べてみると本モデルのほうがコンパクト。同じフォーマットサイズ(厳密には異なるが)のキヤノンEOS 7D Mark IIと比べるとその差は大きく、D7200は一回り以上小さく軽量である。

i-TTL調光に対応したポップアップ式の内蔵フラッシュは、ガイドナンバー12(ISO 100・m)。コマンダー機能を内蔵しているので、多灯ライティングも手軽に楽しめる
インターフェースは左上から時計回りに外部マイク入力端子、USB端子、HDMI出力端子、アクセサリーターミナル、ヘッドホン出力端子となる

やや抽象的な表現だが、タイトに引き締まったボディは、高品位な精密機械の持ち合わせる密度感のようなものを感じさせる。ただし、この大きさでは心もとなく感じるユーザーや、重量級の望遠レンズなど使う機会の多いユーザーもいることだろう。その場合は、マルチパワーバッテリーパックMB-D15が用意されているので安心してほしい。ちなみにこのバッテリーパックはD7100と共通だ。

グリップの奥にはPV(プレビュー)ボタンとFn(ファンクション)ボタンを備える。ユーザーは右手の指先にその場所をしっかり憶えさせておきたい
iボタンを押すと撮影に関する機能の設定が変更できる。メニューに入るよりも迅速な設定の変更が可能だ

拡張感度で夜のスナップ撮影に挑戦したい

キーデバイスの進化としては、画像処理エンジンがEXPEED 3からEXPEED 4となり、オートホワイトバランスの精度が向上した。このところニコンデジタル一眼レフのオートホワイトバランスは、以前にくらべ色の偏りのようなものが少なくなってきているように思われるが、このD7200ではさらに信頼できるものとしており、ライバルにも引けを取らない。加えて色乗りもよくなっているように感じられる。

イメージセンサーは、先代D7100と同じ光学ローパスフィルターレスの有効2,416万画素だが、高感度特性の向上により常用最高感度はISO6400から2段分アップのISO25600に。ISO3200前後の中感度域のノイズ特性もアップする。同じセンサーでも、映像エンジンによって高感度特性がこれほど変化するものかと改めて驚かされるものである。

拡張機能でISO51200相当のHi-BW1とISO102400相当のHi-BW2が設定できる。いずれも仕上がりはモノクロ。なお、JPEGフォーマット選択時のみ設定が可能

ISO感度の拡張機能はユニークだ。ISO51200相当とISO102400相当に設定できるのだが、いずれも仕上がりはモノクロとする。高感度特有の色のにじみは当然現れず、ノイズはフィルムを高温現像したかのような粗い粒状感となって見える。従来からさらに低輝度(中央のフォーカスポイントは-3EV対応)でも測距が可能となったAFとともに、夜のモノクロスナップ撮影が手軽に挑戦できそうだ。

シーンモード、スペシャルエフェクトモードの搭載は賛否の分かれるところだろう。モードダイヤル周辺はFXフォーマットのD750と瓜二つ

バッファ増強を歓迎 新ピクチャーコントロールも

連続撮影を行っているとすぐにバッファフルになってしまうことが多かった先代D7100だが、D7200ではバッファーメモリーを強化。JPEGフォーマットで最高100コマの連続撮影を可能としている。望遠撮影では有利なDXフォーマットゆえにD7200はスポーツなど動体撮影で使われることも多いかと思うが、躊躇うことなくシャターボタンを押し続けることができる。

ちなみに連写速度は、DXフォーマット選択時6コマ/秒、1.3×クロップ選択時7コマ/秒と従来と同じだが、こちらはもう少し頑張ってほしいところだ。

仕上がり設定であるピクチャーコントロールには新たに「フラット」が追加された。これは素材性を重視した仕上がりで、シャドー部からハイライト部までの幅広い情報を持つ。それゆえ地味な仕上がりなのだが、積極的にレタッチで仕上がりを追い込みたいユーザーには絶好の素材となることだろう。

新しくピクチャーコントロールに「フラット」が備わった。素材性を重視したレタッチ耐性の強い仕上りで、シャドー部からハイライト部まで幅広い情報を持つ

さらにピクチャーコントロールの調整機能には「明瞭度」が加わる。プラス側に調整するとディテールが強調され、マイナス側に補正するとディテールが弱まりソフトフィルターをかけたような描写となる。風景やポートレートなど出番の多そうな機能である。

ピクチャーコントロールの調整機能に新たに加わったのが「明瞭度」。プラス側の設定でディテールが強調された仕上がりに、マイナス側ではソフトフォーカスをかけたような描写になる

また、各調整機能は従来の1段ステップから、0.25段ステップでの調整が可能に。これまで1段ステップでは変化が大きすぎて扱いづらく感じていただけに、この進化もありがたく感じられる。調整した仕上がりをカスタムピクチャーコントロールとして登録しておくことができるが、今後はより積極的に活用するユーザーも増えそうに思える。

微速度撮影機能を新搭載

Wi-FiとNFCの搭載もD7200の新しい部分。専用アプリ「Wireless Mobile Utility」をインストールしたスマートフォンなどとワイヤレスで連携でき、メモリーカードのなかの画像の読み込みやテザー撮影も手軽に楽しめる。特に画像の読み込みは、SNSなどに画像をアップする機会の多い写真愛好家は重宝する。

Wi-Fiの設定はセットアップメニューのなかに備わる。SNSやブログへの画像のアップを考えているユーザーは操作を憶えておきたい

動画機能に新たに追加されたものとして注目は微速度撮影機能だ。撮影感覚や撮影時間の設定のほか、露出が変わることで画面がちらつくことを防ぐ露出平滑化も備える本格派。もちろん静止画をつないで動画にするのはカメラが自動的に行ってくれるので、面倒な作業は必要ない。これまで動画撮影にさほど積極的でなかった人も、機会があったら是非トライしてみてほしい。

バッテリーはD810やD750、あるいは先代D7200などと同じEN-EL15を使用。D7200は省電力設計を採用し、フル充電の場合約1,110コマの静止画撮影を可能としている(CIPA準拠)

まとめ

以上D7200のD7100から進化した主要な変更点を見てきた。D7200は非常によくまとまったデジタル一眼レフだと思う。先代より受け継ぐ部分、最高1/8,000秒のシャッター、2基搭載するSDカードのスロット、3.2型123万ドットの液晶モニター、防塵防滴構造なども含めカメラとしての完成度は高く、突っ込みどころはないといってよい。

メモリーカードスロットは2基搭載。使用メモリーカードはSDXC/SDHC/SDでUHS-I規格に対応する
D7000から伝統的にダブルスロットだが、使い方によっては万一のときに心強い。積極的に活用したい機能のひとつである

さらに操作系についても不満に思える部分はほとんど見当たらない。ユーザーを選ばず、末永く楽しめそうなのも本モデルの魅力といえる。次回、実写編でD7200の画質について詳しくお届けする。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。