新製品レビュー

キヤノンEOS 7D Mark II(実写編)

APS-Cフラッグシップモデルの画質をチェック

先に掲載したEOS 7D Mark II(外観・機能編)に続き、今回は実写編をお届けする。

EOS 7D Mark IIは有効2,020万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載するモデル。APS-C機としては同社トップモデルという位置づけである。従来モデルとなるEOS 7Dも8コマ/秒と、比較的連写性能に優れたモデルであったが、このEOS 7D Mark IIはさらに連写性能を高め、最高10コマ/秒の連写が可能となった。

さらに、AFフレームも7Dの19点に対して、EOS 7D Mark IIは65点。すべてのAFフレームをクロスセンサーとするなど大幅なAF強化が図られている。また、ライブビュー時のAFに関しても、像面位相差AFが可能なデュアルピクセル CMOS AFを採用したことで、AF速度、精度を高めている。

さらにGPS機能を内蔵し、Exif情報に位置情報を付加したり、撮影ルートをデータとして記録できるロガー機能なども搭載された。

解像力

使用したレンズはレンズキットの1つとして用意されるEF 24-70mm F4L IS USM。ワイド端の24mm(35mm判換算で38.4mm相当)とテレ端の70mm(35mm判換算で112mm相当)で遠景を撮影してみた。

結果としては、ワイド端、テレ端ともに解像感は満足できるものといえる。ただし、解像力が高いというよりは、シャープネス処理の強さも手伝って遠景の解像感を高めている印象ではある。デフォルト設定でここまでシャープネスを強める必要があるかというのは評価の分かれるところかもしれない。

またワイド端の写真では、中央部に比べると周辺部の描写力の若干であるが甘さが感じられる。通常のキットレンズとしては十分に合格点といえるが、高性能レンズとして期待がかかるLレンズの性能としてはちょっと気になるところではある。

とはいえ、一般使用においては、ワイド端、テレ端ともにシャープでキレのある描写が得られることは間違いない。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
広角端
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:EF 24-70mm F4L IS USM / 1/500秒 / F8 / ISO100 / 絞り優先AE / 24mm
中央部
周辺部
望遠端
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:EF 24-70mm F4L IS USM / 1/500秒 / F8 / ISO100 / 絞り優先AE / 70mm
中央部
周辺部

高感度

感度はISO100〜ISO16000まで。拡張感度としてISO25600相当が用意される。

スタジオでチャートを撮影した画像を見ると、ISO800まではノイズはほとんど気にならないが、ISO1600あたりからノイズが目立ちだし、ノイズリダクションによる解像感の低下も見られる。さらにISO3200、ISO6400とノイズは増え、解像感の低下も顕著だ。APS-Cサイズのセンサーとはいえ、思ったよりも高感度特性は厳しいというのが実感値だ。

以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:EF 24-70mm F4L IS USM / F5.6 / 絞り優先AE / 35mm
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO16000

次に、夜景を撮影した画像だが、こちらもISO1600あたりからビルの壁のノイズが目立ち出す。ISO3200では夜空にもノイズが増え始め、解像力の低下も目立つ。もちろん、プリントして使用する分にはISO3200でも鑑賞に堪えうるレベルかもしれないが、決して飛びぬけて高感度を得意とするカメラではないようである。

以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。共通設定:EF 24-70mm F4L IS USM / F5.6 / 絞り優先AE / 24mm
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO16000

連写

EF 70-200mm F2.8L IS II USMを使用し、走ってくる電車を10コマ/秒の高速連写で撮影してみた。撮影モードはシャッター優先AEで、シャッター速度は1/800秒。AFモードをAIサーボAFにセットし、測距エリア選択モードを領域拡大AF(上下左右)とした。

AIサーボAFの追従に関しては使用するレンズ、被写体の速度などにもよるが、ピントに関してはおおむね良好。10コマ中2コマくらいはピントを外しているが、それでもピントを外した後の復帰も速い。

ピントを外してもそのままシャッターを押し続ければ、しっかり被写体を捕捉してくれる。連写モードでもミラーやシャッターの振動はほとんど気にならなかった。連写カメラとしての性能は高いと感じた。

共通設定:EF 70-200mm F2.8L IS II USM / 1/800秒 / シャッター優先AE

動画

動画に関しては、1,920×1,080のフルHD記録で59.94fps(IPB)に対応。記録形式もMOVとMP4が選択できる。また、すべてのEFレンズ、EF-Sレンズで動作可能な動画サーボAF機能も搭載される。今回は標準設定となる1920×1080、30pでの撮影を行ってみた。



使い勝手は申し分ない仕上がり

画質に関しては良くも悪くもキヤノンらしい絵作りという感じ。デフォルトの設定では比較的コントラストも彩度も高めだ。忠実な色再現というよりは、やはり記憶色、希望色という印象だと感じる。

特に、草木のグリーンは特徴的な発色といえる。また、露出はどちらかといえば明るめに出る傾向である。もちろん、露出や発色は好みによって変わるし、使いこなしでカバーできるレベルである。

写真機としての機能、使い勝手は申し分のない仕上がりだけに、あとはいかに色と明るさをコントロールするかがこのカメラを使いこなすカギなのかもしれない。

作品集

雨上がりの路面のきらめきがきれいだったので、-1EVの露出補正を行って撮影した。初期設定でも比較的コントランスとが高めなことがこのようなシーンではプラスに作用してくれる。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/2,000秒 / F6.3 / ISO100 / 絞り優先AE / 70mm
ISO3200での手持ち夜景スナップ。シャッタースピードは1/30秒となったが、手ブレ補正機構(IS)のおかげで手ブレは抑えることができた。ISO3200という感度は、結構ノイズも多く、街スナップでも限界の画質といえるかもしれない。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/30秒 / F4 / ISO3200 / 絞り優先AE / 24mm
別の撮影で設定したタングステン光用のWB設定を使って、イメージ重視の仕上がりにした。開放F値がF4のレンズでもこのようなシーンならボケも大きく、思い通りの仕上がりを得やすい。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/500秒 / F4 / ISO100 / 絞り優先AE / 70mm
ピクチャースタイルをモノクロにセット。フィルターや調色も調整できるが、今回は標準のまま撮影。ニュートラルなグレーで再現されているが、好みで言えば少し露出が明るすぎたかもしれない。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/125秒 / F4 / ISO500 / 絞り優先AE / 70mm
ガードレールにカメラを押しつけて、1/2秒のスローシャッターにチャレンジした。EF 24-70mm F4L IS USMの手ブレ補正機構はなかなかの実力だと実感した。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/2秒 / F5 / ISO100 / 絞り優先AE / 27mm
EF 70-200mm F2.8L IS II USMでローカル線の列車を撮影。AIサーボAFなら比較的ゆっくり走る列車にピントを合わせるのはたやすい。小雨が降る中の撮影で、WB、ピクチャースタイルともにオート。少しグリーンが色浮きしたような感じになったのが気になった。EF 70-200mm F2.8L IS II USM / 1/400秒 / F3.5 / ISO200 / マニュアル / 200mm
手前に草の前ボケを入れて望遠らしい表現を狙った。雨の風情を出したかったので、-1/3EVの補正をおこない少し暗めの仕上がりにした。100%表示で見てみると雨粒まで写っているのがわかる。EF 70-200mm F2.8L IS II USM / 1/250秒 / F3.5 / ISO200 / 絞り優先AE / 175mm
ライブビューモードにし、液晶モニターを見ながらローアングル撮影した。固定式の液晶モニターのため、決して撮りやすいとはいえないアングルだが、雨の中、膝をつかずに撮影できるのはやはりありがたい。ピクチャースタイルはオートだが、実際よりもかなり派手めでこってりとした仕上がりとなった。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/400秒 / F4 / ISO200 / 絞り優先AE / 24mm
EF 24-70mm F4L IS USMに搭載されるマクロモードで木の葉を拡大撮影。手持ちでの撮影だが、マクロ撮影時の手ブレを補正するハイブリッドIS搭載のおかげでこのような接写でもブレを最小限にできる。-1EVの補正をおこなっているが、それでもまだ少し明るめの仕上がりとなった。EF 24-70mm F4L IS USM / 1/40秒 / F4 / ISO200 / 絞り優先AE / 70mm

塙真一

(はなわ しんいち)東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、週刊誌などのグラビア撮影などを行なう。また、海外での肖像写真、街風景スナップにも精を出す。デジタルカメラを使って撮影した写真での写真展も多数開催。日本写真家協会(JPS)会員。