新製品レビュー
Nikon 1 J4(実写編)
1型センサーカジュアルモデルの画質を見る
塙真一(2014/8/18 08:00)
以前、掲載した「Nikon 1 J4(機能・外観・操作編)」に続き、今回は実写編をお届けする。
まずは前回のおさらいだが、Nikon 1 J4は、Nikon 1シリーズの中核をなすスタンダードモデルで、J1から数えて4代目のモデルとなる。撮像素子は1,839万画素のCMOSセンサーで、光学ローパスフィルターは装着されていない。撮像素子の大きさは約1インチのニコンCXフォーマットを採用。撮影画角は35mm判換算で焦点距離の約2.7倍となる。
レンズ交換式カメラといえども、センサーサイズが比較的小さいことから画質面が気になるところだが、今回はその辺りを掘り下げてみたい。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
遠景
まず基本的な解像力とてしては必要十分というのが正直な印象。飛び抜けて高い解像力とは思えないが、A3プリントくらいなら十分に耐えうる解像力といっていいだろう。
ただし、キットレンズとなる「1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOM」では中央部の描写力は良くても、周辺部はやや解像不足という感じになる。これほどまでにコンパクトにまとめたキットレンズにどこまでの性能を求めるかにもよるが、やはり周辺部はちょっときついと思っていたほうがよいだろう。
次に、レンズの絞り値による描写の違いだが、もっともシャープなのがF5.6。ワイド端の開放F値はF3.5となるが、開放でも十分にシャープな仕上がりとなっている。F8くらいから少しシャープさに欠けはじめ、F16では回折のためかかなりぼやっとした描写になってしまった。撮影シーンにもよるが、シャープでキリッとした描写を望むならF5.6くらいをピークとして考えておけばよいだろう。
高感度画質
感度の設定はISO160~ISO12800まで。感度制限オートでは上限をISO6400、ISO3200、ISO800の3種類が設定できる。また、ISO6400とISO12800には通常のものとNRと表示されたものが存在する。NR6400もNR12800も通常のISO6400、ISO12800よりは確かにノイズ低減が見られる。
高感度の評価に関しては被写体によっても異なるし、個々人の許容範囲も異なるが、私の実感値としては、ISO800くらいまでを実用の上限という感じだ。ISO1600から急にノイズリダクションの効きが強まり、細部の再現性が悪くなるからだ。
ただし、ISO3200まではほとんとの色相の変化もなく、小さなサイズで鑑賞する分には十分な画質といえる。やはり状況に応じて使い分けるというのが正しいだろう。ISO6400から上はNR6400でもちょっと実用には向かないかなという印象だ。
高速連写
連写はAF追従で20コマ/秒、AF固定なら60コマ/秒の高速連写が可能だ。写真の飛行機は、AFモードをAF-Cにセットし、20コマ/秒の連写に設定している。連続記録枚数が20コマまでなので、実質1秒間の撮影ということになる。
実はAF固定で60コマ/秒の連写も試してみたが、こちらは時間にしてわずは0.3秒ほど。旅客機の離陸でもほとんど動きが感じられないくらいの短い時間であった。風船が割れる瞬間を撮るなど、超高速の一瞬を捉えるには60コマ/秒が便利かもしれないが、普通の連写なら20コマ/秒で十分なのではと感じた。
マクロ
標準パワーズームレンズキットとして付属する1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMを使用して最短撮影距離付近での撮影を行ってみた。
カタログスペックを見ると最短撮影距離は撮像面から0.2m(ズーム全域)と書かれているのだが、実際に撮影してみると、ワイド端では撮像面から0.14mほど、テレ端では0.17mほどの距離から撮影できた。大抵の標準ズームはマクロ撮影には強いとはいえなが、この1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMに関しては、かなりマクロに強いといってよいだろう。
しかもワイド端だけでなくテレ端でもマクロ撮影ができるというのは大きい。もちろん、本格的なマクロ撮影とまではいかないが、テーブルフォトを撮るくらいなら標準ズームで行けそうな感じである。
動画
動画の撮影はシャッターボタン横にある動画撮影ボタンを押すことで行える。モードダイヤルのポジションがオートモードにある場合やクリエイティブモードにあるときでも動画撮影は可能だ。
ただし、ベストモーメントキャプチャーモードとモーションスナップショットモード設定時は動画撮影ができないので注意が必要。
また本格的に動画を楽しむならモードダイヤルにあるアドバンス動画モードを使用するのがよいだろう。アドバンス動画モードでは、露出モードを変更したり、スローモーションや早送り動画、意図的にコマ落ちしたように記録するジャンプカットモードなどが選べる。
作例の動画は通常のフルHD動画とスローモーション動画で記録したもの。同じシーンでも撮り方を変えるだけで印象も変わり楽しみが増える。スローモーション動画は120/400/1,200fpsの3種類の記録が可能。ただし、記録時間は約3秒となっている。
動画メニューの中に、「動画撮影中おまかせスナップ」という設定がある。ここの「自動撮影」をONにしておくと、動画撮影中に自動的に静止画も記録してくれるというもの。
動画撮影中でもシャッターボタンを押せば手動でも静止画記録は可能だが、おまかせスナップをONにしておけば、1分間に4枚のペースで最大20枚まで静止画を記録しておいてくれる。
ただし、使ってみた感想としては「やはりカメラまかせでは、一瞬のよい表情を記録してくれるわけではないんだなあ」というのが正直なところ。「動画も静止画も両方なんて気が回らない」という人にはオススメかもしれない。
まとめ
Nikon1 J4は、ミラーレスカメラとしてはちょっと異端児的な存在という気がする。まあ、メーカー自身がミラーレスカメラではなく、“レンズ交換式アドバンストカメラ”と謳っているのだから、ミラーレスというジャンルには入らないのかもしれない。
だが、実際に使うこ立場から考えると、"小型軽量、かつレンズ交換可能”というクラスは真っ向からミラーレスカメラがライバルとなる。そうなったときに、J1からJ4までの進化で良いのだろうかという疑問もある。
J4は、小型軽量、しかも他に類を見ないほどの高速連写機能を持つカメラだ。あとは、もう少しカメラ(写真機)としての魅力、使いやすさを追究してくれても良いのではないだろうかと感じる。そこはVシリーズが担うと言われてしまえばそれまでなのだが。
ちなみに、カメラまかせであまり多くのことを気にせず、パシャパシャ撮る分にはとてもきれいに撮れる。風景だって人物だって発色もいい。もしかすると、このJ4はカメラまかせのフルオートで使うのが一番いいのかもしれない。