新製品レビュー

Nikon 1 J4(機能・外観・操作編)

小型ボディに多彩な機能。着実な進化が見えるNikon 1中核機

Nikon 1 J4(以下J4)はNikon 1シリーズの中でもっともスタンダードといえるモデル。初代のNikon 1 J1から数えて四代目となるモデルだ。

ニコンはNikon 1シリーズをミラーレスカメラとは呼ばず、あえて「レンズ交換式アドバンストカメラ」と名付けており、ちょっと一般のミラーレスカメラとは別の方向性のカメラといえるかもしれない。そのあたりは後ほど解説したい。

Nikon 1シリーズは大きく、SとJ、Vの3シリーズに分けられる。現在の最新型番はS2、J4、V3となっている。これらに加え、水深15mまでの水中撮影が可能なNikon 1 AW1を入れた4モデルが現行機種ということになる。

J4の発売は2014年4月20日。ボディのみの実勢価格が6万円前後、1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMが付属する標準パワーズームレンズキットが6万4,000円前後、標準パワーズームに加え1 NIKKOR VR 30-110mm f/3.8-5.6の望遠ズームも付属するダブルズームキットが7万5,000円前後となっている。

アルミ外装でソリッドな仕上がり。microSDを採用

J4の撮像素子は1,839万画素のCMOSセンサーで、光学ローパスフィルターレスとなる。Nikon 1独自のニコンCXフォーマットを採用し、撮影画角は35mm判換算で焦点距離の約2.7倍となる。レンズマウントはもちろんニコン1マウントだ。

センサーの画素数は上位モデルのV3と同一だが、V3には装備されるイメージセンサークリーニング機構はJ4では省かれている。

また、従来モデルとなるNikon 1 J3は1,425万画素だったことから、モデルチェンジとともに画素数アップしたことになる。

レンズマウントはNikon 1マウント。レンズを取り外すとニコンCXフォーマット、1,839万画素のCMOSセンサーが見える。センサーは光学ローパスフィルターレス。シャッターは電子シャッターのみで、メカシャッターは装備されない。

従来までのNikon 1シリーズは記録メディアにSDメモリーカードを採用していたが、現行のJ4、V3、S2はmicroSDメモリーカードとなった。小型軽量化の一環なのだろうが、microSDメモリーカードは外寸が11×15mmと、SDメモリーカードより小さい。うっかり落としてしまうと見つけるのに苦労するほどの小ささなので、取り外しには注意したい。

リチウムイオンバッテリー(EN-EL22)で電池寿命は約300枚。小型の割には撮影可能枚数は十分だと感じる。バッテリー室にはmicroSDメモリーカードスロットも併設される。

撮影データのパソコンへのバックアップなどはカード本体を取り外して行なうよりも、付属のUSBケーブルでカメラごと接続したほうが取り回しがよいように感じた。おそらくメーカーもそういう使い方を想定してこのメディアを選んだのだろう。

バッテリーは小型のリチウムイオンバッテリーで電池寿命は300コマ。J3の220コマから比べると大幅な枚数アップとなっている。

外観はアルミニウムを多用し、フロント部にはヘアライン加工が施されている。J3までの丸みのあるデザインからはガラリと雰囲気を変えたソリッドな仕上がりには好感が持てる。

ボディ前面にはこれといったグリップ部は設けられていないが、とくに持ちにくいといった印象はない。この大きさ、軽さであれば別にグリップ部は必要ないということだろう。

液晶モニターは3型104万ドットで明るさの調整は可能。タッチパネル式となり操作性は大きく向上した。
ボディ左側面のカバー内にはHDMI端子(Type D)とUSB端子が装備される。そのうえに見えるフラッシュマークは内蔵フラッシュを手動ポップアップさせるボタン。
内蔵フラッシュはガイドナンバー5(ISO100・m)。ケラレが発生しにくいように高く上がるとともに全面にせり出す。P、S、A、Mモード使用時には手動ポップアップ。それ以外のモードでは必要に応じて自動ポップアップする。

高速連写性能を生かした多彩な連写機能

 操作関連のボタン類はシンプル。モードダイヤルこそ装備するが、実際の操作では十字ボタン上に位置するF(フィーチャー)ボタンを押して、タッチパネル操作をする場面が多い。Fボタンを押したときに表示される内容は各モードごとに最適化されたものとなっているため、とりえあずそのモードでどんな設定ができるのかFボタンを押してみるとよいだろう。

上キーに割り当てられたF(フィーチャー)ボタンを押すことで、撮影や再生のモードごとに各種設定が一覧表示されるフィーチャーメニューが表示される。例えば、この画面ならISO感度やAFモード、ピクチャーコントロールなどをタッチすれば、それらの設定変更が可能となる。
モードダイヤルはモーションスナップショット、ベストモーメントキャプチャー、オート、クリエイティブ、アドバンスト動画モードの5モードとシンプルなものとなっている。
背面のボタン類も少なめ。十字ボタンを兼ねるロータリーマルチセレクターの装備により素早い設定変更も可能となっている。

気になる撮影機能だが、一番の特徴は高速連写に優れることだろう。AF追従で約20コマ/秒、AF固定なら約60コマ/秒の高速連写が可能となっている。

ただし、1回の連写枚数は20コマ。60コマ/秒の連写モードではわずか約0.3秒で撮りきってしまうこととなる。とはいえ、一眼レフカメラなどの連写とはまったく別ものといえる動画のコマ送りのような写真が撮れるのは面白い。

また、連写に優れると同時にAFも非常に高速で軽快な撮影が行なえる。コントラストAFと像面位相差AFを併用するアドバンストハイブリッドAFシステムにより、AFに不満を感じることはなかった。

AFエリアモードをシングルポイントにすれば、タッチパネルによるAFエリア選択も可能で思ったところにピントを合わせることが可能だ。

J4には他のカメラにはない、特徴的な機能が装備されている。

まずはクリエイティブリングと呼ばれる機能。撮影モードをクリエイティブモードにセットし、さらに「クリエイティブ」を選ぶと、液晶モニター上にリングが表示される。このリングをタッチすることで15段階でエフェクト効果が変化するというものだ。「ポートレート」「クローズアップ」「風景」「その他」の4シーンで自動的に変わる。

モードダイヤルのクリエイティブからクリエイティブリングを選択すると、液晶モニターにリングが表示される。リングをなぞると様々なエフェクトが掛けられたプレビューが表示される。エフェクトは15種類あるので、なぞりながら好みの仕上がりを見つけてシャッターを押せばよい。

使ってみた印象では、思い通りの効果が得られるというよりは、どんな効果が得られるのか出たとこ勝負という感じであった。ノーマルの仕上がりに物足りなさを感じたら、クリエイティブリングを使ってみるとよいだろう。

また、オートモードで絞りやシャッタースピード、露出補正などを直感的操作で行なえる「ライブコントロール」機能も装備され、カメラの知識が少ない人でも楽しめるよう工夫されている。

モードダイヤルをオートにし、OKボタンを押すとライブコントロール機能が使用できる。「明暗差を調整する」、「背景をぼかす」、「動きを表現する」、「明るさを変える」の4種の調整が可能。

さらに、シャッターボタンを押した瞬間の前後20コマを連続撮影して、気に入ったカットだけを保存する「お気に入りフォト選択」機能や、シャッターボタン半押しで20コマの静止画を記録し、それを液晶モニターに表示されるスロー再生画面を見ながらベストな一瞬を記録する「スロービュー」機能なども搭載される。

これらの機能はNikon 1ならではの機能といえるが、正直使いこなしは難しい。なにしろ、決定的瞬間の1秒前後を確実に押さえないとどちらもよいタイミングの1枚が撮れないからだ。確かに、決定的瞬間そのものを撮るよりは初心者には優しいのかもしれないが、私個人の印象としては一発勝負で決定的瞬間を狙う方がより打率が高いという気がした。機能としては魅力的かもしれないが、常用できるかといえば疑問である。

J4にはWi-Fi機能も内蔵されている。Wi-Fi機能専用アプリケーション「Wireless Mobile Utility」をインストールしたタブレット端末やスマートフォンと連携することで、撮影画像を再生したり、保存してSNSなどにアップすることも可能だ。

さらに、Wi-Fi端末をキーデバイスとしてカメラをリモート操作し、撮影をすることも可能。J4くらい小さなカメラであれば小型の三脚でも十分にリモート撮影を楽しむことができるので、大いに活用したいところだ。

カメラにはWi-Fi機能が内蔵され、スマートフォンやタブレット端末との連携が可能。撮影済みの画像を再生したり、タブレット端末にコピーしたりできる。また、ワイヤレス操作でカメラをリモート操作して撮影することも可能だ。iOSやAndroid OSに対応した無料アプリケーション「Wireless Mobile Utility」がリリースされているので、あらかじめ端末にインストールしておく必要がある。

まとめ

撮影機能に関してはいくつか疑問に感じるものもあるが、通常のPSAMモードやHDR、ミニチュア効果、クロスプロセス、トイカメラ風といったアート系エフェクトモードも装備されている。

いわゆるアート系のフィルターも充実。HDR、ソフト、ミニチュア効果、セレクトカラー、クロスプロセス、トイカメラ風が選べる。それぞれのモードによって色合いや効果の強さなどを選ぶことができるようになっている。

何よりも軽快なAFと高速連写、タッチパネルによる操作性の良さなどカメラとしての基本機能は確実に向上している。レンズ交換式の小型ミラーレスカメラとしてJ4をチョイスするという選択もありかなぁと思った次第である。

次回はJ4の各種撮影モードを使った作例と画質チェックをおこなう「実写編」をお届けする予定である。

標準パワーズームレンズキットとして付属する1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMは、35mm判換算で27-81mm相当。電源オフで自動的に沈胴し、レンズバリアが閉まる。パワーズーム式。

塙真一

(はなわ しんいち)東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、週刊誌などのグラビア撮影などを行なう。また、海外での肖像写真、街風景スナップにも精を出す。デジタルカメラを使って撮影した写真での写真展も多数開催。日本写真家協会(JPS)会員。