【新製品レビュー】PENTAX Optio WG-2 GPS
ペンタックスのOptio Wシリーズといえば、防水タフネスカメラの先駆けともいえる「Optio WP」(2005年6月発売)に端を発する長寿シリーズだ。横長フォルムのボディ中央に屈曲光学系レンズという構成は、最新モデルの「Optio WG-2」にも受け継がれている。
Opito WG-1(2011年3月発売)からは、GPS機能を搭載した兄弟機「Optio WG-1 GPS」を市場に送り出すと同時に、よりアウトドアギアのイメージを強めたスポーティなスタイリングを採用。その後継機、Opito WG-2およびOptio WG-2 GPSは裏面照射型CMOSセンサーを採用するなど、着実な進化を重ねている。
今回はGPS機能を搭載する上位モデル、Optio WG-2 GPSを試用してみた。
WG-2およびWG-2 GPSの発売は3月9日。実勢価格はWG-2が2万9,600円後、WG-2 GPSが3万1,900円前後となっている。
■オリジナリティ溢れる強烈なボディデザイン
WG-1もデジタルカメラとしてはアグレッシブな見た目だったが、WG-2はさらに攻撃的だ。直線や鋭角なパーツや多く、スリットやビスもメカメカしさを主張。WG-1のときに比べて、より敵モビルスーツ的なかっこよさを増した印象だ。表面処理も多彩で、ざらつきを強調した樹脂から、平滑な処理の樹脂、さらりとした金属パーツなどバリエーションに富んでいる。
上面がくびれた独特の形状も継承。手に持って移動する際、このくぼみに親指を掛け、レンズの向かって左側を握るようにすると持ちやすくて都合が良い。グリップのない薄型のデジタルカメラを長時間持っていると、小型軽量のモデルであっても指や手首がくたびれることがある。しかし、WG-2なら、1時間ほど持って歩いても疲れにくかった。
防水性能は耐水深12m(前モデルは10m)、対衝撃高は1.5m。ダイビングをのぞけば、実用上十分なスペックだろう。
撮像素子は1/2.3型の裏面照射型CMOSセンサー。有効画素数は約1,600万。WG-1は1/2.3型の有効1,400万画素CCDだったので、待望の裏面照射型CMOSセンサーの採用となる。
最高感度はISO6400。Optio Wシリーズは伝統的に光学式手ブレ補正機構がなく、それだけに高感度対応が期待されていた。また、もともと防水タフネスモデルとしてはレンズの切れが良い方なので、画質面での進化は素直にうれしいところだ。
そのレンズは焦点距離28-140mm相当(35mm判換算)F3.5-5.5の光学5倍ズーム。ズームレバーは斜めに配置されており、持ち変えることなく自然な操作が可能だった。
レンズ周りのLEDは、超至近距離での撮影が可能なデジタル顕微鏡モードで活躍する。被写体まで1cmに近寄り、なおかつLEDが被写体を照らすことで、被写体にカメラの影を落とさない。Opito W90(2010年3月発売)から続く装備だが、今回からLEDが3灯から6灯に増えている。
デジタル顕微鏡モードについては、こちらの記事で解説している。
レンズ周りのLEDはデジタル顕微鏡モードで発光。今回は6灯に増えた | Optioらしく、上面の電源ボタンがグリーンに光る。中央のくびれを握ると持ち歩きのとき疲れない |
バッテリーおよび記録メディア室。SDXCメモリーカードにも対応。ロックはものすごく固く、水没させたときの信頼感は高い | HDMI端子も装備する。ホワイトボディはカバー内部も外装と同色だ |
液晶モニターは3型約46万ドット。前モデルの不満のひとつが2.7型という、当時としても小サイズの液晶モニターだった。現在の標準仕様である3型にスペックアップしたのは素直にうれしい。
その他機能面では、動画機能が1,280×720ピクセルから1,920×1,080ピクセルのフルHD記録に強化されている。この辺も現在のトレンドに追いついた格好だ。
■強力なカスタマイズ性能を誇るグリーンボタン
主な撮影モードは、自動シーン認識を伴うオートピクチャーだろう。これを基本として各撮影モードをシーンに応じて固定するのが基本的な使い方になる。
撮影モード一覧。水中関連は「マーメイド」「マーメイドムービー」というシャレた名称だ |
ボタンは相変わらず固めだ。防水タフネスカメラなので、こればかりはいた仕方がない。ただし他社の同クラスの製品に比べると、指が痛くなるほどではなく、個人的には許容範囲のうちだ。また、ボディの大きさにしてはボタンの数が多くて小さいが、形状が工夫されているため、操作にさほど苦労はしない。
カスタマイズ性能に秀でているのもOptioの特徴だ。本機でもグリーンボタンに多彩な機能を割り当てられる。例えばグリーンボタンに「Fn設定」を割り当てれば、上下左右ボタンそれぞれに、露出補正、ホワイトバランス、感度など13種類の機能を割り当てられる。
グリーンボタンには多数の機能を割当られる。そのうちFn設定は、上下左右ボタンそれぞれに機能を割り当てるもの。エントリークラスをのぞくペンタックス製品のユーザーならおなじみだろう |
グリーンボタンを押した後、露出補正を割り当てた上ボタンを押すと、左右ボタンで露出補正が可能になる |
ただし前モデルに続き、いまどき動画ボタンがないのはマイナスポイントだと感じる。従って動画を撮るには、撮影モードを動画モードに切り替える必要がある。ペンタックスでは「誤動作防止を考えてのこと」と説明しており、その意図もわかるのだが……水中では特に不便に感じた。
もっともこの問題は、グリーンボタンに動画機能を割り当てることで解決する。その代わり、グリーンボタンへのFn設定が設定不可になるので、痛し痒しといったところだ。
カスタマイズ関連で面白いのは、撮影後の「クイックビュー」をオフにできること。オフすると撮影後の画像表示がなくなるので、次々と撮影できるようになるのでおすすめの設定だ。もちろん、どんな写真になったか気になる場合は、再生ボタンを押せば確認できる。
■高速化で使いやすくなったGPS機能
WG-2 GPSのみに搭載されているGPS機能についても触れておこう。今年のGPS搭載モデルの多くは、ホットスタート、コールドスタートとも大幅に高速化しており、本機もその例に漏れない。さすがにビル街だと厳しいが、ある程度開けた場所なら数10秒で衛星を補足する。
また、WG-2 GPSはログ記録に対応しており、KMLファイルとして保存できる。記録間隔は15秒、30秒、1分から選択可能。記録時間も指定できるので、上手く設定すれば、就寝中に電池を消費する無駄もなくなる。ログの取得を強制的にやめることも可能だ。
A-GPSに対応してないなど最新装備とはいえないものの、電池の持ちも良く、実用上は十分。完成度の高いGPS機能になっている。
画質はこのクラスにしてはシャープで、防水タフネスデジカメだと思わせないクオリティ。高感度画質も格段によくなっており、ISOオートでガシガシ撮れる扱いやすいカメラになった。これで光学式手ブレ補正機構があれば、水陸ともに使いやすいカメラになったと思うのだが……。水中では効果が薄いとはいえ、陸上でも撮ることは多いはず。高感度画質が良くなったとはいえ、ぜひ次期モデルでは対応して欲しいところだ。
とはいえ、シャッター速度を意識して丁寧に撮れば、それに応えてくれるカメラだ。アウトドアデジカメを探している人にとって、有力な候補になり得るだろう。
■実写サンプル
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
・画角
広角端 / PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.5MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F4.2 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm | 望遠端 / PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.5MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F6.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 25mm |
・感度
・マーメイドモード(水中モード)
・料理モード
PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.3MB / 4,608×3,456 / 1/80秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 11.1mm | PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.4MB / 3,456×4,608 / 1/80秒 / F4.6 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 11.1mm |
・夕焼けモード
PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.7MB / 4,608×3,456 / 1/60秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm | PENTAX Optio WG-2 GPS / 約4.8MB / 3,456×4,608 / 1/640秒 / F6.3 / -1.0EV / ISO125 / WB:オート / 20.6mm |
・マーメイドムービーモード(動画)
約22.8MB / 1,920×1,080 / H.264 / 30fps |
2012/4/3 00:00