【新製品レビュー】ソニーサイバーショットDSC-W380
サイバーショットDSC-W380。ボディカラーは写真のシルバーのほか、レッド、ブラック、ゴールドがある |
ソニーのスタイリッシュコンパクト機は、屈曲レンズを使用した薄さが売りの「Tシリーズ」とストレート沈胴レンズを採用した「Wシリーズ」がある。今回は、Wシリーズ春モデルの最上位モデル「サイバーショットDSC-W380」を採り上げたい。
2万3,600円前後。下位の「DSC-W350」(実勢価格1万8,800円前後)や「DSC-W320」(同1万7,500円前後)よりもやや値は張るが、広角24mm相当(35mm判換算)からの5倍ズームを搭載するのが大きなトピックだ。なお、DSC-W320は、スイングパノラマ、HD動画記録、光学式手ブレ補正機構なども省略している。
デザインは、フロントパネルのエッジに丸みを持たせており、従来からの背面側をブラックにする処理にしている。前後のツートンカラーで、より薄く見える利点がある。ボタンの配置などは、従来からのWシリーズを踏襲している。ズームは背面のシーソースイッチで行なう。同じく背面にはモードダイヤルも備えている。ボディの厚さは19.7mmと普段使うには十分な薄さだ。
■ひろびろ撮れる広角24mm対応レンズ
レンズは、35mm判換算の焦点距離24~120mm、F2.4~5.9の5倍ズーム。DSC-W350とDSC-W320は「カールツァイス バリオ・テッサー」となっているが、本機は「Gレンズ」を搭載している。現在のトレンドでは、広角端が28mm相当というのがすっかり定着した感がある。従って、本機のように24mm相当の画角があるとより広角レンズらしい表現にチャレンジできるし、室内など28mm相当でも引きが利かない場合に重宝する。
特に一眼レフカメラのユーザーはご存じの方が多いと思うが、28mm相当と24mm相当はたった4mmの違いでも描写が大きく違ってくるものだ。なお従来機の「サイバーショットDSC-W270」は、広角端の明るさがF3.3だったので約1段明るくなったのも注目点と言える(望遠端はF5.2からF5.9と若干暗くなっている)。
全体に丸みを帯びたデザインを採用 | 液晶モニターは約23万ドットの2.7型。モードダイヤルも備える |
撮像素子は1/2.3型有効1,410万画素CCD。DSC-W270は1/2.3型有効1,240万画素CCDだった。1/2.3型で1,400万画素クラスのセンサーは、2010年春モデルでは1つのトレンドになっているのでソニーもしっかり押えてきたということだ。ただ、高感度に強いとされる裏面照射型CMOSセンサー「Exmor R」の採用は見送っている。
■高感度は意外に健闘
実写を見ると、やはり24mm相当の画角はダイナミック感があり28mm相当機とはひと味違った印象になる。広角端は画面周辺部でやや像の流れが見られるが、それ以外はしっかり解像している。望遠端は全体に良く解像している。
感度はフル画素でISO80~3200となっている。CCD機だが高感度は健闘しており、ISO800までは一般的な用途なら常用できそうだ。ISO3200でもカラーノイズはそれなりに出現するものの、彩度の喪失は比較的少なく、大きく引き伸ばすのでなければ使用をためらうほどではないように思った。
上面はシャッターおよび電源ボタンとシンプル | リアカバーはブラックで本体がより薄く見える |
ソニーコンパクトデジタルカメラの大きな売りの1つである自動パノラマ撮影機能「スイングパノラマ」だが、本機では新たに「スクロール再生」機能に対応した。これは、パノラマ画像を液晶モニターで端から端までスクロールしながら見ることができるものだ。液晶モニターをパノラマ画像が移動していくようすは、なかなか斬新でおもしろい。撮影直後のチェックにも便利だったが、ほかの人に見せる際に喜ばれると思う。なお本機のスイングパノラマは、最大260度の範囲を写すことができる。
■まとめ
レンズは広角24mm相当からの5倍ズーム。“Gレンズ”の名を冠する |
前モデルからは、奇をてらうことなく各部をブラッシュアップしたDSC-W380。Tシリーズよりも安い価格で、広角24mmの描写が楽しめる点が評価できる。高感度画質も、CCD機としては水準以上と言えそうだ。従来からの笑顔検出機能「顔キメ」、カメラや人物の動きを検出し手ブレを抑える機能なども引き続き搭載している。
またソニーだけのスイングパノラマは、一度使ってしまうと従来のパノラマ合成(複数枚撮影して合成する)がとても面倒に感じるほど便利だ。これは是非とも店頭などで雰囲気だけでも体験してみて欲しい。
動画は1,280×720ピクセル、30fps(MPEG-4)での記録が可能。動画撮影中の光学ズームに対応しているのが嬉しい。720pのMPEG-4形式なので比較的PCでも扱いやすいのはメリットだが、できれば720pではなくフルHD記録に対応しているとさらによかった。フルHDでの撮影にこだわるなら、もう少し予算を用意して「DSC-TX7」を狙うのもありだ。こちらは屈曲レンズだが、広角端は25mm相当と実はDSC-W380とたった1mmしか違わなかったりする。
なお、本機の記録メディアはメモリースティックデュオのほかSDHC/SDメモリーカードも利用可能になっている。SD系記録メディアのカメラから買い換えても、手持ちのメモリーカードが無駄にならないのもよい。
メモリースティックデュオ(左)のほか、SDHC/SDメモリーカード(右)も使用可能になった |
付属の充電器とバッテリー。CIPA準拠の撮影可能枚数は約220枚 |
■実写サンプル
※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。(スイングパノラマ作例以外)
●画角
DSC-W380 / 4,320×3,240 / 1/250秒 / F7 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 4.3mm | DSC-W380 / 4,320×3,240 / 1/250秒 / F5.9 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 21.3mm |
●歪曲収差
DSC-W380 / 4,320×3,240 / 1/30秒 / F2.4 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 4.3mm | DSC-W380 / 4,320×3,240 / 1/8秒 / F5.9 / 0EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 21.3mm |
●ISO感度
※共通設定:DSC-W380 / 4,320×3,240 / -0.7EV / プログラム / WB:オート / 11mm
ISO80 | ISO100 | ISO200 |
ISO400 | ISO800 | ISO1600 |
ISO3200 |
●スイングパノラマ
※サムネイルをクリックすると、長辺を3,000ピクセルにリサイズした画像を表示します
カメラを横位置にして左から右に移動 DSC-W380/ 3,000×453 / 1/320秒 / F7 / 0EV / ISO250 / スイングパノラマ / WB:オート / 4.3mm |
カメラを横位置にして下から上に移動 DSC-W380 / 1,173×3,000 / 1/800秒 / F7 / 0EV / ISO250 / スイングパノラマ / WB:オート / 4.3mm |
●Dレンジオプティマイザー(DRO)
共通設定:DSC-W380 / 4,320×3,240 / 1/50秒 / F5.9 / -1.7EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 21.3mm
DRO:OFF | DRO:スタンダード | DRO:プラス |
●動画
DSC-W380 / 1,280×720 / 30fps / 約12MB /MPEG-4(.MP4) |
2010/4/13 00:00