ミニレポート
2種類の外付けグリップを使い比べてみた
(OM-D E-M5 Mark II)
Reported by 北村智史(2015/4/14 00:00)
E-M5 Mark IIには、2種類の外付けグリップが用意されている。ひとつはパワーバッテリーホルダーHLD-8のグリップ部だけの単品販売であるカメラグリップHLD-8G。もうひとつはアルカスイス互換のクックシュー対応レールを持つ金属製外付けグリップECG-2だ。
カメラグリップHLD-8Gは、パワーバッテリーホルダーHLD-8のグリップ部だけを単品販売するもの。シャッターボタン、フロントダイヤルを装備している。
金属製外付けグリップECG-2は、アルカスイス互換のクイックシュー対応のレールを装備しているのが特徴。縦位置取り付け部は取り外しても使用できる。
グリップの薄いE-M5 Mark IIは、ボディ単体でのホールディングがもうひとつ心もとないので、どちらかを付けようと思っているのだが、地方在住だとこういうアクセサリーまで展示してくれているお店はあまり見あたらない。駅前の某カメラにはHLD-8のモックアップが置かれていて、握りごこちは試せたが、ECG-2の展示はなかった。地方格差をひしひしと実感した次第である。
愚痴はさておき、触れずじまいなのもおもしろくないので、今回は、HLD-8GとECG-2の2つのグリップをお借りして、握りごこちや使い勝手などをぶつぶつやってみようと思いたった次第である。
カメラグリップHLD-8G
HLD-8Gは、前述のとおり、パワーバッテリーホルダーHLD-8のグリップ部だけを単品で購入できるようにしたもので、価格は税別15,000円(税込み16,200円)。オリンパスのオンラインショップでは税込み12,960円で販売されている。シャッターボタンとフロント(電子)ダイヤルのほか、ヘッドホン端子を備えているのがユニークな点だ。
フィルム一眼レフのOMシリーズにワインダーの組み合わせを思い起こさせるデザインで、そのあたりにもちょっと惹かれている。外装はプラスティック製のようだが、仕上げはよくて、安っぽさはない。重さは使用説明書によると108gである。
グリップ部はストレートに近い形状で、しっかりと握り込める。小指は若干あまり気味だが、中指とくすり指のおさまりはよく、指先が窮屈だったりとかはない。ボディ単体では不用意に触ってしまうことが多かったプレビューボタンは、グリップの奥行きの分、遠くなったおかげでほどよく押しづらくなった(押そうと思えばちゃんと押せる)。ただ、右手の親指の付け根近くに当たる角がちょっととがり気味で、長時間使ったときにどうなるか、気になるところである。
シャッターボタンはグリップ部の上にあって、指がかけやすいように少し傾けてある。ワタシは手が大きいので、指の腹ではなく、第一関節のあたりで押すようなかっこうとなるが、押しづらいようなことはない。
泣きどころは、ボタンへのアクセス性がものすごく悪くなること。グリップの奥行きの分ボタンが遠くなってしまうので、グリップを握った状態では、めいっぱい無理をしてもシャッターボタンに指を届かせるのがやっとだった。
この点は初代E-M5とパワーバッテリーホルダーHLD-6の組み合わせも同じで、やはり上面のボタン類へのアクセス性に難があった。E-M5 Mark IIは上面のボタンが増えて、その操作が使いこなしの肝となるだけに、ボタンが押しづらくなるのは痛い。だったら、E-M1買っときゃよかったじゃねぇか、という話にもなりかねない。
そういうときには、中指をあまらせてホールドする方法を試してみるといいかもしれない。実はこれ、キヤノンEOSを使っていたころに考えたもので、人さし指でメイン電子ダイヤル、中指でシャッターボタンを押すというやり方である(E-M5 Mark IIだと中指でシャッターボタンを押すのはかなり難しいが)。
くすり指と小指だけでグリップを握るようになるので、少々頼りなく思えるかもしれないが、E-M5 Mark IIぐらいの軽さなら問題はない。左手で重さを支えるようにしてやれば、重量級のカメラでも十分いける。ただし、ある程度、手の大きな人でないと難しいかもしれない。
ほかにも、AEL/AFLボタンが少し遠くなった感じがするのも気になった点。これもグリップの奥行きの関係だろうし、すぐに慣れられそうな気もするので、まあ大丈夫だと思う。それと、バッテリーを交換するたびに、いちいち取り外さないといけないのが面倒くさそうである。
金属製外付けグリップECG-2
ECG-2は、クイックシューの機能もあわせ持ったグリップで、価格は税別17,500円(税込み18,900円)。同社のオンラインショップ価格は税込みで15,120円である。
説明書に重さの記載がなかったので、精度があやしいアナログ式のキッチンスケールで測ったところ、縦位置取り付け部なしで約100g、付きで約150gだった。
名前のとおりの金属製で、ベース部とグリップ部、縦位置取り付け部の3ピース構造となっており、付属のねじと六角レンチを使って組み立てる。ボディへの装着も六角レンチ式なので、付けたら付けっぱなしである。
アルカスイス製もしくは互換性のあるクイックシューの規格に合わせてある関係で、ベース部のサイズは約125×38mm(縦位置取り付け部とグリップ部を取り付ける出っ張りをのぞく)。ボディ(厚みは約33mmである)よりも大きい分、前側に少しはみ出している。HLD-8Gと違ってシャッターボタンなどはない。そのせいもあって、あまり純正らしく見えない。
対応するクイックシューを持っている人にはいいのだろうが、あいにくワタシはどちらも持っていない。ようは、宝の持ち腐れである。冬に買ったマンフロット190T三脚|n|のクイックシューはマンフロット独自のものなので、クイックシュープレートを重ねづけするようなかっこうになってしまう。それも楽しくないところである。
すでにご存知の方も多いと思うが、縦位置取り付け部を普通に付けた状態では、液晶モニターは90度弱しか開かない。E-M5 Mark IIの売りのひとつ(ワタシにとってはかなり大きな購入動機だった)でもあるバリアングル液晶モニターが、実質上使えなくなるのはまったくもっていただけない。縦位置取り付け部を上下逆さまに取り付ければ、液晶モニターへの干渉は避けられるが、いささかシュールな外観になるし、携帯性もよろしくないので、あまりおすすめできない。
もっとも、アルカスイス互換の雲台もクイックシューも持っていないのだから、取っ払ってしまってもなにも問題はない。縦位置撮影時に雲台の真上にカメラが載せられないと困る事情がないのであれば、付ける必要はないと思う。縦位置取り付け部を取り付けない場合用の目隠しというかカバーが付いていないのは残念な点だ。
グリップ部は、上に行くほど薄くなる形状で、ボディと同じシボ革ふうの素材が貼られているものの、やや滑りやすい印象を受ける。金属製だから当然なのだが、触った感じもやや硬い。ただ、がっちりした剛性感は心地よい。小指のあまり具合はHLD-8Gよりも少なく、指のおさまりもいい。プレビューボタンを不用意に押す心配もなさそうだ。
ボディ単体でのホールディングと比べると、上面のボタンは少し遠くなった感じもなくはないが、違いはわずかだし、慣れれば気にならなくなるだろう。
バッテリー室カバーの部分がくりぬかれていて、装着したままバッテリーの交換ができる。いちいち取り外さないといけないHLD-8Gの面倒くささとは大違いである。
まとめ
で、最後は、どっちを買うか、という話になるわけだが、ホールド性をいちばんに考えるのであればHLD-8Gをおすすめしたい。グリップ自体も握りやすいし、シャッターボタンの位置とアングルもいい。ボディとの一体感もあるし、見た目の面でもECG-2より上だと思う。上面の操作性は不満だが、そのあたりを割り切れるなら問題はない。撮影中に設定を変更するようなことが少ない人には向いているだろう。
その逆に、Fnボタンなどへのアクセス性を優先したいのであれば、ECG-2を選ぶべきということになる。ホールド性はもちろん重要で、純粋にホールド性だけを比べたら、ワタシ的にはHLD-8Gのほうが好みだが、だからといって、操作性が犠牲になるのは歓迎できない。と考えたら、ECG-2以外の選択肢はない。バッテリーの交換に手間取る心配がないのもいい。
とまあ、長々と書いてしまったが、E-M5 Mark IIのグリップはECG-2に決定である。あとはカミサンに気付かれないようにこっそり買ってくればばっちりである。