ポートレートの新しい教科書
第1回:街中でスタイリッシュにポートレートを撮る
(2015/12/14 08:13)
街中はポートレートが撮影しやすいですが、一方で要素が多すぎてどんな場所を選ぶかで迷ってしまうことも。最終的なイメージに合わせ、最適な背景を選んでみましょう。
オシャレな店先をぼかして入れ込む
雰囲気のある店先を背景に撮影。モデルの洋服と店の看板の色が合っていて、画面に統一感も。背景ボケは望遠レンズで絞りを開き演出。モデルと店先が近づきすぎない距離にあるのもボケの効果が出ているポイントです。
ポイント
- 雰囲気のいい店先を見つけたら背景にうまく使う
- 背景ボケは望遠レンズで演出
- 街中は顔回りに余計なものが入らないように注意する
個性的な壁を使い 画面を傾け動きを出す
こうした個性的な背景はポートレートでも扱いやすいです。ここでは20mm相当の広角レンズを使い、ぐっと近づき臨場感を演出。画面を斜めに傾け躍動感を強調しながら撮影しました。
街中では顔回りの要素に注意しよう
要素がごちゃごちゃと入りやすい街中では、より一層、顔回りに余計なものが入らないように注意したいです。この作例でも、ちょうど顔の後ろに影が入るように構図を決め、表情を目立たせています。
街中の雰囲気を副題としてうまく絡めよう
街と言ってもその内容はさまざま。事前にロケハンしポイントを絞っておくと、撮影はスムーズに進められます。
まず、街中でうまく使いたいのがオシャレな店先です。カラフルな看板などをいっしょに写し込めれば、画面全体を華やかでオシャレな雰囲気に仕上げられます。この際のポイントは背景ボケ。望遠レンズを使って絞りを開き、店先はぼかして人物を浮き上がらせましょう。背景はうっすら店先だとわかる程度で十分です。
また個性的な壁を見つけたら、これも背景に利用してみましょう。被写界深度にそこまでこだわる必要もなく、シンプルに被写体と向き合えます。路地裏の風景や電柱などもおすすめの被写体。退廃的なイメージが喚起できます。こうした情景は男性が被写体の場合にとくに引き立ちます。
店に近づいて撮る場合は、お店の人にひと言声を掛けることも忘れずに。街中ではマナーも大事な要素です。
モデル:EVA(MA-Spanky)
本連載は、MdN刊「ポートレートの新しい教科書 きちんと学べる人物撮影のスタンダード」(著:河野鉄平)から抜粋・再構成しています。
初心者に向けた基礎知識から、屋外・屋内・スタジオでの撮影をそれぞれカバー。ライティングの組み方や、便利なライティングアクセサリーの使い方、撮影後のレタッチのワークフローまで総合的に紹介されている1冊です。
また、本書の発売を記念して「思いどおりのポートレートを撮る~ 『ポートレートの新しい教科書』発売記念セミナー ~」が2016年1月16日(土)に開催されます。参加費1,000円、定員30名で参加申し込みを受け付けています。