ポートレートの新しい教科書

第2回:リングライトを使って生っぽさを演出する

今回は人工光を用いた屋内での撮影技法を紹介していきます。リングライトは気軽にアーティスティックな写真が撮れる魅力的なアイテム。力強い描写が楽しめます。

リングライトで明るめに撮影

調光補正で発光量を+1ほど増やし、明るめに被写体へ照射。リングライトならではの独特の光質で力強い描写になっています。ハイアングルから表情にぐっと近づくイメージで撮影しました。

マニュアルモード/ F2.8 / 1/100 秒/ ISO200 / AWB / 40mm

ポイント

  • リングライトは近い距離から、明るめに撮る
  • 後ろまで光が回りにくいので注意しながら使う
  • 独特の陰影にも注目する

・リングライトの仕様について
このように発光部をレンズの前面に、電源部をホットシューに取り付け使用します。ここではNissin社の「MF18」で撮影。アダプターリングを変えることで、さまざまな口径のレンズに装着できます。

フラッシュの光量を補正せず撮影

調光補正せずに撮影。上の作例に比べ仕上がりはやや単調です。このライトは接写専用ということもあり、被写体との距離によっては補正をしないと暗く写ってしまう場合も。調光補正機能で理想的な明るさに調整しましょう。

背景との距離も意識しよう

リングライトは背後まで光が回りにくいです。画面全体を明るく写したければ、壁際などを使いましょう。ちなみに、この壁際を背景にした作例では、人物の輪郭に合わせて薄い影がぼんやりとできています。この影も実はリングライトならではのもの。発光部が円形になっていることに由来する現象です。

・平面的な背景で撮影

・奥行きのある背景で撮

プラスα:目の中のキャッチライトに注目

リングライトはキャッチライトの形も魅力的。ドーナツ型のハイライトが目の中に入れ込めます。顔に寄って撮る際はこのキャッチライトにも注目して絵づくりしてみましょう。

このように真ん中をくり抜いたような円形のキャッチライトが入ります。

接写用のストロボで個性的なハイライトを演出する

リングライトは発光部が円形のクリップオンタイプのストロボです。一般的には接写専用のストロボとして、昆虫や花などを撮る際に発生する光量不足を補う目的で使われます。

このリングライトをメインライトとして使用しているのが今回の作例です。リングライトの光質は人物とも非常に相性がいいです。硬い光質ながら背後に嫌な影ができにくく、独特の雰囲気を加えながら撮影が楽しめます。

なお、リングライトをポートレートで使う際は調光補正で少し明るめに照射するのがおすすめです。肌の質感を明るく飛ばすことで、メリハリを利かせたインパクトのある仕上がりになります。また、このライトは接写専用ということもあり、ガイドナンバーが小さく光が背後まで届きにくい特徴も。あまり奥行きのある場所で撮ると、背景が暗く落ちてしまいます。画面全体を明るく撮りたければ奥行きのない壁面などを選び、背景との距離を縮めて撮りましょう。

モデル:京美里(nikolaschka)

MdN刊「ポートレートの新しい教科書」(著:河野鉄平)税別2,200円。11月24日発売

本連載は、MdN刊「ポートレートの新しい教科書 きちんと学べる人物撮影のスタンダード」(著:河野鉄平)から抜粋・再構成しています。

初心者に向けた基礎知識から、屋外・屋内・スタジオでの撮影をそれぞれカバー。ライティングの組み方や、便利なライティングアクセサリーの使い方、撮影後のレタッチのワークフローまで総合的に紹介されている1冊です。

また、本書の発売を記念して「思いどおりのポートレートを撮る〜 『ポートレートの新しい教科書』発売記念セミナー 〜」が2016年1月16日(土)に開催されます。参加費1,000円、定員40名で参加申し込みを受け付けています。

(河野鉄平)