気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ニコンD7100【第6回】

使っているうちに気になった“D7000と違うところ”

 それまで「D7000」を使ってきたボクが、新たに「D7100」を購入して使い始めて半年以上が経った。その間、単独で使う事も多いが、この長期レポートのためにD7000と併用して比較することも多かった。撮像素子の画素数アップと光学ローパスフィルターレス仕様による画質の違い、連写能力の違い、高感度画質の比較……。これらの“気になる点”に注目して比較チェックしてきた。

 今回は、そういった“気になってチェックした点”ではなく、使ってるうちに気になってきた新機能や、操作性の面で気づいた点などを紹介したいと思う(一部分ではあるが)。

モードダイヤル

D7100
D7000
まず、操作面での大きな違いは、撮影モードダイヤルのロックボタンの有無。D7000にはロックボタンがなかったが、D7100にはロックボタンが装備された。このロックボタンの必要性に関しては人によって温度差があるだろうが、ボクはかなり重要視している。

D4やD800シリーズのような上位モデルだと、撮影モードは「ボタン+コマンドダイヤル」で選択する。その方式と比べると、ダイヤル方式は誤作動の危険性が高まるのだ。まあ、D7000の撮影モードダイヤルは比較的誤作動が少ないのだが、それでもロックボタンがあると安心感は増す(以上、個人的な印象)。

ちなみに、撮影モードダイヤルの上面(表示部分)の質感なども、D7000よりもD7100の方が高くなっている。


背面操作ボタン

D7100
D7000
各操作ボタン類の配置に関しては、基本的にはD7000を踏襲している。動画撮影ボタンが背面から上面に移動されてたりするが、そのあたりの違和感はさほど感じない(あまり動画撮影をしないせいもあるけど)。だが、液晶モニター左に縦一列に並ぶボタン配列には少々違和感を感じる。

D7100では、主要機能にダイレクトにアクセスできる「iボタン」が追加され、縦一列のボタン数が4つから5つに増えた。まあ、その数の増加自体は問題ない。だが、それによって再生時の「拡大表示ボタン」と「縮小/サムネイル表示ボタン」の位置が変わってしまった。しかも、iボタンの追加によって位置がズレるだけでなく、拡大と縮小の位置関係も逆になっている(D7000/上で縮小・下で拡大、D7100/上で拡大・下で縮小)。これがとっさの操作で混乱を招く。

特に、手元が見えにくい前々回の夜間撮影(高感度比較)のような場面では大混乱! どちらか一方しか使わないなら問題はないが、ボクのようにD7000とD7100を併用する人もいるだろうから、このあたりはもっと統一感が欲しいところ。


ホワイトバランス設定

D7100

D7000

「撮影メニュー」で各種の設定をしていて気づいたのは、ホワイトバランス設定時の“操作の流れ”の違い。従来のD7000ではホワイトバランスの項目(オートとか晴天とか)を選んでOKボタンを押すと、微調整の画面が必ず表示されていた。これはけっこう煩わしい!

しかし、D7100では項目を選んでOKボタンを押すとそのまま確定。微調整を行ないたい場合は、右のマルチセレクターを押すとその画面が表示される。細かい変更点ではあるが、意外と有難く感じられた。

ちなみに、ホワイトバランスは「WBボタン+コマンドダイヤル」でも設定できるが(表示パネルや液晶モニターを見ながら)、微調整の操作まで含めるとやっぱり撮影メニューから操作した方が便利なんだよねぇ。


低速限界設定

D7100

D7000

ISO感度設定時、感度自動制御の「低速限界設定」の項目に「オート」が追加されたのもウレシイ。この低速限界設定は、感度自動制御を「する」に設定した際に、その機能が働き始めるシャッター速度を設定しておく機能。

D7000の場合は、1/4,000秒から1秒の中から自分で選ぶことになるのだが、どのくらいの速度がキープできれば良いかは、撮影ジャンルやその場の状況、また使用レンズの焦点距離などによって変わってくる。でもなあ、正直なところ「いちいち考えとられんよ、そんな数値」と、いつも思っていた。

そもそも手動でISO感度を設定するのが面倒だから感度自動制御機能を使う訳だから、低速限界設定とかで頭を悩ませるのはイヤだよ(笑)。だから、この「オート」の追加は大歓迎! これに設定しておくと、レンズの焦点距離に応じて低速限界値をカメラが自動で決めてくれるからね。


ファインダー内水準器

D7100

D7000

同じ機能でも、実際に使ってみて「これはD7100の方が使いやすい」と痛感するのが“ファインダー内水準器”である(事前にFnボタンにその機能を割り当てておく必要がある)。D7000では、画面外の露出インジケーターの目盛を利用して(切り替えて)水準器表示を行なう。これはFXフォーマット機のD600と同じ表示スタイルである。

しかし、この方式だと露出情報と水準情報を同時に表示させることができない。また、水準器表示にしていても、コマンドダイヤルで露出設定値(シャッターや絞りなど)を変更すると、水準器表示から通常の露出表示に切り換わってしまうのだ。

しかし、D7100では、画面内に水準器のインジケーターが表示されるので、露出関連の情報が犠牲になることはない(縦位置に構えると表示位置も変わる)。これはFXフォーマット機のD800シリーズと同じ表示スタイルである。ただし、D800シリーズのような前後方向の傾きの検知・表示はない。

これらの理由により、ボクの場合は、D7000よりもD7100の方がファインダー内水準器の使用頻度が高くなる。水準器は建築物の撮影や水平線の入る風景などで多用する……みたいなイメージがあるけど、手持ち撮影時の“各カットの構図安定”を目的に使うことが多い。選択したフォーカスポイント(AF測距点)に被写体のどの部分が重なるかと水準器の表示を目安にすれば、各カットの構図はかなり安定する(変動が少なくなる)からね。

なお、D7100でファインダー内格子線表示を設定していても、水準器を表示させた際には格子線は表示されない。


露出ディレーモード

D7100

D7000

カメラブレを最小限に抑えるために、シャッターボタンを押すと最初にミラーを作動させて、それからシャッターが切れる「露出ディレーモード」。この機能と2秒セルフタイマーを組み合わせて、夜景や静物撮影をおこなう人も多いだろう(ボクもそう)。

この機能の設定内容も変更されている。D7000では、ミラー作動後の「約1秒後」にシャッターが切れる。だが、1秒後だと「シャッターボタンを押した際の振動が完全には終息してないのでは?」と、少し不安に感じることもある。

しかし、D7100の露出ディレーモードでは、その時間が「1秒、2秒、3秒」の中から選択できるようになった。ちなみに、ボクの場合は「2秒」に設定して使用することが多い。


 今回チェックした新機能(新機能というより新方式くらいの感覚かも)や操作性をみると、あらためて「D7100はD7000よりもいろいろ進化してるんだなぁ」ということが実感できた。あと、これらは撮影結果に影響を及ぼす内容ではないが、有機EL表示素子を使用してファインダー内の情報表示部がシンプルな白文字表示になった点や、色再現性はアレだが(笑)白色画素を加えたRGBW配列の3.2型液晶モニターのクリアで高精細な表示品質なども、満足度が高い点である。

吉森信哉