気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
キヤノンEOS M【第4回】
マウントアダプターで一眼レフ用レンズを使ってみる
(2012/12/4 00:00)
EOS Mに付けられるEF-Mレンズは、今のところ、標準ズームと単焦点広角の2本だけ。そのうちに望遠ズームだとか中望遠レンズとかも登場するだろうし、レンズメーカー各社も何か出すんだろうけれど、そういうのは年が明けてからの話になるのではと勝手に思っている。
で、それまでのあいだの物足りなさをどうにかするためのアクセサリーがマウントアダプターEF-EOS Mである。
EF-EOS Mは、名前のとおり、EFマウントのレンズをEOS Mに装着するためのアダプターで、2本のレンズが付いたダブルレンズキットに、スピードライト90EXとともに同梱されている。単品では1万2,600円。大手量販店では1万500円ほどで買える。
EOSはもともと完全電子マウントなので、ソニーやニコンみたく絞りを駆動するメカを組み込んだりする必要がない。その分お値段がお手ごろなわけだ(ちなみに、ソニーのミラーなしタイプのLA-EA1は2万1,000円、ニコンのFT1は2万3,310円する)。
スペック上の重さは約110gだが、着脱式の三脚座ががっちりした金属製ということもあって案外に重く、カミサン愛用のちょっと目盛のあやしいキッチンスケールではかったところ、EF-EOS M本体が105gで、三脚座のみが45g。合わせて150gということになる。
着脱は簡単で、工具もコインも必要ない。といって、外しておいてなくしてもつまらないし、使いたいときに付け忘れても困る。なので、結局は付けっぱなしにしておくことになるだろう。
まあ、そういうのはさておいて。EF-EOS Mを使うことで、EOS MをEF、EF-Sレンズ(EFマウントのレンズには、TS-EやMP-Eレンズもあるが、そのへんのレンズをわざわざこのカメラに付けたい人がそんなにいるとも思えないから、ここでは「EF、EF-Sレンズ」と書いてしまうことにする)のプラットフォームとして活用できるわけで、ダブルレンズキットに同梱しているのは、そういう使われ方を期待してのことだろうと思う。
ただし、一眼レフのEOSとミラーレス一眼のEOS Mとでは、AFまわりがまるっきり違う。測距センサーによる位相差検出AFを前提に設計されたEF、EF-Sレンズを、ハイブリッドCMOS AFで動かすのだ。使用上の注意だとか制約だとかは当然ある。一眼レフと同じスピードは望むべくもないし、EF-Mレンズと比べてもゆっくりめでしかない。まあ、ソフトウェアの部分での改良の余地はまだあるはずだから、ファームウェアアップデートを待つしかない。
それから、サーボAF(一般にいうところのコンティニュアスAFのこと。EOS MのコンティニュアスAFは半押しなしでもピント合わせを連続的に行なう機能のこと)の動作もちょっと違う。Webサイトには「マウントアダプターEF-EOS Mを装着した場合、連写中のサーボAFでは、1コマ目のみAF追従します」とあるし、使用説明書にも、サーボAFについて「EF、EF-Sレンズを取り付けている場合:撮影中はフォーカスロックになります」と書かれている。使うレンズにもよるだろうけれど、筆者個人の感覚としては、Nikon1 V2にマウントアダプターFT1を併用してAF-Sレンズを使うのよりも快適度は高くない。そういうレベルのAFだと思う。ぶっちゃけ、多くを期待してはいけないということである。
とはいえ、手持ちのレンズが使えるというのは、それなりに便利なことである。さすがに白レンズ付けて手持ちとかはちょっとありえないでしょうよって思ってしまうけれども、軽量級のレンズなら望遠も案外にいける。以前別の仕事でEF-S 55-250mm F4-5.6 IS IIとの組み合わせを試してみたことがあるが(実写不可のボディだったので撮ってはいないけれど)、手ブレ補正のおかげもあって、400mm相当の画角でも手持ちで撮れそうな印象を受けた。中望遠域の画角なら、拡大表示でのMFもやれそうだ。
正直なところ、EOS Mでレンズ交換式カメラのキャリアをスタートした人が、わざわざEFやEF-Sレンズを買うのはどうかと思うが、もともと持っているレンズで遊びたいというならそれなりに楽しめるのではないかと思う。
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