交換レンズレビュー

XF16mm F1.4 R WR

開放でも良い切れ味 ボケを活かせる24mm相当の広角レンズ

今回はFUJIFILM X-T1で試用した。発売は5月。実勢価格は税込12万4,300円前後

富士フイルムXマウントの単焦点レンズに、新たな超広角レンズが加わった。XF16mm F1.4 R WRは35mm判換算24mm相当のレンズで、既存のXF14mm F2.8 R、XF18mm F2 Rに続き、単焦点超広角レンズの3本目となる。

レンズ名の「WR」からもわかるように、防塵防滴・耐低温仕様のレンズだ。防塵防滴ボディのFUJIFILM X-T1と組み合わせることで、天候やシーンを問わず、オールラウンドに使えるセットアップとなる。加えて、開放F1.4という大口径仕様が本製品の大きな特徴だ。

デザインと操作性

本レンズは11群13枚の構成で、非球面レンズ2枚、EDレンズ2枚を含む。デジタル補正不要で歪曲を極力抑え、精緻で解像力の高い画像を作り出すレンズだ。ナノGIコートを採用しており、逆光時のフレアやゴーストも低減に努めている。既存の単焦点のXFレンズと同様、画質にこだわった設計である。

大口径タイプでありながら、約375gという軽量ボディに仕上がっている
レンズの銘板にNano-GIの文字が見える。フィルター径は67mmだ

外観では距離指標フォーカスリングが特徴的だ。フォーカスリングを手前に引くと、距離目盛りがあらわれMFに切り替わる。超広角レンズなので距離目盛りを必要とする場面はさほど多くないのだが、本レンズは最短撮影距離15cmまで寄ることができ、近接域で距離目折りを活用するという使い方が考えられるだろう。

フォーカスリングを手前に引くと距離指標があらわれる。そのまま回してMF操作が可能だ

フードは標準付属の樹脂製花型フードに加え、アルミ削り出しの角型フード「LH-XF16」をオプションで用意する。こうした外観へのこだわりはXシリーズの強みと言えるだろう。

バヨネット式の花型フードが付属する(写真)。オプションで金属角型フードも用意する

遠景の描写は?

中心部は開放から切れ味よく、開放と絞り込んだ状態でさほど描き方が変わらないほどだ。開放でわずかにコントラストがマイルドだが、1段絞れば硬い描き方になる。

周辺部については開放近辺だとさすがに甘さがあり、シャープさを感じるのはF5.6あたりからだった。歪曲はほぼ感じられず、このレンズの素性の良さが伝わってくる。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。※共通設定:X-T1 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm
F1.4
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。※共通設定:X-T1 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm
F1.4
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ボケ味は?

ボケについては、開放F1.4という大口径仕様が功を奏する。開放撮影なら中距離でも前後をボカすことができ、最短撮影距離15cmという利点を活かし、近接でボケ量を稼ぐことも可能だ。

ボケ味は多少硬さを感じるが、広角レンズというスタンスを思えば順当な描写だろう。なお、晴天下では開放F1.4だと露出オーバーになることが多い。ISO100を使うという手もあるが、X-T1の場合、ISO100だと階調面で厳しい描写だった。開放撮影向けにNDフィルターを用意しておくとよいだろう。ND4あたりで十分だ。

絞り開放・最短撮影距離(約15cm)で撮影。X-T1 / 1/2,500秒 / F1.4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/2,400秒 / F1.4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm
絞り開放・やや遠景で撮影。X-T1 / 1/4,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

逆光耐性は?

本レンズは逆光性能を高めるためにナノGIコートを採用している。太陽を入れ込んだ状態ではゴーストとフレアが発生し、特にシャドウが浮いている点は否めない。

ただし、太陽を真っ向から写したことを思うと、最小限に抑え込んだと評価すべきだろう。光源を隠した逆光ではシャドウがちゃんと締まり、良好な画質となる。

太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/420秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm
太陽が隠れる逆光で撮影。X-T1 / 1/280秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

作品

輝度差の大きいシーンだが、高架下のシャドウがうっすらと見える。全体にハイコントラストな一方、階調の良さも感じさせる。

X-T1 / 1/250秒 / F5.6 / +1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

F8まで絞って河川敷を俯瞰する。歪曲、色収差、周辺光量落ちなど、収差と無縁なクリアな描写が印象的だ。24mmという広い画角も気持ちいい。

X-T1 / 1/85秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

直線を複数組み合わせたシーンを撮影してみた。歪曲はほぼ感じられず、真っ直ぐ描かれた直線が美しい。光学的に優秀な描写を達成している点が本レンズのアドバンテージだ。

X-T1 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

歪曲収差がほぼ感じられず、放射状に伸びる直線が心地良い。青空の階調、リアリティのある葉の緑にも注目したい。

X-T1 / 1/125秒 / F8 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

近距離で看板にピントを合わせる。背景はたっぷりボケるものの、やや二線ボケっぽい雰囲気だろうか。

X-T1 / 1/4,000秒 / F1.4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

元々コントラストの強いレンズだが、光が印象的なシーンはより一層パンチのある描き方になる。歪曲が少ないので、躊躇なく直線を配していける。

X-T1 / 1/1,900秒 / F2.8 / -1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 16mm

まとめ

試用して特に印象深かったのは、AF動作をほとんど意識しなかったことだ。本レンズはリアフォーカスシステムを採用し、最速0.11秒という高速AFを実現したという。そうした機能性が功を奏してか、AFパフォーマンスでストレスを感じる場面はなかった。近接から遠景まで、中央でも周辺でも、シャッター半押しで気持ちよくピントが合う。

また、安定感のある画質も好印象だ。歪曲収差や色収差が少なく、周辺光量落ちもさほど気にならない。大口径レンズといっても開放で極端な描写にならず、どの絞りでも描写が安定している。大口径のアドバンテージを気負わずに実感できる超広角レンズである。

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp