交換レンズレビュー

XF 10-24mm F4 R OIS

15mm相当からの超広角を実現した使いやすいズームレンズ

 XF10-24mmF4 R OISは、富士フイルムXマウントレンズの超広角ズームという位置づけだ。金属鏡胴を採用した本格ズームレンズで、ズーム全域で開放F4を実現している。

今回はFUJIFILM X-T1で試用した。発売は3月。実勢価格は税込10万9,830円前後

 手ブレ補正機能「OIS」も搭載し、暗所撮影にも挑みやすいレンズだ。焦点距離は10-24mmで、Xシリーズのミラーレス機に付けると35mm判換算15-36mm相当となる。

 ワイド端でパースを強調したランドスケープ、テレ端でストリートスナップなど、様々なシーンで活用できるレンズと言えるだろう。

デザインと操作性

 本レンズの全長は87mmで、X-T1に装着するとやや大ぶりな印象を受ける。ただし、インナーフォーカスを採用しているため、ズーミングによって全長が変化しない。この点、ハンドリングしやすいズームレンズと言える。

フィルター枠は72mm径を採用。花型フードが付属する

 鏡胴は金属製で、光沢感の強いブラック塗装が施されている。フォーカスリングと絞りリングも金属製になっており、X-T1やX-Pro1の重厚さに相応しい外観だ。

 操作リングはレンズ先端から、フォーカスリング、ズームリング、絞りリングの順に並んでいる。現行ズームレンズで絞りリングを搭載しているのはめずらしい。ただし、鏡胴に絞り値の刻印はなく、ボディの液晶やEVF上で絞り値を確認する仕様だ。

上からフォーカスリング、ズームリング、絞りリングの順に並んでいる

 リング類はそれぞれ十分なトルク感を備えており、特にフォーカスリングのヌメッとした感触が心憎い。

側面に絞り切り替えスイッチと手ブレ補正スイッチを搭載する

 側面には絞り制御の切り替えスイッチがあり、このスイッチとシャッタースピードダイヤルをともに「A」にセットするとプログラムオートに、絞りリングのみを「A」にするとシャッタースピード優先AE、シャッタースピードダイヤルのみを「A」すると絞り優先AEになる。Xシリーズではおなじみの操作だが、他社製品から乗り換えた直後は少々戸惑うかもしれない。

 AF動作はステッピングモーターの採用が功を奏し、高速に動作する上にほとんど動作音がしない。今回、中央1点とマルチを切り替えながら撮影したが、どちらのモードでも俊敏な動作でストレスを感じることはなかった。

望遠端にしたところ。インナーフォーカスの採用により、ズーミングしてもレンズの全長が変わらない

遠景の描写は?

 本レンズの特徴を端的にいうと、絞り値による描写変化が少ないレンズだ。

 開放F4からシャープな描き方で、周辺光量落ちもほぼ感じられない。F5.6まで絞れば手前から奥までかっちりとピントが合い、四隅の明るさとディテール描写も申し分ない。歪曲や色収差もほぼ気にならない。こうした描写はテレ端ワイド端を問わず、一貫していた。

 一方、今回撮影に用いたX-T1は点像復元技術に対応しており、F11まで絞ってもディテール描写が甘くならない。レンズ側の機能ではないものの、本レンズで風景撮影する際にはアドバンテージのひとつとなるだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

広角端

・中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F4
F5.6
F8
F11
F16
共通設定:X-T1 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm・周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F4
F5.6
F8
F11
F16
共通設定:X-T1 / +1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm

望遠端

・中央部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F4
F5.6
F8
F11
F16
共通設定:X-T1 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / 24mm・周辺部
以下のサムネイルは四角の部分を等倍で切り出したものです。
F4
F5.6
F8
F11
F16
共通設定:X-T1 / +1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 24mm

ボケ味は?

 本レンズはマクロモードで最短撮影距離24cmまで寄ることができ、近接開放ではそれなりに前後をボカした撮影が可能だ。ボケ味は前ボケ後ボケともにクセがなく、広角マクロを楽しみやすい。

 なお、もともと被写界深度の深いレンズなので、1段以上絞った状態ではボケを活かした撮影は難しくなる。

 合焦部は精緻でシャープな描き方だが、線が太くなりすぎることはない。このあたりのさじ加減が好印象だ。

広角端

絞り開放・最短撮影距離(24cm)で撮影。X-T1 / 1/150秒 / F4 / -0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/350秒 / F4 / -0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm
絞りF8・距離数mで撮影。X-T1 / 1/180秒 / F8 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm

望遠端

絞り開放・最短撮影距離(24cm)で撮影。X-T1 / 1/350秒 / F4 / -0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE 24mm
絞り開放・距離数mで撮影。X-T1 / 1/320秒 / F4 / -0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE 24mm
絞りF8・距離数mで撮影。X-T1 / 1/170秒 / F8 / -1EV / ISO200 / 絞り優先AE 24mm

逆光は?

 今回、太陽を入れた作例はゴーストとフレアがもっとも大きくなる位置で撮影した。赤い斑状のゴーストが気になるものの、画像全体ではコントラストの低下が少なく、シャドウがよく締まっている。

 意図しなければここまでゴーストとフレアは大きくならないので、太陽が入り込むシーンも躊躇なく撮れるだろう。

広角端

太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/60秒 / F8 / +0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。X-T1 / 1/40秒 / F8 / +0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm

望遠端

太陽が画面内に入る逆光で撮影。X-T1 / 1/110秒 / F8 / +0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE 24mm
太陽が画面外にある逆光で撮影。X-T1 / 1/75秒 / F8 / +0.67EV / ISO200 / 絞り優先AE 24mm

作品

歪曲が少ないため、直線を配した絵面が実にサマになる。X-T1 / 1/35秒 / F5.6 / -1.33EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm
開放近接で木の幹にピントを合わせる。うっすらとボケる背景が心地良い。X-T1 / 1/140秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm
ズームの中間域で奥の建物にピントを合わせる。自然な前ボケがよい雰囲気だ。X-T1 / 1/250秒 / F5.6 / -1.33EV / ISO200 / 絞り優先AE 16.6mm
中央に太陽を配して撮影した。フレアやゴーストが最小限で、コントラストに力強さがある。X-T1 / 1/1500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 10mm

まとめ

 本レンズの魅力は、やはりAPS-C機で35mm判換算15mm相当の撮影を実現している点だろう。強烈なパースペクティブが、見慣れた光景を異世界に変換してくれる。開放から周辺減光がほとんど感じられず、開放でクリアにシーンをとらえられる点もよい。

 また、手ブレ補正機能も相まって、暗所でも気後れせずに攻めていける。X-T1との組み合わせでは諸収差がほぼ気にならず、撮影セッティングを問わず、安定した描写力を誇る広角ズームレンズと言えるだろう。

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp