交換レンズ実写ギャラリー
キヤノンEF 300mm F2.8 L IS II USM
光学性能を向上させた白い“サンニッパ”
Reported by 礒村浩一(2013/9/18 12:00)
数ある一眼レフ用交換レンズのなかでも、大きな鏡筒で巨大な前玉の「望遠レンズ」ほど、プロっぽいレンズとして多くの人々が認識しているものはないだろう。テレビでのスポーツ中継などでプロカメラマンがそのようなレンズを使っている姿がよく映し出されるからだ。
そして、もう少しカメラに詳しい人なら一度は耳にした事があるだろう“サンニッパ”と呼ばれるレンズも、その大きな望遠レンズのなかの1本である「300mm F2.8」を指す俗称である。そのなかでもひときわ存在感のある白い鏡筒を持つサンニッパレンズがキヤノンの「EF 300mm F2.8 L IS II USM」だ。
本レンズは、開放絞り値F2.8の大口径望遠レンズである。焦点距離は300mm固定の単焦点レンズ。F2.8という明るさを維持する為にレンズの最大径は128mmとなり、白い鏡筒の全長は248mm。これをカメラに装着するとかなりの存在感となる。ただしこのEF 300mm F2.8 L IS II USMは、前モデルであるEF 300mm F2.8L IS USMからリニューアルされた際に、光学構成やメカ構成などを見直したことで軽量化されている。質量は2,350gに留まっており(前モデルは2,550g)、実際に手にするとそのサイズからくる印象よりは軽量にすら感じる。
レンズ構成は12群16枚。そのうち蛍石レンズを2枚使用することで色収差を抑え、色にじみの極めて少ない高コントラストで高い解像力を実現しているという。またキヤノン独自の「SWC」コーティングにより、フレアおよびゴーストの発生を大幅に抑制したうえに、最前面と最後面のレンズの表面にフッ素コーティングも施されており、手などの油脂汚れを付き難くするなど実際の使用時における画質低下の要素を最小限に抑えている点も、レンズ自体が防塵防滴構造となっていることと合わせて、過酷な現場で撮影するプロを意識したものだといえる。
おなじくプロ機材であるデジタル一眼レフ「EOS-1D X」との組み合せではEOS-1D Xが誇る高速なAF性能を遺憾なく発揮してくれる。シングルAFではバチッと、C-AFでは激しく動く被写体をしっかりと追随してくれる。また高画素機となる「EOS 5D Mark III」との組み合せでは、開放絞りから画面全域において精細な画像を得る事ができる。
今回のポートレート作例を撮影したときのような晴れた真夏の光のもとでも、逆光による強烈な光の照り返しによるレンズフレアが発生することもなく、驚く程にクリアな画像を得られたのはさすがと言わざるを得ない。大口径望遠レンズの醍醐味である、開放絞りによって背景を均一にぼかし人物を浮き上がらせるといった撮影であっても安心してシャッターを切れるのだ。
もちろんこれほどに高性能なレンズである為、実勢販売価格が60万円台と非常に高価ではあるが、それを納得せざるを得ないほどの実力を持ったレンズであることは間違いない。これを必要とする者ならば、プロだけに限るのではなく、誰しもが手にする事を選択肢として持てるということは幸せな事実だと言えるだろう。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。